ミーシャVS春輝
「では、これよりミーシャ殿とハルキ殿による、決闘を始める!両者、開始前に握手を…しなくていいから、早く始めてください!!」
ふたりが審判に握手をしろと言われる前に殺気を出すと、審判は震え上がりながら勝負の開始を促した。
賭けについてだが、勇者側の殆どは春輝に、騎士団の人間はほぼミーシャに入れていた。そのため、票数的にはミーシャが倍ほど春輝よりも多かった。
騎士団の票が入った理由は、前に騎士のひとりをリオネスを馬鹿にされたミーシャがブチ切れて、つい本気で殴り飛ばしてしまったためである。
その際、その騎士は全治2週間の大怪我を負う羽目になっていた。それ以来、ミーシャは女性の騎士からは「ミーシャ様…」と尊敬されており、男性の騎士からは絶対に怒らせてはならない対象となっている。
「待ち遠しかったですよ。男女さん。」
「そうだな。俺も待ち遠しかったぞ。眼帯チビ。」
「「お前を本気で殴れるこの決闘が!」」
「やっぱりお二人共、本当は仲がいいんじゃないですか?」
ジルが呆れたように言う。
リオネスとジルが座っている階段に、騎士団の特訓でヘトヘトになった美冬がやってくる。
「こんにちは。あなたが春輝君のお嬢様ですか?」
「む?ハルキの知り合いか?ああ、私がハルキの主である、第三王女のリオネスだ。よろしく、ええっと……」
「望月美冬です。春輝君の友達で、今は騎士団の方で特訓させてもらっています。」
「ミフユか。よろしく頼む。騎士団の練習は今まで武器も握ったことの無い貴女のような乙女では辛かろう。しかし、自分を守る手段として、手を抜かずに鍛えることをオススメするぞ。」
「ありがとうございます。リオネスさん。」
「リオネスでいい。さん付けは好かん。」
「ふふっ、じゃあリオネス。心配してくれてありがとう。」
「構わんよ。それよりも決闘が始まるぞ。」
美冬が目を向けると、ミーシャが構えを取り、春輝も何かをしようとしていた。
そして、その場にいた全員が次の瞬間、あまりの悪寒に体を震わせた。
ミーシャだけはそれに気づいていないのか、春輝に向かって走り出していた。
「はぁっ!」
ミーシャの拳が春輝を襲う。
ミーシャは自分の拳がが春輝の腹部に当たったと思った、その次の瞬間、ミーシャの視界は一回転し、直後に背中に痛みが襲ってきた。
春輝が行ったのは、春輝自身が朝に行われたジルとの訓練でジルにやられた、相手の勢いを使った投げ技だった。
ミーシャは咄嗟にすぐに起き上がるが、春輝は起き上がるミーシャにはあえて何もしない。
その意味を考えないミーシャは、追撃をし続けるのだった……。




