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第27話 赤錆の昇降機
第二封鎖室へ向かうには、旧貨物用の昇降機を使うしかなかった。
鉄格子の箱は、見た目からして危ない。赤錆で床が波打ち、滑車は半分死んでいる。
「これ、乗るの?」
ミーナが珍しく本気で嫌そうな顔をした。
「他に道はない」
リゼットが事務的に答える。
俺は昇降機の制御棒へ手を置いた。冷たい金属の向こうから、また誰かの残り火が流れ込んでくる。
五十二歳くらいの昇降係。腕が太い。声が低い。
『荷は重さで壊れない。偏りで壊れる』
木箱を置く位置、足場の取り方、荷縄の締め順。
頭の中へ、重さの分布が線になって見えた。
「三人は左、ダリオさんは後ろ。ミーナ、その鞄は中央だ」
「急にどうしたの」
「昇降機の機嫌が分かった」
半信半疑のまま位置を変えると、きしみが少しだけ収まる。
降下が始まった。
途中で一度、大きく傾く。セリアの足が滑る。だが俺は反射的に荷縄を蹴って重心を戻していた。
箱が鳴き、格子が揺れ、けれど落ちない。
「今の、見えてたの?」
セリアが息をのむ。
「多分な」
戦う技じゃない。
でも、運ぶための技だ。
底へ着いた時、昇降機は最後に大きく軋んで止まった。
目の前には古い積み降ろし場と、封鎖された鋼鉄扉。
第二封鎖室は、この先にある。




