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異世界ALIVE  作者: 路地裏
24/41

m11.彩


 月明かりに照らされる獅子と少女の影。

 そのすぐ側には少し大きい狼の影も潜んでいた。

 狼は一人と一匹の話を聞いて考え込む。






 ウチらはあれからちょっと休んで戻るつもりやったけど結局、そこでそのまま寝た。


 朝日がさして目が覚める。

 ペルはもう起きとった。


 「起きたか、戻るとしよう。皆心配しているだろう。」


 「おはよー……もう体大丈夫なん?」


 「ああ、休めば大丈夫だと言っただろう。

 もういつも通りだ。どれ。」


 ペルはそう言うとウチのセーラー服を咥えて空中に放り投げ、背中で受ける。


 ちょ、この乗せ方久しぶりやな!!


 「もう!その乗せ方やめてって言うてるやんか!!」


 「そうだったか?行くぞ、今日は落ちるなよ。」


 そうやって笑い合いながらウチらは集落まで帰ってきた。


 「おお!アヤ殿!ペル殿!心配しましたぞ!!」


 族長達が慌てて出迎えてくれる。


 「ごめんごめん、色々あってな!!

 帰ってくんの遅なってもうた!!」


 「一体何があったのですか?ペル様もお怪我を……!

 すぐに薬草をもってこい!!」


 ウチらが帰ってきて集落は急に慌ただしくなった。


 「狼にやられてな……ウチがドジ踏んでもうた……

 やっぱりウチが甘かったわ。そのせいでペルが……」


 「いや、あの程度の奇襲に気付けなかったのは私の落ち度だ。

 それにその甘さが今いる皆を集めたのだぞ。」


ペルは優しくフォローしてくれる。


 「ありがとう。

 せやけどもう狼達は諦める。仲間が傷付くぐらいやったらそんなこと言ってられへんしな!」


 ウチは覚悟を決めとった。


 「じゃあどうする、皆で森に狼狩りにでも行くか!?」

 

 ゴルが威勢よく話に入って来る。


 「そうやな……でもとりあえずはペルの手当が先や。

 その後にちょっと痛い目見てもらおうか……」


 「いや、その必要は無いかも知れません。」


 ウルドがそう言いながら集落の入口の方を睨みつける。

 集落の入口の方からは白狼を先頭に狼の群れがやって来ていた。



 「正面から戦争しようと言う訳ではあるまい、何の用だ!」


 狼達と一定の距離を保ち、睨み合いになる中ウルドが叫んだ。


 「貴様等に……いや、そこの人間に興味がわいた。

 ……少し話をしたい。」


 ペルをこんな傷だらけにしといて今更話なんか聞く気なるか!


 「なんや!今更話聞けってか!!都合良すぎるやろ!」


 「都合がいいのは重々承知している。

 拒否するのならこのまま帰ろう。」


 「アヤ様、聞くだけ聞いてやってもよろしいかと。」


 踵を返そうとする狼を見て慌ててウルドが耳打ちしてくる。

 確かにウルドの言う通りや。感情的になるより聞くだけ聞いた方が得か。


 「………分かった。聞くだけ聞いたる!」


 内心むしゃくしゃしとるけどウチはもうリーダーや。好き勝手はできん。苛立ちを押し殺してウチは言った。


 「昨日貴様等が話しているのを聞いた。

 貴様は魔物を統一しようとしているのか?」


 「そうや!ほんで争いを無くす!!」


 「もし……もしもそれが成ったとして、その後人間とはどうする。」


 「人間とも仲良くする!争いを無くすんや!

 聞いとったんやったら知ってるやろ!」


 昨日の件と話を盗み聞きされていた事に、つい攻撃的な口調になる。


 「貴様こそ話を聞いていたのか?人間は愚かだ。

 我等が平和を持ちかけても自ら崩す。再び繰り返すとでも?」


 「そんなことはさせへん!!ウチがおる!ウチは人間や!

 ウチが架け橋になる!人間も!魔物も!皆で仲良う暮らすんや!そんな世界が出来るまで、誰にも邪魔なんかさせへん!」


 ウチは思いの丈をぶちまけた。すると白狼は少し考え込む。


 「…………あいわかった。

 その道、見届けさせてもらう。昨日の非礼をここに詫び、お前達の集落に手を出さない事を誓おう。」


白狼はそう言ってほんの少し頭を下げた。


 「それって……」


 「勘違いするな。貴様等の仲間になる訳では無い。

 これで我等は失礼させてもらう。

 だが忘れるな、貴様等がそれを成せなかった時、またはその志を忘れた時、我等はまた貴様等に牙をたてる。」


 そう言って狼達は去っていった。




 やがて狼の姿が見えなくなり、シーン……としていた集落全体から歓声があがる。


 やった!やったんか!仲間には出来んかったけど説得出来た!!


 「やりましたな、アヤ様。

 これでこの山周辺は事実上アヤ様の領地と言う事になります。」


 「うおおおお!!

 やったのか!流石アヤ様!我等が見込んだだけの事はある!!」


 「私達に便乗しただけの癖に何を言うのか……。

 ともあれ、おめでとうございますアヤ殿、これでまた一歩近付きましたな。」


 族長達が口々に称賛をくれる。ウチも達成感で胸がいっぱいになった。


 「ありがとう!みんなのおかげや!!ウチ一人じゃ出来んかった!

 ペル!!やったで!とりあえず第一歩や!!」


 ペルに駆け寄って飛びつく。


 「ああ、よくやった。

 だがまだ先は長いぞ。浮かれ終わったら気を引き締めろ。」


 「かったい事言うなや!とりあえず今は喜ぶんが先や!」


 ペルはやれやれと言った感じだったがその顔は確かに笑っていた。




 今までこんな達成感味わった事ない!


 絶対やったる!皆が笑えるように!

 誰も争わへん世界を、皆で作るんや!!






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