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ヤクザと召喚師  作者: 緑一色
狂助召喚編
2/38

主人公死亡?

片桐狂助は事態の把握に困った。




目を覚ましたら畳で寝ていたはずが地面で寝ていたら誰でも驚くだろう。


狂助は一瞬これは夢だと思っていた。



確かに昨日は山口組との抗争の前夜祭と称して飲み会をしていた。そして、狂助を含め幹部数人と3時まで飲んでいた。

しかし、この状況はいくら酔ってどこかを放浪して辿り着いた場所だとしても辻褄が合わない。



「何だ?これが召喚獣か?」



その声を聞き、狂助は起き上がった。


そこに広がっていた景色は更に奇々怪々なものであった。





一人の怯えた顔をしている少女、3人の屈強そうな男達、そして足下に描かれている幾何学的な模様。



「何だ・・・・・・ここ?」

そう呟き狂助は更に辺りを見渡した。



新たに発見した物は狂助の真後ろにそびえ建つ大きな建物だった。


どうやら、学校のような所らしい。狂助はここがどこか聞くことにした。




「あの・・・・・・ここは、どこですか?」



一般人にはとことん優しく、それが頭から教えてもらったことだった。

一応、少女にも男達にも聞いたつもりだった。答えたのは男達のほうだった。




「こいつ・・・・・・自分が何なのか分かってないのか?」

「もしかして、ここに来た理由も知らないのか?」

「つまり、チャンスだな」



リーダー格のような男がそう言ったのを皮切りに2人の男が笑いだした。


すぐにリーダー格の男も笑いだした。



それを聞き、少女は残念そうに俯いた。



「ガキ!!残念ながらお前の召喚獣はザコだったみたいだな」



召喚獣という聞き慣れない単語に狂助は反応した。




「あの、召喚獣って何ですか?」



また、男達は笑いだした。さっきよりも大声で笑っている。ひとしきり笑い終えて、男達は狂助の質問に答えた。






「お前のことだよ!!」




「・・・・・・は?」


駄目だこいつら。いかれてる。薬でもやってラリってるのだろう。


勝手にそう判断した狂助は少女の方に質問することにした。


子供は苦手だが麻薬中毒者よりはマシだろうと判断したことによるものである。





少女は13、14くらいに見えて髪の色は金色。



中々整った顔立ちをしており、少々体には合わない小さめのドレスを着ている。

かなり着込んでいるようでボロボロだ。



「そこの君、ここがどこか分かる?」


その声はどう聞いても不審者の声色そのものであったが、狂助にはそれが精いっぱいだった。




「ここは・・・・・・召喚師育成学校と言います」


ボソボソと恥ずかしそうに小さな声で少女は答えた。



「いや、そうじゃなくてここは・・・・・・何県?ってことは無いか。何市?」

「県・・・・・・市・・・・・・?」



「いや、それじゃ」



その時、狂助は腹部に鋭い痛みを感じた。


腹から剣が2本飛び出ていた。




「なっ・・・・・・」


狂助は言葉を失った。


一度、小刀ドスで刺された覚えはあったが、この痛みはその比ではない。




何度も修羅場をくぐってきた狂助にも初めての体験だった。



狂助は喘ぐ間もなくその場に俯せに倒れ伏せた。





「さて、嬢ちゃん。そこをどいてもらおうか。邪魔者も消えたことだし」



リーダー格の男がそう言い放つ。


部下の男2人も残りの部下たちに倣って狂助から剣を抜き、少女に向けた。




そこで、少女は先ほどの狂助との会話とは打って変わって大声で言い放った。




「嫌です!!」

「強情だな。お金さえくれればおじさんたちは何もしないよ」



当然だが、嘘である。



それくらいは幼い少女にも分かっていた。


「もう帰ってください!!これだかの騒ぎになったんですから先生たちがガードを呼んだはずです!!」



「残念だがその希望は捨てた方が良いよ。お嬢ちゃん」




そう言ってリーダー格の男は建物、召喚師育成学校を見やった。



すぐに中から部下らしき男たちが数人出てきた。


揃いも揃って体中返り血まみれである。



少女は彼らの姿を見て言葉を失った。



「ここいらを仕切っている盗賊〔片目の狼]を舐めてもらっちゃ困るな。

とっくの昔に部下を何人か中に向かわせていた。

どうする?お友達と先生と一緒に死ぬか?」




リーダー格の男からさっきまでの優しげな口調は完全に消えている。



リーダー格の男も含め男たちは少女をいたぶるのを楽しんでおり、下卑た笑みを浮かべている。







この時、男たちは完全に狂助の死体など眼中になかった。



死んでいたはずの狂助の体がピクリと動いた。


そのまま狂助はゆっくり起き上がると先ほど自分を刺した男の肩を掴んだ。




「おい」

「あ?」



「痛えだろうが!!」




狂助は渾身の右ストレートを男の腹に打ち込んだ。




男は苦痛で表情を歪ませながら校舎の壁に叩きつけられた。



それを見た狂助を刺したもう一人の男は震えながら叫んだ。


「確実に急所を刺したのに・・・・・・うわあああっ!!」



男はまるで幽霊でも見たかのように一目散に逃げ出していった。


「何だってんだよ、全く。

・・・・・・あれ?俺、何で起き上がれてるんだ?」



狂助は今頃になって体の異常に気付いた。

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