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盲目の勇者  作者: 岡エシ
第3章
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37話 それぞれの戦い

「ふふふ……なかなかやるじゃない。 これはお姉さんからのプレゼントよ」

 

 グリードに敗北を喫した夏樹。

 グリードがその場を去った後、1人の女性が近づいてきた。治癒魔法を行使し、夏樹の傷を癒す。


「……ありがとう。 あんた誰なんだ、なんで俺を」

「ふふふ……私の名前はランエル。 サジビア帝国軍幹部よ」

「……! なんで、敵が俺を……!」

「あら……命の恩人に敵意を向けるの? あなたが戦ったグリードは元Sランク冒険者、そんな化物相手に数合いとはいえ、立ち合うことが出来ていたことは凄いことよ。 それに最初に一緒にいたアレン・リードもSランク」

「元Sランクか……アレンさんもS……強いわけだ」

「ねぇ、何故あなたは戦うの? あなたは他人でしょう、無関係なら無視すればいいじゃない」

「あぁ……その通りだ、関係ない。 けど、無視出来ない、見捨てられないんだよ」

「難儀なものねぇ……いや、だからこそ、勇者に選ばれたのかしら」

「……! なんでそれを知ってる!?」

「ふふふ……何でかしらねぇ。 じゃ、私やることあるから、ばいばーい」

「逃すわけ……っ!」


 出血し過ぎたせいか、ふらついてしまう。その間に姿を見失ってしまった。彼女の真意は一体……。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 帝都に到着した反乱軍は既に帝国軍と激突していた。

 それぞれの戦いが始まろうとしている。


 帝都ノース通り。

 メアは褐色の少女と対峙していた。


「帝国軍の人間? 邪魔するなら、噛み殺すよ」

「怖ーい、私もちょっとは真面目にやらなきゃね。 私は帝国軍幹部、サリッサ。 邪魔をするなら殺すよ? ーーー土双槍(ソイルスパイク)」


 メアの足元前後2箇所から土の槍が飛び出すが、掻い潜り、サリッサに肉薄し、魔力を纏った手突を放つ。当たる直前で足元から土の槍が飛び出し防がれ、メアは距離を取る。


「んー、思ってたより強いね。 時間も無いし本気でいくよ。 ーーー召喚(コール)・地魔人(ジャイアント)」


ーーーグォォォオオッ!!


 地面が大きく盛り上がり、土の巨人が出現。

 巨大な拳を振り下ろすが、メアは避ける様子すら見せない。


「あれ、諦めちゃった? 戦意喪失しちゃった感じ?」

「馬鹿言わないで、戦意喪失するのはあんたの方よ」


 メアは戦鎚をフルスイングし、巨人の拳に叩き込む。

 一瞬の拮抗の直後、巨人の拳が砕かれる。

 大きく跳躍したメアが戦鎚に魔力を込めて巨人の頭部に振り下ろす。粉々に崩れ落ちていく巨人。驚愕して固まっているサリッサに切迫する。防御しようとサリッサは魔法を行使するが間に合わず、メアの戦鎚が直撃、周囲の家屋に突っ込み気絶する。


「ふぅ……私の勝ちね」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 帝都サウス通り。

 アレンは2人の男と対峙していた。


「アレン・リード、お前の相手は俺達だ」

「あらら、ギブソンにカーサス……幹部2人ッスか。 なら、余裕ッスね、2人程度で止められると思わない方がいいッスよ」

「……舐めやがって!」


 ギブソンが踏み込み大剣を振り下ろすがアレンは剣で受け流しながら袈裟斬りを狙う。そこへカーサスの長剣による突きが迫り、飛び退く。


「……連携は出来てるみたいッスね。 まぁ、時間も無いしちゃちゃっと終わりにするッスよ。 二の太刀・蒼穹」


 回避する間も無く、神速の突きがギブソンの心臓を穿つ。

 カーサスが咄嗟に剣を払うがヌルッとした感覚と共に受け流される。


「三の太刀・朧月」


 目の前にいたはずのアレンの姿が消えた直後、視界が上下反転する。カーサスが最後に見たのは首の無い自分の体だった。


「まぁ、こんなもんスかね。 本隊と合流しないと……っ!!」


 突如、背後から振り下ろされた大剣を受け止める。


「ぐ……重い。 てか、なんで動けるんスか!? 心臓を貫いたはずなのに!」


 アレンは相手の腹を蹴り飛ばし、距離をとる。心臓を貫かれたはずのギブソンが虚ろな眼でアレンを見ていた。

 ギブソンの尋常じゃない様子を見て、バダックが丸薬を飲んだ直後、異常な強化が起きたことを思い出す。


「……薬ッスか。 厄介ッスけど、バダックと同じなら……一の太刀・静山」


 剣を納め直し、居合技で頭を切り飛ばす。

 ギブソンはゆっくりと倒れ動かなくなる。


「はぁ……やばい薬があるもんスね、一般兵からは、そんな情報無かった、幹部クラスのみが持てる秘薬ってとこッスかね……グリードさん」

「……あぁ、その通りだ」


 隠す気の無い獰猛な殺意を振り撒くグリードが姿を現す。


「……ナツキさんはどうしたんスか」

「あ? あぁ、殺した」

「……!! グリードさん、僕はあなたをここで殺す」

「殺す……だと? この俺を? ハァーッハハ! 10年前、皇帝相手に前代未聞の直談判をしてきた馬鹿野郎を強くしてやったのは誰だと思ってやがる!?」

「あぁ……確かにあなたに教えを乞うた。 確実に断られると思ってたけど、あなたは僕に戦い方を教えた。 打算ありきで鍛えたんだろうけど、僕は教えてもらった剣でこの国を救う」

「英雄にでもなったつもりか、アレン。 夢を見るのも大概にしろよ……」


 元Sランク冒険者と現Sランク冒険者が激突する。

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