VS出席番号2番
スキル……カミサマが与えた特権。
1人1つだけ持てるチートとまで言えるものだ。
わざわざ俺に向けるってことはさすがに殺すようなものではないと信じたい。
「いい?アンタ。これを使わせたら終わりよ」
なんだその警告は。使いたいのか使いたくないのかはっきりしないやつだな。
「アンタも何かもらってるんでしょ!使いなさいよ!」
オイオイ、使った場合お前の体が吹き飛ぶようなスキルだったらどうするんだよ……
「なんなんだよ。使いたくないのか使いたいのかハッキリしなよ」
ついに言ってしまった。
直情型の彼女だからこうでもしないと使わないだろう。
「ッ!良いわ!使ってあげる……『奴隷魔術』!」
『奴隷魔術』か、なるほど。
それはなるべく使いたくないだろうな。
「アンタが私の前で良かったわ。他の人に正当防衛を主張できるし」
「これでアンタは私の奴隷よ、さぁアンタのスキルについて話しなさい」
「……」
「どうして黙ってるの?話しなさいよ!」
「ハァ、嫌だよ」
答えは当然NOだ。いやどうせ話すんだからYESでも構わないんだけどな。
「え?もしかして不発?それともアンタのスキルって『魔法無効化』なの?」
『魔法無効化』……まぁその側面もあるだろうな。
特にお前たちに対しては、だが。
「違うよ」
おもむろにステータス画面を開く
哀田剣牙 LV.107
転移者 復讐者
HP1296/1327
MP983/950
スキル 『全能無効&吸収』『奴隷魔術』
「……ハァ!?」
素っ頓狂な声をあげる彼女
「……もしかして」
ハッと気づいたように彼女は自分のステータス画面を表示させた
安堂珠美LV.104
転移者 リーダー
HP809/815
MP2059/2092
スキル 『』
つまりはそういうことだ。
「俺のもらったスキルはお前らのスキルを無効化して自分のものにする為のものだ」
魔王なんて俺にはどうだっていいんだよ……お前らに復讐したいだけなんだからな!
「ハッハッハハ!お前はお前のスキルに苦しめ!」
「ヒィッ、ま、まってよ。なにが望みなの?謝ればいいの?」
「……謝ってすむならこんなことにはなってねえんだよ。『奴隷魔術』」
「あぅ。……」
先程までの慌ただしさがなくなり遺跡に静寂が訪れた。
「いつまでもここには居られないな」
3人目が中々現れないのは色々カミサマと話し込んでるからか?
アレは中々の知謀家だからな。相手するにしても後に回したい。
「行くぞ……珠美」
なにも言わない珠美に命令をする。
「……はい」
一拍遅れて返事をして俺についてきた。
中々使えるなこいつは。いいスキルだ。
俺たちは2人で遺跡を後にした。