最終会議
あと3話ほどです。お付き合いください♪
校門が見えた。
息が肺を焼く。時計を見る余裕もない。
ただスマホだけが、嫌になるほど存在感を放っていた。
《最終観測まで:00:03:48》
減っている。
走っている間も。容赦なく。
「はるな……!」
校門を飛び越えるようにして敷地へ入る。
誰もいない。
夜の学校は不気味なほど静かだった。
だが。校舎の奥。三階。
一つだけ明かりがついている。
俺は迷わず階段へ向かった。
足音が響く。一段飛ばし。二段飛ばし。
手すりを掴みながら駆け上がる。
その途中だった。
世界が揺れた。
「っ!」 壁が歪む。 廊下が二重になる。窓の外の景色が、一瞬だけ昼になった。
次の瞬間には夜へ戻る。現実が壊れ始めている。そんな言葉が頭をよぎる。
《観測負荷:82%》
数字が上がる。嫌な汗が背中を伝った。
そして。三階。見慣れた教室の前。開いたままの扉。
そこに。
いた。
「……はるな」
窓際。夕焼けみたいな街灯の光の中。
はるなが立っていた。
待っていたような顔だった。
最初に会った時の落ち着いた笑顔をこちらに向けていた。
「来たんだ」
静かな声。 俺は言葉を失う。
「なんでここにいる」
「たぶん」
はるなは少し笑った。
「ここが最後だから」
心臓が止まりそうになる。
「何言って」
「知ってたんだよ」
その言葉で。嫌な予感が確信に変わった
はるなは窓の外を見る。
「ずっと前から」
「通知のことも」
「観測のことも」
「あなたが選ばされていたことも」
頭が真っ白になる。
「……知ってた?」
「うん」
「全部?」
「全部じゃない」
はるなは首を振った。
「でも、一つだけ分かってる」
そして。まっすぐ俺を見た。
「最後に消えるのは私だよ」
世界が。
一瞬だけ完全に止まった気がした。
《最終観測まで:00:01:01》
通知音だけが。
静かな教室に響いていた。
消えるのは、「俺」か、はるなか。それとも全員か。




