表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短編集  作者:
PR
1/7

猫が転生して恩返しする話

あやめ: 猫


娘: あやめの飼い主




私の生は幸せで始まって幸せで終わっている

こんな猫生だった

え? 猫?そう、今の''俺''は人間。

生きてるじゃん って?


君は────前世って信じる?



***********



『私』が覚えている最初の記憶はこの家に貰われてきて、名前を付けられたところから

「あやめ」これが私の名前

この家のお母さんと娘が花が好きらしく、私の目が光を反射してあやめのような綺麗な色になることから付けられた

あと、メスだから可愛いって理由でもあったみたいだが


初めは名前を貰えたのが嬉しくて、でも恥ずかしくて……

名前を呼ばれる度に物陰に隠れていた

その度に、娘は私を探し出して「あーやめっ!」 と無邪気な笑顔で呼んでくる

その時ばかりは観念して「にゃぁ」と鳴くしかなかったのだけれど


月日は経って、あれから十数年

色々とあったけど幸せなのには代わりはなかった


今の私は衰弱していてもってあと三ヶ月だそうだ

寿命だろう


猫は自分の死期を悟ると何処かに行ってしまう、という

私もその猫たちと同じように弱った体を引きずって一匹、静かに自分の生に幕を下ろした




娘side


私の初めての友達は「あやめ」だった

何をするでも一緒

彼女は懐いてくれているのか度々疑問になるほどツンツンした態度だったが私が泣いているとそっ と傍に寄り添ってくれた


でも、人間と猫の寿命は違うもんね

仕方が無いことだけど、ものすごく悲しかったのを覚えてる


そして今、私の初めて家族以外で出来た、大切な人の命もまた燃え尽きようとしていた


「あやと」私の旦那だ

お母さんを強盗から救ったのが出会ったきっかけだっけ…

結婚して十数年、幸せだった

あやとが居てくれたから私はどんなことにも耐えられた

あやとが居なくなるなんて考えられなかった


でも、私にはどうすることもできない

病気には抵抗する術がないのだ

あやとの生まれ持った病気は難病のようだった


結婚する前には聞かされていたのだけれど、元気なあやとを見ているとそんなこと、忘れてしまっていた


今となってはもっと前から覚悟しておくべきだったのだと後悔している


今日、あやとが息を引き取った

私は泣いて泣いて、三日三晩は泣き腫らしたんじゃないかってくらい涙が出て止まらなかった


その数日後あやとの遺品を整理している時だ


あやとの日記

こんなものを書いていたなんて知らなかった

悪いと思いつつも中を見てみると とんでもない事が書かれていた




日記


本当に人間になってる……

死ぬ前に願ったことが叶うって本当だったんだ


せっかく人間になれたんだ、あの家族に 恩返しがしたい

私を愛してくれたあの家族に……


私はこの人生では「俺」としてあの家族に恩返しすると決めた


ある日散歩をしていると何やら騒がしい声が聞こえた

気になって行ってみると、そこには強盗に襲われているお母さんがいた


この姿で会うのは初めてなので初対面を装って助けた


一つ目の恩返し




娘side


こんなことがいくつも書かれていた

''恩返し''

このワードは日記の中にいくつも出てきた


読んでいくうちに私の中では確信に変わっていた


そして、私と出会った時のこと

病気のこと

そして、死ぬ間際に書かれたと思われるもの……




手紙 TO 娘


俺は幸せだった

もう一度、今度は人間として君に会えるなんて 嬉しかった


俺の最後の恩返しは君をずっと守ること、

そう決めたはずだったのに叶えられなかったな

やっぱり、願いに対価は必要だったんだ


初めの恩返しをしてから''前''と同じの年数だけ

これが俺の寿命


俺は自分の死期がいつ来るのか分かってた

でも、娘には幸せでいて欲しかったから伝えなかった

ごめんな


だから、1つだけ

今度は素直になろうと思った

「猫は自分の死期を悟ると何処かに行ってしまう」

前回は俺も姿を消したよな

でも、今回は……行かない

絶対に君から離れたくなかったから


愛してるよ、前の時も今も


君も、俺を愛してくれてありがとう


FROM あやめ、あやと





そっか、はずっと私を見守ってくれてたんだね

ありがとう、私も 私もね?


────愛してる




リクエスト頂いた小説です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ