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深淵狩りの花  作者: 三日月 帆立


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11/11

11話 対面

登場人物紹介


冬木ふゆぎ 立夏りっか

アビスハンター1200期の成績最下位者。装備は故教導士官、佐野柳子の形見のワダチという日本刀である。しかし試験を受けてから今まで銃で戦ってきた。

現在本部では行方不明として全力の捜査が行われている。本人と言うよりはワダチを失うことが本部にとっては痛手なのだ。

深淵に落ちてからというもの、かなりの戦闘をこなしている。


烈士れつじ ひじり

 新任の教導士官。ランキング6位から繰り上がりで5位になり、士官になった。立夏たちを見送り次の受験生の試験を始める。立夏のランキングアップは彼女が聖を助けた功績と、次の深淵の破壊によって推薦された。ワダチを譲り、ランキングアップに推薦とかなり目をかけている。


:本部:

本部第襲撃から回復し、施設の復旧も進んでいる。2名のハンターが行方不明になっているため、総力を挙げて探している。

「どんな状態だ? 報告してくれ」

 教官が通信を入れてくる。

「教官、今山のようなところに居ます。現状異形の姿は見えません」

「そうか、そのまま登ってみてくれ。」

「わかりました」


 とは言いつつ既に2時間は登っている。石柱が生やしのように乱立している中を、滑りながら登っていく。山頂はまだ見えず、ひたすらに石柱がそびえたっている。と、タンカーの群れが4匹2集団集まっている。立夏を見つけると、叫びながら走り出す。


 タンカーとの戦闘は激しく、ワダチを50分そこそこ振り続けた。ついに最後の1匹を斬り伏せた。

「はぁ、はぁ、はぁ…はぁー」

 納刀して地面に尻もちをつき、コンソールを叩く。

「教官、聞こえますか? 今タンカー8匹と遭遇。戦闘をしました」


「タンカーが8匹か、ダメージはないか?」

「はい、ありません」

「そうかそれは有り難い。現状深淵の情報を持っているのは、立夏。お前だけだからな」

「あ、山頂が見えてきました!」

「ほんとか!? すぐ上がってくるんだ」


「……登ったら、私がいる」

「え」


 山頂には教官こと、烈士聖の姿があった。とはいうものの、彼女の姿は結晶に取り込まれるかのように立っていた。

「ようこそ山頂へ」

「きょ……聖さん、なぜそんな姿に」

「簡単な話よ、この刀を手に入れるため……」

 抜刀した刀は結晶で作られているが、その刀はワダチと瓜二つであった。


「これはノダチ、よくできているだろう? さぁその刀を折って、私が継承者として相応しかったのを証明してやる!」

 音速を超えた突進が立夏に襲い掛かる。既に抜刀していた立夏はすんでのところで回避する。頬が斬られ、スッと赤い血が垂れる。

「ほぉ、避けるのか。まぁいつも最高速で駆けてるだけはあるじゃないか! さぁ逃げろ逃げロ!」


 一進一退の性能すら同等な刀がぶつかり合う。しかし聖は高笑いをしながら、人間の稼働域を超えた腕の振り回し方をしている。それが結晶による強化なのかは分からないが、このままではらちが明かない。

袈裟に逆袈裟に、横縦一文字に。ノダチが空を切り裂き、獲物を捉えんとする。ワダチ持つ立夏も反撃するが、技量では当然聖が上であり、結晶で強化もされている。


「裏切者……!」

 立夏の目には涙が浮かび、腕の装備が赤く輝き始めた。

「ハハハ! 限界突破シテモ無駄無駄ァ!」

「ゆるさない…! 先任の事も忘れた気か!」

 聖の目が一瞬我に返る。その瞬間を、一瞬を逃さなかった。

「はぁあー!」

 


 パキィイン



 ワダチが、ノダチを根元から折った。折られた先の方は空中で散り散りになった。

「は? ……負けた? この私が、刀で?」

「……ヤハリ無駄カ」

 そこには先任、佐野柳子の仇であるアテナがいつの間にか姿を現していた。

「貴様! 騙したな!? ワダチと同等性能だと言ったじゃないか!」

「イッタハズダガ? ()()()()ダ」

「……は?」


 アテナは首を横にやれやれと振る。

「所詮ハ人。愚カナモノダナ。同等性能ナラ技量次第。ソンナコトモ分カラナイトハ…オロカダナ」

 烈士は膝をつく。つまりは実力、今まで自分が上だと信じて疑わなかった技量は深淵に落ちてきた立夏に劣ってしまったのだ。あるいは、深淵に聖が堕ちたからか。


 アテナは3メートルの巨体を縮小し、2メートル程になり、近づいてくる。

「リッカトイッタカ?」

「……佐野士官の仇に話す事はない」

「ソウイウナ、提案ガアル」


「コイツノ首ヲ落トセ、ソシタラ現世ヘ帰シテヤロウ」

「聖さんの首を…」

「落とせよ、立夏」

 聖がポツポツと話し始める。


「私は柳子…同期の信念すら、守れなかった。彼女の姉は異形に殺されたんだ…だから、異形の根絶。それを信念に掲げていた。なのに、私は異形に組し、後輩を妬み、私の一番の憧れの顔に泥を塗った。どうか、どうか殺してくれ…」

「教官…」

 立夏は刀を抜く、そしてスッと構え…


 間合いの中に居たアテナの首に突き刺した。

「!?」

「あなたはここで死んで何の償いになるんですか! 帰りますよ!」

「立夏…」

「ククク…裏切者ヲ助ケルトハ、人間ハヤハリ愚カダ」

「戦うなら私はここであなたと戦います。どうしますか」


 首から刀を引き抜いて再度構えなおす。しかし、アテナはにやっと笑って何度も見てきた異形達の出てくるゲートを目の前に出してきた。

「リッカダカ? 気ニ入ッタ。今度ハ現世ヲ破滅ニ導イテヤル…ガ、今回ハ互イニ手ヲ引コウジャナイカ」

「次はあなたを逃さないです。先任の仇ですから。でも今は賛成しときましょう、烈士さんを連れ帰りますので」

「ツギハカクゴシテオケ…」

 ゲートをくぐる最後の言葉を聞いて中に入る。出たのは本部のある街の郊外だった。数分でシンガリの部隊が速報でやってくる。

「シンガリだ…って、え? 立夏さん?」

「はい、1200期生冬木立夏です。それと裏切った人を連れ帰りました」

「は、はぁ…ひ、聖さん!?」

「話はとりあえず本部でしましょう。この人に手錠を。抵抗はしないと思いますが」

「は、はぁ」


 到着したシンガリ部隊はしばらく深淵ゲートの収縮を見届け、聖を拘束し本部へ帰った。立夏も、事情聴取を受けることとなる。

登場人物紹介


冬木ふゆぎ 立夏りっか

アビスハンター1200期の成績最下位者。装備は故教導士官、佐野柳子の形見のワダチという日本刀である。しかし試験を受けてから今まで銃で戦ってきた。

現在本部では行方不明として全力の捜査が行われている。本人と言うよりはワダチを失うことが本部にとっては痛手なのだ。

深淵に落ちてからというもの、かなりの戦闘をこなしている。烈士聖との戦闘で勝てたのは、彼女が単調な攻撃しかしなくなったからであり、ちゃんとした場で戦えば聖が勝ったであろう。冷静に対応した立夏の勝利と言える。


烈士れつじ ひじり

裏切者。

結晶の力を含んだ装備は力を増幅し、本来の人のパワーを何倍にも発揮させる。だが、同時に体内を破壊する諸刃の剣だ。欲に溺れ、唆され、深淵に堕ちた彼女を本部はどうするのか。


:本部:

本部第襲撃から回復し、施設の復旧も進んでいる。

裏切ったという報を受け司令部は混乱の嵐を呼んだ。とにかく二人の事情聴取から話は始まる。

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