表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/38

色々聞けば聞くほど恐れ多い。

ええええ・・・影って怖い・・・。

さて。


私の周りの六人の侍女の方々。よく見れば皆様見目麗しい・・・。

その方たちに服を剥ぎ取られ湯船につけられて、髪だの腕だの体中を磨き上げられる

わたくしの身にもなっていただきたい・・・。


魂が抜けそうになりながら、ぼーっとしているととてもいい香りがしてくる。

これは・・・?



「ラベンダーとカモミール、それからオレンジ・・・というよりはもっと違う香りだわ。」

「よくおわかりですね、さすがナディアレーヌ様でらっしゃいますわ。」

一人の一番年上だろう侍女さんが微笑んでくれます。

あ、あたったみたい。

でも、我が国にはない香りだわ・・・柑橘系のこの香り・・・。

「少し珍しい、新しい柑橘類が手に入りましたの。食べると少しほろ苦いのですが

香りがとても良いのです。」

その柑橘類を手にとってみたい。そしてその成分をなんとか抽出してオイルに落とし込めないかしら?

うーむ・・・と考え込んでいると侍女さんたちが笑い出しました。


はっ!!わたくし裸でしたわ。


わたくしがボーッと考えている間にお湯の中にラベンダーとカモミールが散らされる。

ああ、この国ではダイレクトに花をいれるのね。

確かにお湯の暖かさで香りが立つものよね。


いつも我が国ではカモミールは花びらを細かくちらしたりなんかしない。

小国なので資源は有限。ちらした花びらがお湯から上がったあとにまとわり付く。

そしてそれをまた洗い流す手間とお湯がいる。

つまりはなんとなく節約・・・とまでは行かなくてもやっぱり締めるところは締めるものっていうのは

染み付いている小国の寂しさよ・・・。

花弁ごと浮かんでいればお湯から上がるときにくっつくことなく・・・

でもまあ、綺麗にほぐされている方が確かに香りは立つ。


うーん、大国って少しのことでもやっぱり贅沢なものですよね。

我が国だと布に包んでお湯に入れるもの。だったらその後に薬草畑に撒くこともできる。

一石二鳥なんだけれども。


あ、この国でもわたくしそういえば薬草園をいただけるのでした!!

ということはこの花も・・・。



ふっと顔を上げるとニコニコと六人の侍女さんたちがわらっています。


わたくし、またなにかやってしまったのかしら?



「皇女様は表情が豊かでらっしゃいますわね。本当に。一安心ですわ。」

一安心ってどういったことで一安心ですの?

キョトンとした顔で見上げてしまったわたくしの髪を梳きながらはじめに話しかけてくれた

侍女さんが再びニッコリと笑う。

良い香りですー。こちらもラベンダーオイルがふんだんに遣われているようですね。

それにしても・・・。


わあ・・・美人さんの微笑みって何たる破壊力。

「陛下はあまり器用な方ではございませんしなかなかに不器用で無愛想な方ですが、

皇女様がいらっしゃるのをきっと楽しみにしていらっしゃいましたよ。」



ん?


変なこと言われた気がする・・・。


「た、楽しみにとは?」


すると他の侍女の方々も口々に言われます。


「あの陛下が。あの!あの陛下が!!皇女様のお支度にわたくしたちを遣わせたことですわ。」

「そうですわ。私達が皇女様のお支度を申しつかったこと。それだけでも大切にお仕えせよとの

ことですわ。」

「そうです。何しろ私達六人しか侍女は陛下に近づけるものがおりませんの。」


は?物騒なにそれ?近づけるものがいない?とは?


「身辺調査が確かなこと。二心がないこと。忠誠を誓っていること。そしていちばん大事な事。」


そんな重大なこと?自分がもはや裸でいることも忘れて振り返ってしまう。

そんなわたくしの失態にも皆さま動じることなく、またわたくしのお世話をしながら(全く

手を抜かずに磨き上げられながらこんな話をしているという事実に頭を抱えたくなる)にっこりと

ほほえんでいらっしゃる。



確かにこの方々にわたくしに対する敵意はかんじられません。

皆さま妙齢のご令嬢たちな気がしますのに陛下に対してのあこがれなどはないのでしょうか?

わたくしはサラに指摘されたようになかなかに厄介な存在になりそうな(わたくしにはなる気は

ありませんけども)物件皇女だと思われますのに。

手を抜かずに支度をしてくださっている。

しかも好意的に。



はて?



「皇女様。身分を明かしても良いとの陛下のお言葉がありましたのでお伝えします。

私達は陛下の私的部隊でございます。」



ぶほっ・・・。

私的部隊・・・とは?

咽たわたくしの背中を優しく撫でながら、ゆっくりとわたくしが落ち着くまで待ってくださいます。

私的ということはああいったことやこういったことも?

どういったことなのかよくわかりませんがとりあえずピンク系の事も含まれるのでは?

もしかして皆さまがもうもはや寵妃候補ということでまちがいないのでは?

皆さま見目麗しいですし、出るところと締まるところが非常に顕著。

ええ、素晴らしい肢体をしていらっしゃる模様。


わたくしの視線を察してか、皆さまが生ぬるく笑われます。


「皇女様。陛下は好色ではございませんし、何なら当然ながら帝王学として学ばれてらっしゃいます。

それ故女性の扱いは確かに長けてらっしゃいますがそのような方ではございません。」


ああ、違うの?

わたくしのお兄様達を見ているとそれなりに楽しんでいても全く良いと思うのですが?

わたくしのお兄様方もそりゃあもうモテます。

美しく優秀で権力もある。そりゃあモテるに決まっているでしょう。

モテる方の振る舞いとしては至極真っ当に振る舞ってらっしゃるような気がします。


まあ、わたくしに甥や姪はいないはずです。そんな失敗はしない方々ですが。



居たとしてもまあ、驚きはしません。


わたくしに意味がわかっているかと言われれば・・・。

サラが虫けらを見る勢いでお兄様達を見ることがあるのでそういったことかなぁという

認識ぐらいです。

わたくしは全く男性に誘われることも触れられることもないもので(兄達とロイ、両親以外)

わたくしには関係ないことです。

兄達と違ってわたくしは地味で地味な地味すぎる皇女なので。



「私的部隊というのは身の回りの世話と、陛下を物理的にお守りする部隊。

ということですわ。」

「物理的?」

あれよあれよという間に湯船から引き上げられ、これまた香り高い新しいお湯をかけられる。

ああ、カモミールの花がー!!流されて行くー・・・私の畑にー!!!


ああああ・・・とあわあわしているわたくしを尻目に侍女の方々が隅々まで私を拭き上げます。

柔らかなシルクのローブを着せかけられたあと鏡の前に座らされました。



片腕ずつ取られて爪の手入れを受けながら、わたくしの真後ろに立って髪をかわかしている

侍女さんを鏡越しにじっと見つめてみました。


うーん、美しい。やっぱり美しいです。

なんの化粧品を使っているのでしょうか。

わたくしが開発した、カモミールの化粧水とオイルを使ってみていただけないかしら。

それで、その肌の違いを・・・。



「皇女様?」


はっ!!見過ぎました。




「それで、私的部隊というのはですね。」

あ、まだ続いていましたか。

軽くうなずいたのを見て説明を始めてくださいましたが・・・それがまた・・・。



「陛下は陛下以外に只今王位を継げる方がいらっしゃいません。」

「え?!」

他の継承者がいないと、陛下になにかあった時どうなると?

「ああ、全くいないわけではないのです。ただ陛下にはご兄弟がいらっしゃいません。

その上従兄弟の公爵令息が二人いらっしゃいますがどちらもまだ幼くていらっしゃいます。」


ふむふむ。ということは歳が満ちればわからないということでしょうか?


「ただ。神託が下るというのがそもそも継げる資格そのものであり、神託が下ったということは

その方そのものがこの国そのものということになります。

神託が下る王族は260年前の第二王子に下りまして、その方が国王になりこのドゥーゼットを

ここまで引き上げた方でございます。

神託が下るということは内容は私達には知らされることはありませんが、その下るということが

重要なのでございます。」


お風呂に入れられたばかりなのに。

何故かしら、背中を汗が伝う感覚というのは・・・。

神託そのものの中身は知らされていない。ただ、そこにわたくしが来たということは

何らかの関係があるとこの侍女の方々はわかってらっしゃると。

私的部隊だから?


いや、わたくしはなんとかして自国に帰って悠々自適・・・



「陛下は常に命を狙われます。」


「え?」




どういうことなのでしょうか。たった一人の方だと先程おっしゃったのに。

小首をかしげると真顔になっている侍女の方々がいます。

これって・・・。あ、聞かされるわけには行かなくないですか?

わたくし、後に引けなくなるとかありません?



「あ、あのー・・・わたくしそろそろ着替えも・・・」

「ナディアレーヌ様陛下をよろしくおねがいします。」

あああああぁ・・・宜しくされてしまいました・・・どうしたらいいのでしょうか。

とりあえず話を聞くのは続行のようです。



「陛下にはどのような薬も効きません。」

「はい?」

古今東西そんな方はいらっしゃいません。薬が効かないなどという・・・ん?


でも、陛下はわたくしが幼いときにお会いした時に飲ませた咳止めが効いて・・・。

ええ、効いたはずです。咳が止まって呼吸がゆっくり自発的にできるようになりました。

苦しくなさそうになっていって・・・


「ですが、薬が効かないということは・・・。」

「ええ、薬も効きませんが解毒剤も難しゅうございます。そして、対処療法がなかなか

見つかっていないということでございます。

神託が下ったということはそれらが解消されるということなのでしょう。」



ええええええぇええ・・・。



そぉんな力はわたくしにはありません。

どうしましょう、手が冷たくなっていってしまいそうです。

ですが、侍女さんたちに握られているので冷たくなるまもなくなんとホッカホカ。

爪の先までピカピカです。


「陛下は基本的に誰にもお心をお見せになりません。私達が侍女として仕えているのは

そういう陛下を護る一族であることということだけではなく、私達が全て既婚者だからで

ございます。」

へえ、護る一族というのがいらっしゃるのですね。

我が皇国ではありえないことですね。我が皇国って基本的に医療国なので治療法の確立が

きちんとしていますし、しています・・・ん?


「既婚者?」

「はい。既婚者でございます。」

「え?わたくしとそう年齢が変わらないように見えますが皆さま。」

「ああ、皇女様そのようなことを。」


皆さまがクスクスとわらってらっしゃる。は?



「皇女様。私達はみんな皇女様よりずっと年上でございます。わたくしに至っては

息子がもうこの王城で働いておりますのよ。」

は?嘘でしょ?どう考えても二十代半ばくらい・・・。

「わたくし38にございます。」

「わたくしもでございます。」

え?その他の方々もみんな30歳こえてらっしゃる。



一体この国どうなってるのでしょうか?皆さま見目麗しい・・・。



「皇女様、私達は私的部隊のため、広報部隊も兼ねておりますの。もちろん既婚者ですが

陛下の夜会での令嬢がたの牽制も含め側近くにおることもありますが今後はなくなるでしょう。」

何故なくなるの?とふと思ったら・・・。


皆さまにニッコリと微笑まれてしまっている。こ。これは・・・



「わ、わたくしが?」

「はい。皇女様が。」

「わたくし、そんな度量も気力も器量もだいたい意気込みもありません!!」

「そうでしょう。意気込みがないことは大体話し始めて解りました。」

皆さまが頷いてらっしゃる。

そうでしょうそうでしょう。私は薬草園にこもり、薬を調合し、とりあえず地味に過ごし

治した暁には自国に・・・。

「ですがそれは関係なく陛下は敵だらけでございます。神託なぞ関係ないという輩ももちろん

いますし、それも関係なくただ陛下を狙っているご令嬢も多数おりまして。」

で、でしょうね。

「まあ、陛下は出過ぎた態度のご令嬢には絶対零度の態度で対処なさいますし、それでも

媚薬等を盛ろうとする血気盛んなご令嬢方もまだまだ多数いらっしゃいます。」

なにそれ怖い・・・陛下今までご無事ですか?


「まあ、陛下には効きませんが。」

ああ、そうだった。陛下はお薬が効かないんでしたね。

「効かないけれど不快でないわけではらっしゃらないようです。ただ全く効かないのですが

とりあえず媚薬成分はすべて吐き気にかわるらしいのです・・・。」

なんとそれは大変・・・。


「夜会のたびに以前は吐き気に悩まされていましたので陛下は夜会の間中、護衛と私達

侍女兼影をそばに置くようになられました。もう5,6年になりますか。」

えええええ・・・陛下それは大変なご苦労を・・・。

というかサラッと、サラッとご自分たちを影とおっしゃいましたね?

影ってあれですか?我が皇国にもいますけど全ての隠密行動をやり遂げるあの影?

だとしたらわたくしに顔を見せたのはまずいのでは?

あ、夜会などにも出ているということは良いということ?ううむ。


「なので夜会なので私達影が出る時には全くわからないように変装いたします。毎回陛下が

連れて歩く女性が六人では数が足りなさすぎますので。」

へ、変装?

「護衛に紛れることもありますし、大概は顔を変えます。」

えええええ・・・・もう何がなんだかわかりませんわ・・・。



「ですが、お薬が効かない陛下の体質は皇女様にはご興味が尽きないのではないですか?」

うっ・・・。

「そ、そんな事は・・・。」

「ですが陛下の体質に効く薬があればそれはもはやどのような方にも効くものということでは

ないのですか?」

ううっ・・・。

「陛下はしかもとても辛抱強く皇女様のお世話を受けられると思いますわ。」

えええええ!!診放題ってことではないのかしら?まあ、そのために来たんですが!

「そのために私達がここでお顔を見せておりますのですから。」


ん?またそこに戻るのですか?

顔を覚えるほどに皆さま美しいのですから仕方ありません。

「ちなみに皆さま、今が変装中ということはございませんの?」

「はい、素顔でございますわ。六人とも。」

おおう・・・だから何故皆さま素のお姿を晒してらっしゃるのでしょうか・・・。


「私達は今度からサラ様と共に二人体制でナディアレーヌ様にお仕えすることになると

思います。」

え?何故二人体制?サラと合わせて三人も?!

あれよあれよと綺麗に髪を梳かされ綺麗に編み上げられていく。

私は未婚なので髪を全て上げることは無い。

少しだけクッと力を入れられコルセットを軽く締められた。


「さあ、ドレスを着ましょう。」





あ・・・わたくしまだどちらを着るか決めていなかったのですが・・・とほほです。

あまりにも色んな話が頭の中を駆け巡っているのですが・・・。





「レーヌ様お疲れさまです。」

そういって笑顔のサラはドレスを選べと笑顔で凄む。

ううううう・・・・。

仕方なくエルロッドウェイのドレスを手に取る。


「こちらにします。」

「わかりました。」


ニッコリと笑うサラは本物の笑みだったのであたりだったとホッとする。


「こちらを選ばなければアンヌ様たちの折角のお仕事が無駄になりますもの。」

「ん?」

「アンヌ様たちがレーヌ様の髪をテスカの花の形にサイドを結ってくださったではないですか。」

はあ、としかたない子を叱るような目を向けられた。

ああ、だからか。

ダスティブルーのドレスを着せてくれながらわたくしの方を見てニコニコと笑っている

侍女さんの方を見て首をかしげる。

「アンヌさん?」

「はい。ですがナディアレーヌ様私のことはアンヌとお呼びください。」

「アンヌ、ありがとうございます。」

「はい。二人体制でですがお世話をさせていただきます。これは陛下よりの下命があったものなので

ご了承ください。それから私達は護衛も兼ねます。陛下と同じようにお護りしますのでご安心を。」

「わたくしには護衛がいますが?」

大体わたくしには護衛が必要な程に出歩くこともない。ええ、地味に過ごしたいので。


ニッコリと笑いながらアンヌが続ける。

「ロウ様がお強い方でいらっしゃることは一目で解りますが、それだけでは防げません。

ロウ様だけでは女性しか入れないところはお護りする事はできませんので。」

まあ、確かにそうですね。化粧室とか仲間で入ってきたら蹴り倒しますね。


「陛下の場合はどうされているのですか?」

「本日陛下に会われた時に側に居ました者を見ましたか?」

「ああ、黒髪の騎士のことですか?」

「はいそうです。私の夫なのですが。」

「え?!」

「はい、私の夫なのですがあの者が陛下が幼少の頃からずっと側におります。」

「で、でもあの時・・・。」



そう、あの初めて陛下にあった時あの方はいらっしゃらなかった。

ふと考え込んでいる間にドレスを全て着付けられ、髪をさらに整えられた。

そして薄い紫、私の瞳の色の髪飾りをつけられる。

「とても綺麗ね。」

「はい。陛下からの贈り物ですわ。」


ぶはっ。


「へ、陛下からの?」

「はい。」


きっぱり答えたのはサラとアンヌ。そして本日もうひとり付いてくれるカレン。

基本はこの二人がわたくし付きになるらしい。

満足したのか六人が後ろにすっと下がった。

鏡の中のわたくしはきちんと皇女に見える。

銀髪はきちんと結い上げられ、後ろに流された髪は軽く巻かれている。

髪には陛下からの髪飾り。首飾りはシンプルにダイヤの二連のネックレス。

基本シンプルが好きな私には心地よい着飾り方だった。


鏡をじっと見ていたわたくしが気配を感じて振り返ると・・・。



すっと六人が跪く。

サラは何も言わない。わたくしだけが一歩後ずさる。

美女が六人跪くとかわたくし前世でなんの徳を積んだのでしょうか?

わたくしの考えが手にとるようにわかるのかサラだけが苦笑いをしている気がする。

恐れおののいているのがばれないように後ずさった左足を一歩元に踏み出した時に

柔らかな声で言われた。


「夫は貴方様のことを知ってますわ。あの時のエルンハルト様を助けてくださった小さなレディ。」

ニッコリとアンヌが微笑む。

私の言葉尻の答えを紡ぐ柔らかな声。



「陛下をお願いしますね、ナディアレーヌ様。貴方様のことは影である私達、そして護衛の

者たちすべてが知っております。そしてあの日助けてくださったことも。

それからずっと私達は貴方様に感謝しておりましたことを今になってお伝えすることを

お許しくださいませ。

エルンハルト様はとても優しく、とても寂しく、とても寂しがりな可愛らしい方なのです。」


可愛らしいなどとなんと恐れ多い・・・目が潰れるほどに見目麗しいということしか・・・

「陛下は寂しいとはどういうことなのでしょうか。」

「・・・陛下にはお兄様がいらっしゃいました。お兄様はもう亡くなられましたが。

夫は元はお兄様であられるルーゼハルト様の友。そして私は恐れ多くも乳姉妹でありました。

エルンハルト様は私の弟のような存在でございます。そして私達一族には生きる意味でもあります。」



色んな情報過多ではありませんか?わたくしに何故そんなに?

わたくしはただの。ただの神託の下っただけの皇女なんですけど。

それがすごいことだと言われたらそれまでなんですが本当にそれだけなんですけど!


「あの日助けてくださった皇女様。あなた様がいらっしゃったのでエルンハルト様は

今の地位にいらっしゃいますし信託を受けられたのです。」


ええええ・・・わたくしには荷が重すぎる気がいたします。

少し困った顔をしたわたくしに皆さまは何も言わずに頭を垂れます。

仕方ありません。



「わ、わかりました・・・陛下の体をきちんと治しますし出来得る限り体調をみるように

お側にいるようにいたします。わたくしがここにいる限りはです・・・が・・・」



これでいいですか?という意味を込めて視線を合わせると。



やっといってくださいましたね。と、顔に書いているアンヌがにやりと笑う。



ええええ・・・今までニッコリとか花が綻ぶように笑っていた侍女がニヤリと笑うなんて。

影って・・・影って・・・。




「ああ、レーヌ様もうどうしようもありませんわねぇ。」



サラが言った意味はちょっとわからない。

それがわかるのはもう少し先のお話だ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ