第11話 師の真意、継がれる戦火
シノは医務室の窓辺で、じっと外の景色を見つめていた。
あの激闘から幾ばくも経っていないが、体の傷だけでなく、心に刻まれた敗北の痛みが深く残っている。
そこへ、扉の開く音が静かに響いた。
「まだ起きていたか、シノ」
その声は冷静で落ち着いていた。
振り返ると、そこには彼の師匠――ジル=アルヴァレストが立っていた。
「師匠……」
「じっとしているよりは話をした方がいいだろう。君に伝えなければならないことがある」
ジルはゆっくりと部屋に入り、シノの隣に座った。
「ジークのことだが、彼は私の最初の弟子だった」
「え……?」
シノは驚きを隠せなかった。
「ジークがここに来た理由。それは闇の帝がもたらす脅威に対抗するためだ。光の帝と闇の帝は長い間、世界を二分する勢力として対立している」
ジルは話を続けた。
「光と闇の属性は、普通の者には使えない。七帝のみの力だ。だが、闇の帝は禁忌の術を使い、他者の属性を闇化し強化することができる。つまり闇の力を宿した兵士を生み出しているのだ」
「つまり、闇の帝が魔法学校に手を出してきた……?」
「その通りだ。学校はただの学び舎ではない。七帝への登竜門でもある。闇の勢力は、それを妨害し支配を目論んでいる」
シノの目が強く光った。
「では、僕たちが守らなければいけない……」
ジルは頷きながらも、険しい表情を浮かべた。
「そうだ。だがそれは簡単なことではない。ジークと君の戦いは、彼らの仲間に君が対抗できるかを確かめるための試練でもあった」
「試練……」
「ジークは冷酷な男だが、闇に抗うためには必要な存在だ。彼が君の中に何かを見たからこそ、君と戦った。これは、君がこの先進むべき道を示す試練でもある」
シノは拳を握り締めた。
「僕は……逃げたりしない。ジークに勝てるように、もっと強くなる」
ジルは優しく微笑んだ。
「その覚悟があれば、君は必ず強くなる。今はまだ、闇との戦いの始まりに過ぎない」
部屋の外に風が吹き抜ける。
それは新たな戦いの予兆だった。




