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第40話 俺たちは残りを拾いに行く
出発は夜明け前だった。
北壁搬送路の前に並ぶのは、俺、セリア、ミーナ、リゼット、ロム、そして荷役組合から出る成人の補助員二人。全員が大人で、全員が自分の役割を知っている。
背中には墓標番号七番で拾った背負い具。
手元には正式許可証と、返還予定の荷札一覧。
「今度は隠れずに行けるわね」
ミーナが許可証を振る。
「その分、見られる」
リゼットが言った。
「上等だ」
セリアが笑う。
俺は北壁の暗い入口を見る。
最初は、死んだ荷運びの鞄ひとつから始まった。
そこから剣士の借りも、補給長の後悔も、酒場の指輪も、監査官の怒りも、全部拾ってここまで来た。
だから次も同じだ。
深い所に置き去りにされたものを、ちゃんと持ち帰る。
「行こう」
俺が言うと、ロムが短く頷いた。
「今度こそ、次の便を残すぞ」
その言葉に、少しだけ胸が熱くなる。
英雄の遺品は、まだ全部じゃない。
迷宮都市が埋めた真実も、まだ掘り返しきれていない。
けれど回収屋の仕事は単純だ。
誰かが捨てたことにしたものを、捨てられたままにしない。
俺たちは北壁の奥へ歩き出した。
残りを拾いに行くために。




