第10話 狒々
忍術ドッカンドッカンさせたらさせたで今度は主人公のこれからの成長具合とかそういうのに直撃しそうだったけど。これはこれで派手で良いのかなと思ったり思わなかったり。
戦闘描写、難しい。
後、ルビを振るようにしてみました。
フラフラした足取りをしながら猿共に近づいていく。
ー土遁…土波!
地面に手を叩きつける。土が水のようにうねり出した直後、津波のようになり猿共を襲う。
津波に飲み込まれる者、波を突き破って来る者、飛び越えて来る者。そして、一直線に俺に向かって来る。
ー火遁…火炎扇!
大きく息を吸い込み、勢いよく息を吐く。扇子のように前方になるにつれ火炎が広がり猿共を焼き尽くそうとする。
その炎の中からでも、5匹が俺の前に現れる。
ー火遁…肉体活性!
湯気が出るほど熱い身体が更に熱くなる。身体の芯から燃え上がりそうだ…。
1匹がまず拳を振りかざしてきた。左手で振りかざしてきた右手をいなした後、掴み。その後、間合いに入り込み右エルボーを抉り込む。体勢を戻し右掌底を猿に打ち込み、はっ倒す。
そして、2匹同時に殴り込んで来た。まずは1匹目に喧嘩キックを腹に打ち込み、即座にしゃがみ反時計に回りながら左足で足払い。2匹目の攻撃をかわす余裕はなかったが腕をクロスさせて受けた後に弾く。そして、両手の掌底を腹に打ち込む。はっ倒した猿が起き上がってきたので頭を両手で持ち、頭にニーキックを入れる。1匹は腹に穴が空き、もう1匹は頭を破裂させて倒れる。
残りの2匹はその様子を見て間合いを取りながら探るようだったが、ここで時間を食っても残りの猿が襲って来ると判断した俺は肉体活性を解除。
足元に落ちてあった鉈を拾い上げる。
ー風遁…疾脚!
足に集中して右つま先で地面を蹴る。先ほどよりスピードが違う…。身体が熱いせいなのか。ご主人が首を締め上げられているのを見てから体内の魔力の純度が違うようだった。
猿を追い抜き後ろに着地後、即座に右足で地面を蹴る。今度こそ…と思い疾脚を解除後
ー土遁…砂鉄刃!
鉈の先を地面で擦り付けながら、猿の背後から斬りかかる。鉈の刃に張り付いて振動でチリチリと鳴る砂鉄の音が聞こえる。
まさしく斬!という言葉が合うように猿の身体が斬りかかったところから血しぶきを上げながら真っ二つに割れる。
最後の1匹もそのまま斬りかかる。拳を打ち下ろしてきたので、そのまま腕をぶった切った後に切り返しで胴体を斬る。下半身を残したまま上半身が倒れていった。
辺りを見渡すとまだまだ残っているみたいだったが、それでも半分程は片付けることが出来ただろうか。
ボロボロのフラフラになりながらも一歩ずつ歩みを進めて行く。
「おら…猿共…どうしたよ…もう終わりか…?」
疾脚をまといながら一歩進んだところで目の前にいる猿に目標を定め駆け出す。
「マトメテ…カカレ!」
残っていた猿共が一斉に襲いかかって来る。目の前にいる猿の手を鉈で切ったところで右から違う猿からのパンチを受けてしまうが腕をクロスに防御するが後ろに吹っ飛んでしまう。その後、後ろに回り込んでいた猿に蹴りを食らってしまった。
ーカハッ
肺にある酸素を吐き出してしまい。呼吸が苦しくなる。が、すぐさま前転し飛んできた猿のパンチをかわす。
左から殴りかかってきた猿を掴み、そのまま背負い投げして叫ぶ。
ー風遁…鋭旋!
鉈を持ち、一回…二回三回とぐるぐると回ると自分を中心として竜巻が発生したかと思うと周りの猿を切り刻んでいく。
もう魔力も体力も限界をとうに超えていたが、なんとか足に力を入れて踏みとどまる。身体の節々が痛い。頭がカチ割れそうで痛い…耳もキンキンしており横になりたい…今すぐ横になりたい…
相手がもう退散するなりしてくれたら良いのだが…そんな感じは一切しない。それどころか口々に言い始めた。
「ボス…キタ。」「ボスキタ。」「ニンゲン…モウオワリ。」「ボス…ニンゲンコロス。」
得体のない雰囲気を感じ後ろをすぐ見る。
優に5mはあるであろう体格…デカい。毛並みは白で左頭上に角が1本生えている…。こいつもモンスターというより妖怪の雰囲気だ。
そのボスが辺りを見渡し俺に聞いてくる。
「小僧…これ、お前がやったのか」
「…だったら、どうするんだボス猿さんよう…。」
余裕ありそうに言うが息も絶え絶え。フラつきながらもボス猿を見る。
「面白い。この、狒々…自ら。小僧殺す。」
「あぁ…そうかい…じゃあ、こっちからいくぞ…狒々!」
フラフラの足になんとか力を込めて駆け出す。もう少しだから…体力も魔力ももう少しだけ頑張ってくれ…