朝の訓練 part2
春輝が朝起きると、目の前に美冬の可愛らしい顔があった。
少しドキドキしつつ、微笑みながら美冬の髪をなでると、美冬は「……んっ」と呻いて、気持ちよさそうにすやすやと寝ていた。
そんな彼女を眺めつつ、のんびりしていると、ジルさんとの待ち合わせの時刻に近くなってしまったので、着替えて行くことにする春輝。
ドアを開けて外に出ようとする春輝の背中に、美冬は寝ぼけ眼を擦りながらも、
「行ってらっしゃ〜い……。」
と、言ってくれる。
その言葉に春輝はにやけつつ、
「行ってきます。」
と言ってドアを閉めるのだった。
「それで、彼女さんと昨夜は楽しめましたか?」
「ええ。一緒に寝て、充分彼女成分を補給できました。とりあえず2週間は渇望症を抑えていられますよ。」
そういって苦笑する春輝。
ジルはそんな春輝に優しげな笑みを向けながら言葉を紡ぐ。
「お嬢様にも、見送りの義務はあるので、見送りはできると思います。しかし、ハルキ殿の弱点は彼女さんだったとは……。」
「……あながち否定できません。あの子にお願いされたら、何でも許可してしまう自分が怖い……。」
「愛妻家なんですか?」
「かも知れません。」
そう言いながら、朝の訓練である技のかけ合いを続ける春輝とジル。
「そういえばハルキ殿、新技ができたとか言ってませんでしたか?」
「あ、そうなんですよジルさん。昨日オリガさんと戦ってて思いついたんですけど、見てもらえますか?」
「えぇ。構いませんよ。」
「じゃあ、行きますね。」
そう言って、右手に魔力を流す春輝。
すると、春輝の手に魔力の刃らしきものが形成され始めた。
「これは……?」
「魔力障壁の形を刃に変えたものです。名前は……そうですね。魔力手刀と言ったところでしょうか。」
「使い道は?」
「剣を使う相手に、素手で戦うのはやはり少し危ないので、これで戦うことが出来ます。あと、理論的には魔法を裂けます。」
「魔法を裂く?」
「えぇ。魔力を魔力手刀で叩き割って霧散させることで、魔法を壊せるんですよ。」
「……あなたはまた規格外な事をしますね。そろそろ驚き疲れました……。」
そう言ってまたため息を吐くジルであった。
愛歌さんの出番が今のところほぼありません……w
迷宮編では愛歌視点もあると思います。