y15.兄妹
日が暮れ、町に着く頃には私のお尻は限界を迎えていた。
町に着くとデルセンが食事をしながら今後の話をしようと言うのでレストランに入った。
町をざっくり見渡して見た感じ、ランプの街灯なんかもあり、全体的に私のいた港町よりも都会だ。
レストランで食事を注文するとデルセンが切り出した。
「この町は憎き魔物共の生息地と隣接していて、狙われているのか町のすぐ近くにまで魔物がやってきます。
自警団に追い払わせているのですが埒があかず、まいっていました。
そんな時、そこに貴方の噂が飛んできました。
なんでもとても大きな音と炎で魔物を追い払えると。
それさえあればこの町もなんとかと思いましてね。」
「そうですか……私はとりあえず爆弾を作ればいいんでしょうか?」
「いえ、材料はとってこさせますし、制作作業はこちらでやらせます。
爆弾の作り方に関しても勿論買い取る形に致します。
ですので貴方には改良、もしくは違うものを作って欲しい。
貴方の作る爆弾は殺傷能力は低いと聞いています。
そこを改良して欲しい。出来ますか?」
うーん、出来なくは無いだろうけどまだこの世界の資源なんて全く把握出来てないし自分の目で見ないことには能力が使えない。
「…………近くに森や鉱山なんかはありますか?」
「鉱山はありませんが必要な物は行商人に言いつけましょう。
森はございます、魔物はそこからやってくる。危険ですので森での採取も専門の者に依頼します。」
うーむ、殺傷能力なら単純に爆弾を大きくすればいい。だけどそうすると持ちにくいし投げても重たくてあんまり飛ばない。火薬代も一発一発に沢山かかってしまうし何より危ない。かと言って新しい物だと新しい素材がいる。
「殺傷能力を上げることは出来ますが大きくなって持ち運びが困難になりますし材料費もかかります。
魔物を追い払うにはコストが悪いかと思いますので……」
「いえ、追い払いません。」
私がさりげなく従来の爆弾でとりあえず我慢してもらう方向に持っていこうとすると予想外の返答が飛んできた。
「え?」
どういう事だ!魔物を追い払う為に爆弾を使うもんだとばっかり思ってた私は口をポカーンと開けて聞き返す。するとデルセンは真剣な顔でまた話し始めた。
「殺してしまうのです。もう来ないようにね。
ご存じでしょうが、かつて我等人間と魔物は平和に暮らしていました。
それを突如魔物が人間を襲い、平和を壊したのです。
それからと言うと魔物は人間を見掛けては襲い。
人間もそれに応戦してきた。
それを人類の知恵を持って終わらせるのです。
実は私首都の人間でして、これは王からの依頼なのです。何としても達成したい。」
デルセンは一拍置いてその真剣な眼差しを私に向けて改めて言葉にする。
「だから……貴方には魔物を駆逐する為の兵器を作って欲しい……。」
その後私達はレストランを出た。
魔物と人間が平和に暮らしてた時代なんてあったんだ。
デルセンはなんか街の中心に建つデカい建物の中を案内し、ここが私の部屋だと、そして明日また迎えに来るとつげて帰っていった。
案内された部屋は広くて、フカフカのベッドがあり、凝った装飾がされた様々な家具やなんと風呂までついていた。お湯は伝えれば用意してくれるらしい。至れり尽くせりだ。
私は早速風呂に浸かりながら考える。
魔物を殺す兵器かー……。
今まで自分が生きる為に道具を作って来たからなー。
殺す道具なんて考えたこと無かった。
その気になれば能力でなんなりと作れるだろう。
素材も簡単に色々手に入るみたいだ。
しかし、あんまり気が進まない。
まあもうやるしかないんだけど。
魔物が襲ってくると言うのなら仕方ない……。
よし!私が一肌脱ごうじゃないか!!
風呂から上がって寝る準備を済ませ明日に備えて早めに眠る。そして翌日、こっちに来てから初仕事の日。
デルセンが迎えにきた。
「ここを研究に自由に使ってください。
必要な物は後ほど用意します。」
そこは何も無いだだっ広い部屋だった。
とりあえず机は必須だ、あと紙とペン。作りかたを教えるなら書かないと。
あとは……
「では爆弾に必要な素材を教えていただけますかな?」
私の考えに割り込むようにデルセンが入ってきた。
私は爆弾の素材と作りかたを教える。
「成程、そんなもので……素晴らしい……。
あとは研究の方で何かやっておきたい事はありますか?
何も無い部屋ですので捗らないかも知れませんが……。」
「では森を見に行きたいです。あとは手に入る鉱石も。」
「森は危険です。貴方を失う訳にはいかない……。
鉱石は持ってこさせましょう。」
やっぱりそう来るよな、でもこればっかりは私が行かなきゃ作れない。
「私が直接見なければ作れません。なんとかなりませんか?」
私が断固無理だという意志を込めて言うとデルセンは渋々OKしてくれた。
「……街の衛兵に護衛させましょう。
迎えに来させますので少しお待ちくだされ。」
しばらくして部屋にノックが響く。
「どうぞ。」
「失礼します!護衛をさせていただきます、自警団の者です!
貴女をお守りするように承っております!」
「はい、よろしくお願いします。」
入ってきたのは青年だった。しかも結構イケメン。爽やかな笑顔を私に向けてくる。
このイケメンが危険な目に合わないように兵器をつくると思うとモチベーションも湧いてくるというものだ!
外にも何人かの自警団の方がいて皆で守ってくれるらしい。
私は一応弓を持たせて貰った。まあどうせ当たんないけど。
「自分はフレイと申します!これから貴方様の護衛となり、遠征以外でも側にいるように命じられています!
何かあればなんでも自分に言ってください!」
フレイだと!?
このサラサラ金髪イケメンは多く見積もっても二十代半ばだ。
お爺ちゃんとお婆ちゃんの息子ならてっきりもっと歳がいってるものかと……
「わ、私はミサキと言います。
あの!貴方のおじ……じゃない、お父さんとお母さんにお世話になってました。」
「あ、貴方が!父と母からの手紙に書いてありました。
それは、、凄い偶然もあるものですね。」
私達は意気投合し、懐かしい港町のたわいない雑談をしながら森に入る。
だが結局、日が傾く頃まで探索したが新しい物は見つからなかった。まあイケメンと楽しく話しながら森を散歩というだけでも来た甲斐があったか。
暗くなっては危険だ。暗くならない内に町へ戻ろうという時にそれは来た。
「ゴブリンだ!構えろ!!」
緑の小人が2体。発見した衛兵が即座に叫ぶ。ゴブリンの手には棍棒。振りかぶってこちらへ走ってくる。
フレイはすぐさま剣を抜き、瞬きする間に一閃、また一閃とあっという間にゴブリンを切って見せた。
うわ、グロ……。
ジャングル生活と狩りで慣れて無いと吐いてたわ……。
ていうかこのイケメン強いな!
強くてイケメン!!異世界っぽい!!
「お怪我はありませんか?」
フレイは優しく微笑みそう尋ねてくる。
「は、はい!大丈夫です!」
お、思わず見とれてしまった……。
そこから町に着く頃にはもう日もくれていた。
フレイは私を部屋まで送り、また明日と言って帰っていった。
思わぬ出会いがあったもんだなー。
お爺ちゃんとお婆ちゃんの息子なら、私のお兄ちゃんと言っていいのか?
まあそれよりわざわざ森まで行って収穫が無かったのが痛いなー……。
鉱石の方に期待するしかないかー……。
鉄がちゃんと加工出来ればもっと色々出来るのになー!
ええい、無いものを言っても仕方ない!!
とりあえず思いついた物を紙に書いていきながら気づいたら眠っていた。




