第二章 capter-2 「朝霞ミストエリア」(3)
「篝火二号。これが例のジェミニ鋼……だっけか」
「リーブラ鋼の原石です。これを溶かして魔石や金属と鋳造することで相応のものが出来ます」
訂正を受けつつも、何階か下った後に30m大の巨大な結晶体の前に辿り着く。
青光りをした綺麗な金属で、昔本で見たサファイアとかいう石に色合いは似ていた。
「正八面体の綺麗な金属だと、そう見えるな。これは素手で触ってもいいのか?」
「構いませんよ。特に価値は下がりませんし有毒ではないです」
近くにあった破片を、触って持ち上げようとする。
「……何だこれは。……無理だ、重い」
「でしょうね。密度はありますから」
「この金属でマクシミリアンを作ったらどうなる?」
「多分動けませんよ」
「そうか……じゃあやっぱり順のアーマーに使うしかないか」
「あれもマルクカ博士の計画では、補強用のマテリアル扱いです。メイン素材に使ったら順さんでも動けなくなります」
「マジか……」
「落ち着いて用法を守って使うしかないのですよ」
「了解だ。持ち出すとするか」
「それではイフットさん、哨戒をお願いします。私はここで切り出しを始めます」
篝火二号はそう言うと右腕をはずしバーナーモード稼動と言うと、金属の塊に取り付き青白い火花を腕から出して切り出しを始めた。
「分かった、気配探知に入るよ」
イフットも杖を構えると、周囲に気を配り始める。
「ダリゼルディス先生はあのリーブラ鋼って、ご存知でしたか?」
そんな姿を横目に須賀谷はダリゼルディス先生に尋ねる。
「そもそもあれは貴族の城の装飾とかにも使うものだ。個人単位の装備品ではない」
するとダリゼルディス先生はそう言って来た。
「へぇ、そうだったんですか」
「大人になれば世間との付き合いで知ることになるさ……ってもうお前は大人だったな」
「はは、どういう意味で言ってるのかは、聞かないことにしておきますよ」
「それがきっと、正解だな」
微妙に大人な雑談をしていると切り出しは終わり、金属をついに持ち出すことにへとなった……。
「篝火、よくそんなものを持てたな」
「腕部負荷は相当かかりましたけどね。後々メンテナンスが必要です」
「Zzzzzzzzzzzz」
シックザールまで辿り着くと、順が床で爆睡している。
「まだ起きないのか。今回相当時間をかけてやってきたつもりなんだがな。……起こすのは可哀想だが、どうする?」
「なに、私が運転はやるよ」
そう言ったダリゼルディスがハンドルを握ろうとするが、イフットがそれを止める。
「酔ってる先生は寝てて下さい。私がやりますよ」
そのままイフットは笑いかけると操縦席の横にある地図を見て、シックザールを起動させた。
「士亜、順さんに毛布をかけてあげて」
「あぁ、分かった」
須賀谷は順に棚にあった毛布を取り出してかけてやると壁に背を当て、自分も休む格好になる。
「後は誘拐犯についてだけだな。……何やら相当時間が掛かったような気がしたよ」
そう喋ると篝火二号が、
「貴方は少し戦っただけでしょうが」と言ってきた。
「……戦うことだって大変なんだよ」




