58話 ルキナ2
58話 ルキナ2
ジャスティスやウルーガも、野宿のために自分たちができる事をそれぞれ手分けして行なっていく。
ウルーガは持参している両手持ちの真鍮鍋を取り出し簡易的に作った調理器具に取り付ける。保存のきく野菜などや香辛料を入れ煮込んでいるあいだにカインとルキナ、ジャスティスの三人は手頃な食材を集めていた。
ルキナとジャスティスが木の実や香草を使ったサラダを作り、ウルーガはカインが川から釣った魚を入れたブイヤベース風のスープをメインに夕食が完成した。
「さぁ、食べましょうかね!」
皆それぞれ焚き火を囲むように手頃な丸太に腰掛けて、木皿に盛ったスープを片手に食べ始める。
お互い雑談を交えつつも夕飯は楽しく過ぎていき、空がほんのり薄暗くなるころにはジャスティスたちは木の葉や藁を集め粗末な布団を作るとそれに横たわってそれぞれ眠りについた。
――夜半すぎ。旅の疲れがひとときの休息で少し癒されたころジャスティスはかすかに聞こえた柔らかな歌声で目を覚ました。
自身の周りを見れば、大きなイビキをかいてるカインと静かに寝息をたてているウルーガの姿がある。
(あれ? ルキナさんがいない?)
半身起こして辺りを伺うがルキナの姿はなかった。
耳には微かな歌声が聞こえており、ジャスティスは身を起こし歌声を頼りにルキナを探し出す。
ルキナは湧き水のところにいた。岩に腰掛けて鼻歌混じりに髪をとかしている。
「あらぁ、ジャスティスちゃん。起こしちゃったかしら?」
ジャスティスの姿に気づくと明るい笑顔を返してくる。
「あ。いえ」
ジャスティスは小さくかぶりを振り、
「ルキナさんはなにをしてるんですか?」
「ふふ。身だしなみよ」
と、ウインクひとつを見せるルキナ。
「身だしなみ……」
「ジャスティスちゃん、こっちにいらっしゃい?」
小首を傾げるジャスティスを手招きするルキナ。自身が先ほど座っていた岩にジャスティスを座らせる。
ジャスティスは言われたがまま岩に腰掛けて、
「な、なにするんですか?」
借りてきた猫のように身を縮こませる。
「男の子もね、ちゃんとキレイにしなくちゃ」
言いつつ、ルキナは麻で織られた手拭いを湧き水に浸し軽く絞った。
「さぁジャスティスちゃん、上脱いで?」
「えぇ?!」
ルキナに突然そう言われたジャスティスはビックリして振り返る。
「脱がないと背中拭けないじゃない」
少し唇を尖らすルキナ。その表情が、ジャスティスにとってはすごく魅力的に見えて、『あ……はい』と、ジャスティスは素直に頷いてベストや襯衣を脱いだ。
「……ジャスティスちゃん……」
ルキナは、少年とも言えるジャスティスの背中を一目見て息を呑んだ。
「この傷……、どうしたの……?」
少年の背中は所々に痛々しい切り傷があった。切ったと言うよりは切り裂かれたほうが正しいが。
「ああ、それですか?」
ジャスティスは首だけを後ろに回し、
「ここにくる前、狼たちに襲われちゃいました」




