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第46話 再びパワーアップ

 ミーシャはなんと、リバルド学園の生徒だった。




「まあ、全寮制で寝るとこ確保出来るなら、行ってもいいかな。」

 俺はとりあえず、リバルド学園に行ってみる事にした。


「なら決まりね。あのふたりの刺客に見つからないで、リバルド学園の敷地内に入れたら、安泰よ。」

「なるほど。そう言う事か。」


 つまり、あのふたりの刺客の魔素の気配を探りながら、リバルド学園に逃げこむ。

 ん?

 リバルド学園内が安全なら、なんでミーシャは千尋峡谷に逃げこんだんだろ?

 まあいっか。


「そう言う事だから、とっとと行くわよ。」

 と言ってミーシャは、俺の後ろに立つ。

 俺は頭に?マークを浮かべ、ミーシャを見る。


「あんたの前を、歩きたくないのよ。」

 ミーシャはプルプル震えてる。

「あんたが襲ってきたら、面倒だし。」

 ミーシャはイラつき気味に、言ってくる。


「ち、分かったよ。」

 ミーシャの言葉に、俺の精神的ダメージがよみがえる。


 俺はミーシャを後ろに従え、建物の扉を開ける。

 そしてソーマの泉のある部屋の前まで行く。

 ミーシャは俺と一定の距離をとり、それ以上近づいてこない。


 ソーマの泉の魔素で、ドラゴンの本能が強くなる俺を、警戒してるのだ。

 理性をなくした男の襲撃に対処できるミーシャも、強烈すぎる男には、対処しきれない。

 そして俺も、ここでミーシャを襲う訳にもいかない。

 今後の展開のためにも。


 俺は意を決して、扉を開ける。

 部屋の中は、魔素の濃さが凄い。

 常人なら気が狂う所だが、俺は状態異常に耐性がある。

 そして部屋の大気中の魔素は、俺の皮膚から吸収されるけれど、人間の姿のままで、魔素の流れを感じるほどのパワーアップは出来ない。

 俺はソーマの泉に近づき、ひとくち飲む。

 魂の奥底から、力が湧き上がるのを感じる。

 そして、離れた所で怯えてるミーシャの魔素も感じる。

 今なら、ミーシャを襲える。

 これ以上飲んだら、俺自身を押さえられない。


 俺は部屋を出る。

「大丈夫、なの?」

 離れた所から、ミーシャが声をかける。


「ああ?大丈夫だぜ?」

 俺はニヤけながら、ミーシャを見る。

 怯えた表情が、俺の劣情をそそる。

 今は視姦するだけに、とどめておこう。

 と思ったら、俺の股間に精神的な痛みがはしる。

 前回ミーシャが植えつけてくれた精神的ダメージは、まだぬけないみたいだ。


「ち、とっとと行くぞ。」

 俺はきびすを返し、出口の扉に向かう。

 ミーシャの安堵する気持ちが、魔素の流れで伝わってくる。


 そして出口の扉の前に立つ。

 この扉の向こうは、ギルドに通じる廊下になっている。

 そのギルドの様子は、感じられない。

 この扉によって、完全に外の世界と遮断されてるみたいだ。


 俺は扉の横のカードリーダーにギルドカードをスキャンさせる。

 鍵が外れ、扉が開く。

 同時に、外の魔素の流れを、察知する。

 受け付けのルル姉とナナさん。

 そしてギルドにたむろする、13人の冒険者。

 ギルドの外にも、数名感じる事が出来る。

 そこに、あの刺客達はいない。


「で、ギルドを出たら、どっち行くんだ。」

 ギルドの大広間へ出る扉の前で、ミーシャにたずねる。

「左にまっすぐ、500メートルよ。」

 俺のすぐ後ろで、ミーシャが答える。


「500メートル、か。」

 俺が魔素を探知出来る範囲は、ギルドのそばまでで、半径100メートルと言ったところだ。

「近くに刺客はいないが、そこまでは分かんねーな。」

 俺は今の様子を正直に答える。

「そう、案外狭いのね。やっぱり千尋峡谷の時みたいには、いかないか。」

 ミーシャも、俺の探知範囲の狭さに落胆する。


 千尋峡谷の外の世界の大気中の魔素は、薄い。

 千尋峡谷の魔素の、十分の一の濃さもない。

 これでは千尋峡谷の時みたいに、遠くまで探る事は出来ない。

 それは、ミーシャも理解してるようだ。


「まあ、ミーシャの傷も消えてるし、服装も違う。ヤツらだって、すぐには気づかないはず。それにかけよう。」

「それもそうね。行きましょう。」

 俺の言葉に、ミーシャがうなずく。


 俺はギルドへの扉を開ける。


 ギルドのカウンターの横に現れた、俺とミーシャ。

「おお、」

 ギルド内がざわめく。

 誰もが、超絶美少女のミーシャに見とれてしまった。


 俺がミーシャと一緒にいるので、誰も近づいてこない。

 と思ったが、ナナさんと話してたヤツが、にやにや近づいてくる。


「君ー、リバルド学園の子でしょ?へー、君みたいな子が冒険者やってるんだー。」

 そいつは、馴れ馴れしくミーシャに話しかけてくる。

 そして俺を押しのけてきやがる。

 だが俺は人間の姿をしてるとはいえ、中身はドラゴン。

 ただの人間風情に、押し負けはしない。


「あ?なんだよお前。邪魔だよ。」

「邪魔なのは、おめーだよ。」

 そいつが文句言ってきたが、俺が言い返す前にミーシャが言い返す。


「何だと?ちょっとかわいいからって、いい気になってんじゃねーぞ!」

 そいつはミーシャに殴りかかる!

「ふ、」

 俺はそいつの目の前に、左拳をおく。


 こんなヤツ、ミーシャの敵ではないが、ミーシャの手をわずらわせる気になれなかった。

 何より、ミーシャの強さがバレるのは、マズい気がする。



「ぐは、」

 身を乗り出したこいつは、自分から俺の左拳に突っ込んできた。

 これくらい避けれないようでは、こいつも大した事ないな。

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