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隣の二階堂さん  作者: 阪上克利


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38/201

カレーライスの具は小さい方が良いのか否か

 今日は帰りが遅かった。

 珍しく残業になってしまったのだ。


 平日は仕事があるので家を留守にしがちだから、宅配の人には留守なら持ち帰らずに玄関の前に荷物を置いておくように伝えてある。


 暗がりの中……

 玄関の前に大きなダンボールが置いてあったので、あたしは一瞬、爆弾ではないか……と焦った。こんなところでテロ事件など起こされては困ると一瞬、肝を冷やしたのだが……冷静に考えてこんななんの変哲もないボロアパート一つ、吹き飛ばしてもなんの得にもなりはしないだろうから、それは違うと分かり胸をなでおろした。


 安心したところでダンボールを見ると差出人の名前のところに『二階堂祥子』と書いてあった。

 そう。母の名前である。


 あたしはダンボールを家の中に入れたが、これが重くて仕方なかった。

 それもそのはず……


 手紙と一緒にダンボールに入れて送られてきたものはその大半が食べ物だった。 

 とにかくすさまじい量の食べ物が入っている。

 送られてくるものは大抵あたしが好きなものだから、ありがたいにはありがたい。

 

 梅干、紅生姜、らっきょ、たまねぎ、人参、じゃがいも……


 やれやれ……どうりで重いわけだ。


 実家は九州の大分で農家をしているものだから、野菜の量がすごい。

 どれも美味しいのだが……あたしとしてはもう少し葉物がほしいところだ。


 レタスとかキャベツとかほうれん草とか……

 日持ちしないから送ってこないというのは分かるのだけど。


 野菜の数々が大量に詰め込まれている上、梅干と紅生姜とらっきょは大きな瓶に瓶詰されている。


『さて……どうしようかね』

 あたしは一人つぶやいた。


 そうだ。

 とりあえず人参とたまねぎとジャガイモがあるならカレーライスを作ろう。

 あたしはダンボールの中から野菜をとりわけ、らっきょと紅生姜と梅干の瓶詰を出してシンクの下の調味料を入れるところに突っ込んだ。

 こちらはこちらで美味しそうだ。


 特に紅生姜は美味しい。

 母の作る紅生姜は酸っぱすぎず、微妙に甘味もあって、そのまま食べても美味しいのだ。

 よく父が紅生姜を肴に麦焼酎を呑んでいた。


 うん。


 楽しみだ。


 それにらっきょがあるのだからカレーは最高だろう。

 よしよし……。


 あたしは野菜をとりわけてそれぞれに袋詰めした。

 たくさんあるし、誰かにおすそ分けしてもいいだろう。

 とりあえず、カレーに使う分だけあればいい。


 そういえば……カレーライスと言えば、具の大きさがたまに議論の種になる場合が少なくない。

 果たして具は大きい方がいいのか?

 それとも小さい方がいいのか?


 大きめ野菜がゴロゴロ入っているカレーライスをセールスポイントとして売り出しているカレーもあるぐらいだから、具は大きい方が良いと思う人もいるのだろうけど……

 あたしは具は小さい方が好きだ。

 とにかく野菜やお肉のうまみをすべてルーに溶けださせてほしいのだ。

 実際に具を小さく切ってカレーライスを作ったところで、野菜とお肉の美味さがルーに溶け込むのかどうかは分からないけどイメージとしては具は小さい方が美味しそうだ。


 でも大きい具がカレーに入っていればそれはそれで美味しいような気がする。


 今回のカレーライスはどうやって作ろうか……。


 う――ん……。


『あちゃ――! 紅生姜忘れてた――!』

 考えが煮詰まったところでお隣の春海ちゃんの声が聞こえた。

 安普請なアパートだと少し大きな声をだせば隣まで聞こえてしまうのである。


 ちょうど良かった。

 母が作った美味しい紅生姜を持って行ってあげよう。

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