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第十四話《あっ、すみません、アラクネの事考えてました》

 『アラクネ』とは、人間の上半身に蜘蛛の下半身のモンスターだ。ラミアやケンタウロス、人魚と同じ『下半身が人外』系のモン娘だが、モチーフが蜘蛛なので、少々不気味ではあると思う。俺は昔、蜘蛛が苦手というか、正直嫌いだった。待て待て、これは昔の話だからね?

 小学生の頃、学校へ行く為に自転車に乗ろうとすると、何と巨大な蜘蛛が巣を作っていたのだ! あの頃は『蜘蛛なんか絶滅しちゃえばいいのに!』などと考えていたが、しかし今の俺は、部屋の中で見つけた蜘蛛を外へ逃がし『アラクネっ娘になって恩返しに来ないかなー』なんて考えるまでに成長したよ! イェイ!

 アラクネに関しても他のモン娘と同じく、人間の身体と蜘蛛の身体の境目にエロスを感じる俺。少女の肉体が人外へと変わり、巨大な蜘蛛の身体となるのだ。アラクネが糸を出すのも、少女の意志による行為なのだよ! 美少女アラクネの出した美しい糸だよ! ネバネバの糸! イェイ!

 虫のモン娘なので、動物系モン娘よりも儚いというか、柔らかそうなイメージがあるアラクネ。それでいて怪しく艶やかで妖艶で美しく、うん、エロい。アラクネの糸で拘束されたい。身動きが取れない状態でなぶるように攻められたい。じわじわとアラクネに食われたい。アラクネのお姉さんに食われたい! イェイ!


◆   ◆


「話聞いてる? 地球人くん」

「あっ、すみません、アラクネの事考えてました」

「……うわぁ」

 初対面の宇宙人にもドン引きされる俺だ! 現在俺達は、ハオン星人に状況を説明している(主に女王が)。内容としては『女王が俺と融合し、様々なモン娘への変身を練習していた』といった感じだ。ただ、女王とハオン星人の関係はあまり良くないのか、女王は俺に『余計な事は言わないように』とこっそり耳打ちした。アラクネの話は余計な事だったが、言っちゃ駄目な事ではないよね? 大丈夫だよね?

「その練習の過程で『女王』はスライム娘になったのね? へぇ、面白いじゃない。『女王』も、地球人くんも。……でも、地球人くんは知ってるのかしら?」

 床からぐにょんと現れた椅子に座り頬杖をついていたハオン星人は、俺を指差し言う。

「その『百獣の女王』はね! 『ノアの方舟』に乗れなかった生物の集合体なのよ!」

「あ、はい。知ってます」

「……『百獣の女王』はね! そのチカラで、自分を弾き出したこの世界をひっくり返そうとしてるのよ! 地球人くんは利用されてるだけなのよ!」

「あ、はい。俺も女王を利用してるだけなんで」

「ハオン星人よ、我はもう全て話したんだぞ。あぁ、ハオン星人についてはまだだけどな」

 一瞬の沈黙。表情が分からないハオン星人だが、なんか気まずい感じなのは分かった!

「……アタシはハオン星人。『百獣の女王』の管理者である。危険な存在である『女王』が、この世界へ影響を及ぼさないよう『方庭』で管理するのがアタシの役目だ!」

 椅子から立ち上がり、マントを翻しながら、オーバーな身振り手振りで語るハオン星人だった。

「中二病か!」

「ちゅうに? 何よ意味分かんないんだけど!」

 しかしなるほど、女王とハオン星人は敵対関係にあるって事か? そして、地球の害になる可能性があるのは女王の方っぽくね?

「アタシは『女王』が外に出なければ良いから、地球人くんが『方庭』の中で何をしようが構わないわ」

 再び椅子に座って、ハオン星人は言う。

「むしろ、その変身の練習って奴を見せてほしいわね、地球人くん。あぁ、アタシの事は気にせず『女王』とイチャついちゃって良いわよ?」

 あ、この人絶対ニヤニヤしてる。

「なっ、誰がイチャついてるか! 我は変態に襲われてただけだぞ!」

「それじゃ女王、続きやりましょう」

「誰がやるか!」


◆   ◆


「次はアラクネか」

「凄い女王! エスパー!?」

「……貴様は見られてても構わず変身するんだな」

「ずっと女王に見られてたようなモンなので!」

 女王とハオン星人の関係とか目的とか、別に俺とは関係ないからね! ただただ俺は、モンスター娘になれれば良いのだ!

「やり方の説明は、もう要らないだろう? 強いて言えばアラクネは下半身が大きいからな、うつぶせから始めると良いぞ」

「了解しました! 『モードアラクネ』! スパイダーウーマン! 変身!」

 俺は眼鏡を外しトランクスを脱ぐ。そして言われた通りうつぶせになった。それに合わせて、スライム女王が俺の近くにしゃがみ込む。

「女王、その太ももの感じ最高ですね」

「なっ、何を見てる! さっさと変身しろ!」

 とっさに両手で隠す女王だったが、残念! 両手も透けてるので丸見えですぞ! あ、そういえば、分離(仮)状態でモン娘に変身するの初めてだ。おぅ、なんか新鮮!

「ん、ふぁ!? んぐぅ」

 下半身を一気にスライム化させる俺。スライム化にはもう慣れたと思っていたのだが、思いの外衝撃があった。下半身がビリビリする! うわやべぇ!

「んっ、んぅー!」

「ど、どうした貴様! あんなに上手にスライムをコントロールしてたじゃないか!」

 涙目で床を叩く俺に、心配して女王が近寄って来てくれた! イェイ!

「なんか、変です、俺、あっ、そうか見られてる、から?」

「は? 貴様ほどの変態が、その程度で緊張するのか?」

 まさか俺、見られて興奮するような性癖があったのか……? 新発見!

「でも、ちょっと変身に、慣れてきてて、マンネリ感はあったので、丁度いいです」

「……」

 女王が無言で元のポジションに戻ったぞ! うわっ、凄い蔑んだ目! その視線を糧に、変身続行だ! 下半身を大きくして、蜘蛛の腹を作る!

「うわ、うぅ、んっ、ふぅ」

 唇を噛み締めながら、粘液を出して下半身をスライムの塊にしていく。悶えながらも上手くいった。次は脚を作る。えーと、蜘蛛の脚だから八本かな? あれ、腕は数に含め……含めないで八本、だな。うん。

「あっ、あっ、あぅぁ、んふぅ、くぅ、はぁ、はぁ、あと、少し、んぁ、ふぅ」

 数が多い上に長い蜘蛛の脚だ。更に見られている状況だったので苦労したが、ズルンと無事に完成した!

「あれ、ハオン星人さん……?」

 今気づいたけど、女王の後ろのちょっと離れた所にいるハオン星人。椅子に座ってるけど、かなり身を乗り出してる。超見てる。ガン見じゃん! 女王はと言うと、しゃがんだまま興味なさ気に俺を見ていた。頬杖が可愛い。ともあれ続きだ!

「せーのっ」

 下半身のスライム状態を解除する。大きな腹と八本の脚の感覚が鮮明になる。そして、怪しく黒々としたスパイダーボディが姿を現した! うっすら産毛の生えた、不気味さと艶やかさを兼ね備えた見事なアラクネの身体の完成だ! というかでけぇ!

「ふむ、こうして客観的に見るのはアルラウネと、あとは鏡に写った人魚だけだったからな。成る程、やはり上手いもんだな、貴様」

「ふふふ、お褒めに与り光栄ですぜ」

 床に突っ伏したままで俺。ではでは、八本の脚で立ち上がろうか!

「ふん……うわ高い! 超高い!」

 目線は3mくらいだろうか。ケンタウロス娘も中々高身長だったが、アラクネすげぇ!

「って、女王!?」

「いやせっかくだしな、乗せてもらうぞ」

 スライム娘が背中に乗ってきた! 何これ天国!? 俺いつから死んでるの!? 女体化した辺り!?

「しっかりつかまっててね!」

「こうか?」

「ふぁぁああ!!!!!!!!」

 女王が! 後ろから! 俺のお腹に! 腕を回してきたよ! ひんやりするスライム娘の感触! 当たってる! スライム娘のバストが! そしてハオン星人超見てる!

「あ、ああああ歩くね!(アラクネだけに)」

 テンパりながらも第一歩を踏み出す俺! 案の定転ぶ! 脚多過ぎ!

「うぷっ、腹がぁ……!」

 打った蜘蛛の腹が痛い……! 腹なんだけど腹じゃない部分が痛い……!

「我、降りるか?」

「大丈夫ッス! むしろギュッと! より強くギュッと! 押し付けてください!」

「……」

 あぁ! 女王が無言で降りた!

 うん、仕方ない。冷静に、ゆっくりと歩くね(アラクネだけに)。

「あ、落ち着いて歩いたら大丈夫でした。女王、乗る?」

「遠慮します」

「はい」

 蜘蛛といったら蜘蛛の巣! 次回、蜘蛛の糸編! 続くッ!


第十四話:おわり

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