迷宮探索(1日目)
1班が迷宮に入っていくのを見届け、少し時間をおいて、みんなに呼びかける千秋。
「じゃあみんな、そろそろ行こっか。フェデルクさん。3班のみんなのこと、頼みます。」
「任されました。チアキ殿。」
「よし!じゃ、気を引き締めて、いくぞー!」
その掛け声に2班の面々も「おー!」と声を上げる。
そうして、2班も迷宮に足を踏み入れる。
それを見届け、少し時間をあけてフェデルクも同じように一同に声をかける。
「それでは、皆さん行きましょうか。極力、距離を置かないでついてきてください。迷宮の中は少し暗いから、見失えばすぐに迷ってしまいますよ。では、行きましょう。」
そういって歩き出すフェデルクについていく一同。
そこには、先ほどの二つの班とは違う沈黙が流れていた。
何故か、誰も喋ろうとしないのだ。
そんな妙な居心地の悪さを残しつつ、真人たちも迷宮へ踏み出した。
迷宮に入ると、ところどころに白く淡い光を放っている結晶が、壁に刺さっていた。
その光によって、ある程度の明るさを保っているのだ。
妙な沈黙を残したまま、少し進むとゲームなどでおなじみの、プヨプヨとした薄い透き通った緑色の生き物が出てきた。
「あれは……スライムか?」
「ええ。グリーンスライムです。とても弱いモンスターですが、少々面倒な特性がありましてね。」
「……分裂して無限に増えるとかか?」
「よくご存知で。そうです。スライムには無限増殖機能があり、武器で切っても増え続けるだけです。とはいえ、そこまで攻撃力のあるモンスターではありませんから、危険という程ではありません。」
「なるほど。」
「見ていてください。私が倒しますから。」
そういって手を掲げ、火魔法を使うフェデルク。
無駄に派手な光の魔法式が出て、その魔法式から火が飛び出て、スライムが消し飛ぶ。
「こんなふうに、魔法を使えば簡単に倒せるわけです。
今回は少しオーバーキル気味でした。普通ならもう少し威力を抑えて打っても倒せますよ。」
そういって、またにこやかに微笑むフェデルク。
「では、進みましょうか。」
そういってまた進み出す一同。
その後、ゴブリンやオーガ、コウモリにヘビ何かも倒しつつ、先へ進む。
「止まってください。おそらく、ここはモンスターハウスです。」
そういって静止の声をかけるフェデルク。
「モンスターハウスか。みんな、武装の準備はできてるか?」
真人が皆に声をかけ、武装の確認をする。
それにフェデルクが焦ったような声を上げる。
「待ってください。わざわざリスクを増やしてまで行く必要は……」
「何故?別にリスクという程でもないだろう。この人数だ。そこまで問題は無い。」
そういって、プロト・クーゲルを取り出す真人。
「で、ですが……」
「さ、行くぞ。」
そういって仕切る真人に、少し嫌そうな顔をフェデルクは浮かべたが、渋々と言った感じでついてくる。
入ると、そこは、明らかにサイズのおかしい蟻がたくさんいた。
当然、女性陣たちは震え上がったが、そんな事はつゆ知らず、真人はプロト・クーゲルの引き金を引く。
プロト・クーゲルのあまりの過剰すぎる一撃に、蟻達はその巨体を壁に打ち付け絶命する。
その光景を見て、絶句するフェデルク。
そして、やられた蟻を見て、真人は、
「チッ……。これでは話にならないな。楽しくない……。」
と顔をしかめるのだった。
その後も、何度かモンスターハウスを見つけては狩り、一階層から二階層に降りる階段を見つけ、今日の迷宮探索はそこまでとなった。
みんな、少し物足りなさそうな顔をしていたが、初日だし、こんなものかと言った感じだった。
もっとも、1人あたりの狩った総数なら普通の冒険者が1週間もぐり続けてとる数を圧倒的に越していたのだが。
真人は、あまりに不完全燃焼過ぎたようで、「はぁ……。」と残念そうにため息を吐いていたのであった。
王城でずっと訓練してた勇者達や騎士たちからすれば、一階層では話にならないのでしょうね。
ちなみに、ほかの班も何も変わった出来事はなく、探索を終えたようです。
今回のお話を書きながら聞いていた曲は、HoneyWorksさんの「アカツキヅクヨ」です。HoneyWorksさんの曲、めっちゃ好きです。
さて、今回はこの辺で。ではまた次回〜。
千秋「そろそろ番外コーナーかもね。(ボソッ)」




