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2.精霊達との出会い②

初めての戦闘シーンです…。難しいなぁ。

ドンドン! 扉をたたく物凄い音でダイは目を覚ました。

「フロウ国軍がせめてきたぞ!」

窓の外から、悲鳴に近い雄叫びのような声も聞こえる。

ダイはベッドから飛び出し、窓から顔を出した。

まだ、フロウ軍は町の中までは攻め込んではいないようだ。

ほっと一息つくと、水を一杯飲み乾して部屋を出た。

その後、ダイは宿での打ち合わせ通りに、

町はずれの草陰からフロウ軍の様子を窺うことにした。

一直線に向かってくるフロウ軍に対して、

レジスタンス軍は魔法による遠距離攻撃を次々に放っていった。

その火の球がフロウ軍の兵士を直撃し、行く手を阻んでいた。

そんな中でも、女剣士が剣を一振りすると火の球が二つに割れ消滅した。

それを見たダイは、

「魔法剣か……、厄介だな……」

そう呟くとその姿をじっと見つめた。

彼女の背丈はダイと同じくらい、美しく長い黒髪を振り乱しながら火の球へ向かっていた。

その手には中国刀のような大きな剣が握られ、軽々と振り回しながら突進していた。

ダイは彼女の姿を見ながら力関係などを冷静に分析し、相手が一人孤立するのを待った。

しばらくして、一気にダイが動き出した。

ガチン!金属の触れあう音が響く。

剣と剣との力比べ、ぐっぐっとダイの剣が押し返される。

やはり接近戦は分が悪い。

そう感じたダイは、相手の力を利用しながら、

のらりくらりとかわしながら女剣士の周りを一周するような動きをとっていた。

丁度、元の位置に戻ってきた時に、重なり合う剣を強く握り締めた。

そして、全力で剣を突き放すように押し返した。

カンという乾いた音と同時に、ダイは一気に間合いを取った。

その瞬間、ゴゴゴゴという音とともに女剣士の周りに氷の壁が現れた。

「うまくいった……。

 詠唱破棄だったから失敗するかと思った。

 まぁ、こんなのは足止め程度だけど……」

そう独り言を言うと、氷の壁に集中した。

ガシンという氷の砕ける音がすると同時に水蒸気が立ち込める。

それを見た瞬間、一気に間合いを詰め、一瞬の隙をついて魔法剣をはじいた。

すぐにダイは女剣士を羽交い絞めにし、喉元に突き付け、

「これで終わりだな」

そう言った時、

ダイの首飾りと女剣士の指輪が共鳴するように白い光を放ち、

ダイと女剣士を包み込んだ。

「小僧、そこまでだ!」

ダイは力を弱めることなく、声のする方向を確認すると、

竜のような影が近づいてゆっくりと近づいてきた。

ダイは剣をにぎる手に力を込め、その影を凝視した。

その姿が徐々に近づき、その姿を見ることができるようになった。

その姿を見て、ふっと息を吐き、手から力が抜けた。

なんだ、とかげか……。

そう思った瞬間、

「とかげとは失礼な!

 我は火の精霊、サラマンドである。

 我に免じて、その手を離せ!

 さもなくば……」

サラマンドがそう脅しを掛けていたが、

ダイは冷めた目で目の前にいる小さなとかげを見下ろして、

「とかげが何を偉そうに……。

 ここで手を引いても俺には何のメリットもない!」

と言うと、先ほど弾き飛ばした魔法剣の方から声が聞こえた。

「小僧、調子に乗るなよ!

 お前など私の敵ではないのだぞ!」

ダイが声のする方を見た瞬間、魔法剣の姿が炎の鳥へと変化した。

その姿に驚きながらもダイは無言で自分の持つ剣に力を込めた。

その時、背後から

「ダイ、ここら辺が潮時だな。

 貴方の目的は彼女を殺すことではないだろう?」

振り向くと、ウンディーの姿があった。

その姿は以前にダイが見た時とは若干異なっていた。

その変化が少し気になったが、それどころではないので触れずに、

「わかった。ただし、一つ魔法を掛けさせてもらう」

そう言うと、目を閉じて集中した。

ダイが魔法をかけている間に、ウンディーが女剣士に問いかけていた。

「貴女、お名前は?」

女剣士は何も答えず、代わりにサラマンドが答えた。

「彼女の名前はレイ、我がこの世界に呼び寄せた」

「サラマンド、貴方に聞いている訳じゃない……

 それにしても、貴方この娘の事甘やかしすぎじゃないか?

 私より先に呼んでいるはずなのになんでそんな姿なのだ?

 ダイにもとかげとか言われていたが……」

ウンディーは口に手を当て、笑いをこらえるように言った。

話にひと段落ついたところで、ダイはウンディーに問いかけた。

「そんな姿って?」

「ん? 言ってなかったか?

 我ら精霊は異世界とこの世界とを繋ぐのに全力を使い、

 弱体化して第一形態に戻ってしまう。

 そして、導いた者が成長すると私たちも同じように成長する。

 ダイが頑張ったおかげで私は第二形態になったのだ。」

ウンディーの話を聞きながら、

『どおりで前に見た時と違うと思った……。

 しかしまぁ、ただ露出が高くなっただけのような気がするけど……』

などと考えながら、

「まぁ、俺たちの事は置いておいて、レイさんだったかな?

 さっきかけた魔法についてだけど、

 ある特定の条件を満たすと発動するようになっている。

 条件は二つ、俺への攻撃とブリュレ国への攻撃を行った場合、

 水竜の逆鱗に触れる。

 信じるか信じないかは自由だけど……、試してみるのはお勧めしないかな。

 まぁ、解除については次に会った時に相談しよう。

 ところで、レイさんがこの世界に居る目的は?

 俺は、誰かがこの世界の王になるのを阻止するためだけど……」

レイに問いかけた。

すると、今まで沈黙を保ってきたレイが突如、

大きな声を発し、叫ぶような口調で言った。

「私はこの世界の王となるのだ。

 そして、これまで私を馬鹿にしてきた全ての人間を見返してやる!」

「そうか、じゃあ俺の目的とは確実に対立するな。

 ただ、今のままの貴女ではどう頑張っても俺には勝てないよ。

 人間は自分のためには強くなれない、

 他人のためを思ってこそ強くなれると思う。

 それに、恨みや嫉妬で人を制しても、恨みと嫉妬しか生まれない。

 その気持ちで世界を制しても、誰も幸せになれないし、

 さらなる混沌が訪れるだろう。

 だから俺はこの世界と自分の世界を守るために何としても、

 一人の王が支配する世界が誕生する事を阻止する。

 貴女とも協力できればよかったのだが、残念だ。」

ダイはレイ達に向かってそう言うと、その場を離れようとした。

すると、サラマンドがダイに近づき、

「小僧、我は借りを作るのが嫌いなのでこれをやろう。

 くれぐれもこの位で我らに勝ったと思うなよ…。

 次に会う時は今回のような無様な真似はせん!」

そう言うと、ダイに指輪を渡し、すっと姿を消した。

そして、サラマンドの声がダイの頭に響く、

「これは炎の指輪だ。お主の魔力ならば使いこなせるであろう。」

それを聞いたダイは、

「そういうことなら、ありがたく頂いとくよ。

 次は戦うつもりはないけど……。

 それじゃあ、一旦町に戻るかな?

 レイさん、またどこかで会おうな!」

そう言って、ダイは手を振りながら町の方へ戻っていった。

ヒロイン(ツン)が登場しました。多分メインにはならないと思います。

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