第60話 盗品
幻想旅団のアジトである山小屋に、俺は足を踏み入れた。
そこには、無数の檻に入れられた、動物たちがいた。
その動物たちの強い警戒感から、俺は心理的プレッシャーを受けてしまう。
それは、山小屋の外からは何も感じなかったからだ。
そんな俺に、青い瞳の白い肌の子供が話しかけてきた。
「ねえ、びっくりした?」
どこかわざとらしい、子供っぽさを大げさに体現した言いかた。
突然現れたこいつは、何者なのか。
この小屋の無数の檻の動物たちより、この子供ひとりが気になってしまう。
「ふ、さあな。」
俺は心を落ち着かせると、子供相手に強がる。
いやほんとはびっくりした。
この小屋の動物たちの警戒心に。
そしてこの子供に。つか、この子供に関しては、びっくりというよる、びびってる感が否めない。
だけどこんな子供相手に、そんな感情を悟られたくなかった。
「またまたぁ、ほんとは怖がってるくせにぃ。」
子供は俺の心を見透かすが、とりあえず無視しとこう。
俺は小屋の中を見渡しながら、子供にたずねる。
「なあ、この動物どもは、なんなんだ?幻想旅団のペットかなにかか?」
「えー?幻想旅団がペットを飼うわけないじゃん。普通に出荷待ちの家畜どもだよ。」
「なに?それじゃあ、幻想旅団の盗品って、この動物たちか?」
「そうだけど?」
なんてこった。
幻想旅団の盗品をくすねようとしたが、こんな動物なんてくすねても、換金方法が分からんぞ。
それと気になる事が、もうひとつ。
「で、おまえは何者なんだ?」
まさかと思うが、こんな子供が幻想旅団の一員、って事はないよな。
「僕?僕はこいつらと同じで、ここの幻想旅団に連れ去られたんだよ。君がビャクエンを倒してくれたから、あの檻から出たのさ。転移魔法を使ってね。」
「なに?」
子供の発言に、色々驚かされる。
あの檻に入ってたって事は、この子供はやはり、何らかの動物変化だという事か。
そして転移魔法が使えると言う。俺以外にもいたのか、って、そりゃいるだろうけどさ、こんな子供にも使えるとは、驚きだ。
それとビャクエンとは、あの白い虎の名前だろう。
「こいつらの出荷が迫ってたから、ほんと助かったよ。僕も安易に転移魔法も使えなかったからね。」
「ん?転移魔法を使えば、普通に逃げ出せれるだろ?」
俺は子供の言葉に引っかかる。
転移魔法は転移先のイメージを現実的にする事で、転移を可能にする。
だから行った事のない場所には転移できないが、幻想旅団に連れ去られる前の場所には、転移できるはず。
「はー?何言ってんの?転移魔法はそもそも、目の届く範囲にしか、転移出来ないじゃん。」
「なに?」
子供の言葉に、再び驚かされる。俺の使う転移魔法とは、どこか違うのか?
「あれれー?君も転移魔法使うんだよね?ビャクエンとやり合ってた時、君も使ってたじゃん、こんな風に。」
子供は俺の背後に転移すると、そのまま俺の背中におぶさる。
「う、」
俺は反射的に転移魔法を使い、一歩ほど前に転移して、子供を振り下ろす。
「あいててー、ひどいよ、お兄さん。」
子供は地面に尻もちをついた。
「あー、悪い。いきなりだったからな。」
と言いながら、今一度周囲の檻を見渡す。
犬に猫に兎。俺も良く知る愛玩動物の類い。それになんか幻獣っぽい見た目のやつも、ちらほら見受ける。
「はあ、このまま見過ごすって事も出来ねーよな。」
檻の中の動物たち。
このままにしておいたら、餓死するか、別の誰かに捕まるだけだ。
逃してやらねーとな。
「うん、見過ごせないよね、こんな大量の餌。」
子供の発言に、檻の中の動物たちが警戒心を強める。
「おいおい、餌ってなんだよ。」
「君ならこんな檻くらい、簡単に壊せるよね。なにせドラゴンなんだから。」
ビクっ!
檻の動物たちが、一斉にビクつく。
俺がドラゴンである事に、大きな絶望感を感じたみいだ。
「誰が食うかよ。」
俺はおもむろに、近場の檻の南京錠に手をかける。
中の動物は、ガタガタ震えだす。
俺は手にした南京錠を、転移魔法の応用でちょっとだけ転移させて、檻からとり除く。
「え、今何したの?」
子供の声のトーンが変わる。
それまでの、全てを見透かした様な、どこか人をおちょくる様な口調が、改まる。
「何って、見ての通りだよ。」
俺は次々と南京錠を外していく。
「そ、そんな魔法、僕は知らないよ。」
子供の表情がくもる。
その理由は分からんが、うっすら青みがかった白い肌が、少し青みを増していく。
知らないなら、それでい。
これは転移魔法の応用だが、俺の転移魔法はこいつの使う転移魔法とは、どこか違うようだ。
転移魔法に応用がきく事は、知らせない方がいいだろう。
俺の本能が、そう告げる。
子供の反応を無視して、全ての檻の南京錠を外してやる。
その数、26個。
外す途中で気づいたのだが、南京錠の鍵は、普通に壁にかけてあった。
ども(・ω・)ノ
今回登場した子供。
これはコナン君のイメージで、再現してください。




