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陸上自衛官の本音

地平線の彼方にまで見渡す限り広がる草原。その草原の中に、一本の街道が設けられていた。街道といっても石造りでもなければ、コンクリートで舗装されたものでもなく、明らかに人の手によってむき出しになった幅広の地面が広がるだけだ。その街道をエンジン特有の甲高い音を響かせながら、車列が進んでいく。


その車両は民間のものではなかった。全て軍用車ーーで構成されていたーより正確に言えば陸上自衛隊で採用されている高機動車三台と軽装甲機動車(LAV)二台からなる小部隊だった。高機動車の天井には、軽機関銃が据え付けられ、軽装甲機動車(LAV)の銃座には12.7mm重機関銃(m2ブローニング)が設置され、88式鉄帽2型を被り戦闘服の上に防弾チョッキ3型をまとった普通科隊員が緊張した面持ちでそれらの装備を前に四周に目を配らせている。


既に軽機関銃にも重機関銃にも実弾は装填済みであり、安全装置を解除さえすればいつでも発砲できる。中には安全装置を密かに解除しているものさえいるかもしれない。


まるでアフリカかどこかでPKOの一環として停戦監視任務についているかのようだったが、ここはアフリカではない。それどころか地球上ですらない。

そこは異世界の大地だったーーー複雑に言えば同一次元に属する太陽系外惑星か並行世界の地球もしくは同じく太陽系外惑星が正体だと思われたが未だ結論は出ていない。


なんだってこんなことにと軽装甲機動車の銃座で12.7mm重機関銃(M2ブローニング)を覗き込む1士(一等陸士)は声に出さずに愚痴る。愚痴りながらも警戒は怠らない。潜伏する敵兵の弓矢にちょっとした油断から体を射抜かれ、死亡した同僚を見てきたためだ。


彼は国防に燃えて陸上自衛隊を志願したわけではない。


陸曹を養成する高等工科学校出や防衛大学校出、民間大学から幹部候補生学校を志願したならともかく彼は高校出だ。他国ならあるいは違うのかもしれないが、陸上自衛隊の一兵卒階級は殆どが高卒出身者からなる。


面接試験では勇ましいことを言うのかもしれないが、入隊を志願するものの本音は就職のために陸上自衛隊に入隊したいというのが実情だろう。彼も大学を受験するのは面倒臭く、民間企業よりも福利厚生は良さそうだからと自衛隊の広告用キャッチコピーに踊らされ、入隊を志願した口だ。


国防にさして情熱はなく、アジア情勢がきな臭いといっても死ね覚悟もなく、自衛隊に入隊し、志願の選択を後悔しながら6ヶ月間の前期・後期教育でしごかれた身である。そのため彼にとって日本を離れた異世界の地で自らの命をかけ、他者の命を奪うという現状は甚だ不本意だった。


なんで世界で最も平和ボケした国の軍隊でない自衛のための武装組織に入って、異世界への逆侵攻に参加しなくてはならいと彼は我が身の不幸を呪った。

それもフィクションにあるファンタジー世界に自衛隊が無双するような作品、例えばGATEあの地にて自衛隊戦闘せりとか自衛隊無双がすぎる日本召喚ならまだいい。


自衛隊全体での全滅こそ絶対に避けられるが、中馬涼介の戦国自衛隊記のような作品、イラクやアフガンのような泥沼化した状況で戦わなくてならないと。


異世界を自衛隊が攻めるも泥沼化した戦況で。あと1話で終わらせます.

ミリタリー知識は拙いので容赦を。

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