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ドラゴン転生〜畜生道に堕ちても最強種なら問題ない  作者: 堕天の翼のあさぼらけ


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第63話 昇級

 討伐依頼はD級から受ける事が出来る。

 だけどF級なのに、俺は受けてしまった。

 俺のギルドカードには、討伐依頼のための活動記録の機能がついてなかった。




「えと、俺をCランクにするんですか?」

「ええそうよ。」

 と言いながら、ナナさんは扉を開ける。俺のギルドカードを作った部屋の扉を。

「確かランクを上げるには、実績ポイントを貯めて、昇級試験に受からないと、ダメでしたよね?」

 そんな説明を受けた気がする。


「何事にも例外はあるものよ。ギルド規約第八条三十四項、ギルド職員が認めた場合、等級を上げる事が出来る。」

「へ?」

 ナナさんが誦じたその項目に、俺の目が点になる。

「同項補足。この特例を発動するのは、任期中一度に限られる。」

 俺の反応を無視して、ナナさんは続けた。


「え、それじゃあ、ナナさんはその権利を今使ったら、もう二度と使えなくなるって事ですか?」

「そうなるわね。」

 と言いながら、ナナさんはギルドカードを作成した装置を起動させる。

「いいんですか、そんな権利を今使っちゃって。」

 ギルド職員の定年がいつなのかは、分からない。

 見た目も若いナナさんがその権利を使うには、早計すぎやしないか?


「はあ、」

 俺の疑問に、ナナさんはため息をつく。

「あのね、幻想旅団の推定討伐ランクはね、Bランク。新人のFランクには、不可能なのよ。」

「は、はあ、」

 俺はナナさんの剣幕に、圧倒される。


「私だって、Fランクのあなたが依頼を達成するなんて、思ってなかったわよ。それも、初依頼でしょ?そんなあなたがFランクのカードなんて持ってたら、疑われるわ。」

「疑われる?」

「ええ、あなたが動物変化(アニマルチェンジャー)である事。それも上位種、ドラゴンの可能性がある、と。」


「う、いや、」

 ナナさんの言葉に、俺はある事を思い出す。

「お、俺の活動記録には、ドラゴンだった事が、バッチリ記録されてんですよね?」

 そう、俺のドラゴン疑惑はすでに、確信に変わってるはず。

「それならルル姉が、細工しといてくれたから。私たち以外にバレる事はないわ。」

 なるほど。あの時のルル姉の仕草が、その細工だったのか。


「後はこのカードをランクアップさせれば、証拠は隠滅よ。」

 ナナさんは俺のギルドカードを装置にかける。

 そしてC級と表記されたギルドカードが排出される。


「はい、これがCランクのギルドカードよ。昇級おめでとう、サム君。」

 ナナさんは、取り出したギルドカードを俺に手渡す。

「あ、ありがとうございます。」

 俺が受け取ったカードの裏面には、スライド式のスイッチの模様が印刷されている。

 当然、このスイッチをスライドさせる事は出来なかった。


「本来なら、契約の小箱に差し込んだ時点で、そのスイッチの稼働が出来るのよ。」

「へー、そうなんですか。」

 今は指でなぞっても、動かない。単なる印刷だから当然か。


「活動記録の説明は、サム君はもう体験済みだから、省くわね。サム君がやってた操作方法が正解だから。設定次第では、ずっと入れっぱなしでも衝撃の前後だけを残すってやり方もあるけど、うまく記録されない事も多いから、お勧めはしないわ。」

「そうですか。」

 スイッチの右上に、ちっちゃい米印があったから、そこを押してみたら、なんか設定画面が出てきた。

「お勧めの設定って、何かあります?」

 その設定画面を、ナナさんに見せる。

「そうね、」

 ナナさんは設定画面を覗きこむ。

「この動物変化追尾はオフにしないと、サム君がドラゴンだって記録されちゃうわよ。」

「はい。」

 言われた通り、オフにする。

「あとは、解析度は低めにして、ボイスはオフにしないと、会話も記録されちゃうわよ。」

「はい。」

 ん?て事は幻想旅団討伐時の会話は、記録されてたって事?

 幼女様のキッスで、ハイテンションになった事も記録されてたの?

 うわ、めっちゃ恥ずいぉ。


「あ、口座連携機能も便利よ。」

「なんですか、それ。」

「報酬が自動で振り込まれるようになるのよ。」

「えと、口座って銀行口座ですか?」

「銀行?何それ?」

 あれ?この世界に銀行はないのか?

 じゃあ口座連携機能の、口座っていったい?


「まあいいわ。連携のやり方は、実に簡単よ。」

 ナナさんは口座連携のやり方を教えてくれる。

「まずは、収納アイテムのお金をしまうポケットを確定して。」

 俺の降魔の腕輪なら、二番目の箱が該当する。

 ここにさっき貰った2万4千クレカが収納されている。


「後は、カードの連携設定開始ボタンを押しながら、そのポケットに入れてみて。」

 ナナさんの言葉に、色々疑問を感じるが、やってみる。

 そもそも、お金のポケットには、お金しか入らないはず。

 実際やってみると、反発する磁石同士を押しつけてる感覚だった。

 それがスッとひっつく感覚がした直後、カードが弾き出される。

 カードの連携設定開始ボタンが消え、連携済みとの表記に変わる。


「これで連携は完了ね。今度からは契約の小箱に挿入した時点で、契約金が引き落とされるし、依頼達成後なら、報酬が振り込まれるようになるわ。」

 ナナさんの説明だと、俺の前世の知識で言ったら、マイナンバーカードでキャッシュレス決済が出来る感覚か。

 契約の小箱以外にも使い道があるならば、だが。


 で、ここで疑問が生じる。

 カードを他人が使ったら、どうなるのか。

 収納アイテムを新しくしたら、再度連携は可能なのか。

 まあ、これらは本人のマネーリテラシーに関する事だから、俺にとっては些細な事。

 今一番知りたい事は、これ。

「お金の貯蓄は、いくらまで可能なんですか?」


「それは収納アイテムにもよるけど、そうね、一段階封印を解除した降魔の腕輪なら、確か七桁、ってところかな。」

「一、十、百、千、万、十万、百万。」

 七桁と言われ、俺は指折り数えてみる。

「つまり、999999クレカまで、貯められるって事ですね。」

「んー、確か六百万くらいが限界だと思うよ。封印を三段階まで解けば、無限にお金は入れられるようになるけどね。」

 ナナさんの言葉に、新たな興味がわく。



「封印って、全部で何段階あるんですか?」

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