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異世界ALIVE  作者: 路地裏
9/41

y9.後悔


 いよいよ待ちに待った出発予定日。

 昨日は少し寝るのが遅かったが、今日も早朝から行動を開始する。

 原始人に休みなどない。ブラック企業なのだ。


 まずは草を編み込んでツボとその蓋を幾つか作る。

 ほとんどは水を入れるのに使うんだが1つはまず木の実。


 もう一つは………虫だ。



 何故大っ嫌いな虫と共に、大海原へ航海に挑むのかと言うと食料の為である。


 私の船は木製だ。当然船の上で焚き火なんて自殺行為は出来ない。


 となると生で食べれる食材がいる、だが木の実だけでは心許無(こころもとな)いだろう。

 そこで、生でもなんとか食べられそうな魚を航海中に釣ろうと言う訳だ。


 そこでその餌となる虫がいるのである。

 だがご存知私は虫が嫌いだ。アリとか小さいのはまだ平気だけどワーム系がいかん。

見るだけで発狂モノだ。


 しかし私の中の魚の餌のイメージはワーム。オンリーワームだ。

 だから魚には出来るだけ手を出したくなかったが仕方ない……。

 苦手意識を無くさなければこのミッションは成功しない…。


 さあ!行くぞ!

 気合を入れ、私はジャングルの川沿いにある大きめの石を一気にひっくり返し……た……。





 ぎょああああああ!!!



 石の下には地獄絵図が広がっていた。

 見たことも無い虫がウヨウヨと群がり、その光景はさながら地獄、その中にはワーム系もそこそこいた。



 うわああ……いた……いちゃったよ………。

 いたら獲んなきゃいけないじゃん……。


 木の枝を箸の様に使い、恐る恐るワームを持ち上げる。

 するとワームは箸から逃れようと体を激しくよじった。



 うっえええぇぇ……

 気持ち悪っ!!思わず枝を離してしまいそうになる。


 分かった、これは見ちゃダメなんだ!

 持ち上げたら素早くカゴに入れる!!これだ!!


 私はジャパニーズスキル全開でワームを箸で掴み、素早く捕獲していった。



 その時悲劇は起きた。


 素早さを求めるあまり、正確さが足りなかったのだろう。

 1匹のワームをカゴに入れそこねた。

 そのワームはしゃがんで作業をしていた私の太ももに



 着地した。




 「うわわわわわわわあああああ!!!!」


 ジャングルに絶叫が木霊する。




 私は人生初の膝枕をワームに捧げた。








 くっそー……散々な目にあった。

 どうして私がこんな目に。


 でもまあワームは集まった。

 カゴの中はとても覗けないけど……。


 あとは海に出た時ように竹を節目で切る。中にワームを入れてツタでくくって海に沈めとけばなんかかかるだろ。


 幾つかその仕掛けを作っていかだに積み込む。



 忘れ物は無し!!



 さあ、出発の時は来た。

 私はいかだに乗り込み、流されないように木と繋げていたツタをナイフで切る。

 そしてオールで漕ぎ出した。


 行くぞ!海賊王に!私はなる!!











 いや、全然進まないじゃん。

 もっと進むと思ってたのに。


 もう船を漕ぎ出して結構経つがジャングルがまだ近い。

 これは私、海を舐めてた。


 これは一回戻ってもっといいオールを作るべきか?

 いや、少しづつでも進んでるんだ。

 それに潮の流れさえ掴めればきっと、もっと進むはずだ!


 そのまま夕暮れまで船をひたすら漕ぎ続けた。



 そろそろ暗くなってきたな。


 そうだ!魚用の仕掛けを上げてみるか!!

 私はウキウキでツタを引っ張りあげる。



 ……軽い

 ………これも軽い


 …………これも軽い!!


 全然かかってない!!

 なんで!あんな思いまでしてワーム獲ったのに。





 あれ、もしかしてこれヤバい……?


 とりあえず木の実をほんの少し食べ、(イカリ)を降ろす。

 でももう戻るにも遠いんだよなー……。


 まあ最悪魚が獲れ無かったとしても、木の実はかなり多目に積んである。

 きっとなんとかなるだろう!






 こうして私の人生初の大航海は始まった。


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