36話 強い雑魚
サジビア帝国帝都。
帝国軍の中で幹部に位置する4人が、軍基地会議室に集合していた。
「……バダックがやられた」
「おいおい、マジかよ。 誰に?」
「アレン・リードだ」
「遂に動き出したのか……でもまぁ、行動が遅過ぎる。 既に手遅れだろうに」
大剣を背負った大男、ギブソン。妖艶な美女、ランエル。目つきの鋭い坊主の男、カーサス。そして褐色の少女、サリッサ。
現皇帝グリード・ラングに召集された帝国の強者が動き出す。
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今から10年前……帝都の王宮に一人の少年が訪れた。少年の名はアレン・リード。貧困に苦しむ村や町のため、皇帝に窮状を訴えようと乗り込んだのである。
「何とかして欲しいだと……? 甘ぇこと言ってんじゃねぇよ。 忘れたか、この国のルールを。 弱肉強食、弱い事は罪だ。 悔しければ、苦しければ、強くなれ。 強くなりゃ貧困からも、おさらばだ。 単純で簡単だろう?」
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そして現在。反乱軍の拠点・シナギア。
「……これがこの国の現状ッス。 ナツキさん、メアさん、俺に、いや、俺らに力を貸してください」
軽薄そうな雰囲気を正し、真摯な態度で頭を下げる青年。
青年の名前はアレン・リード。彼は反乱軍のリーダーだった。この国の現状と、それらを変えたいと願う意志を訴える。
「メア……どう思う?」
「私に聞いてる時点で、結論出てるでしょ。 弱者大好きナツキ君は無視出来ないもんね」
「……悪い、ありがとう」
帝国の反乱に夏樹とメアが参加することが決定した。
「……大変だ! アレンさん……はぁ……はぁ……」
「どうしたんスか、そんな慌てて」
「皇帝が……皇帝が帝都に火を放ちやがった……!」
「……は?」
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アレンと夏樹は不穏な情報を頼りに、拠点シナギアから馬を走らせ現場へと駆けつけた。
「ハァッーハッハァ! アレェン・リィードォ、どうだァ? てめぇの救いたかった国が壊される気分はァ?」
「自分の国を焼くとか……イカれてるッスね」
「自分の国ィ? あぁ……別に構わねぇよ。 また奪えばいい」
怒りに震えるアレンが飛び出しそうになるのを夏樹が止める。
「……俺がやります」
「ナツキさん!? なんで……」
「アレンさん、あなたはリーダーでしょう? なら、やるべき事が他にあるはずだ。 それに皇帝がここに出てきた以上、恐らくですが、幹部達も出てきてるはず。 なら、進軍中の反乱軍に仕掛けて来てもおかしくない」
「……! 確かにそうッスね。 ありがとうございます、すぐに戻ります……!」
アレンは凄まじい速度で走り去っていく。
「ハァ……? おいおい、お前みたいな雑魚が俺の相手だと……? 務まるとでも思ってんのか? 俺のこと舐めてんのかァ!?」
夏樹に肉薄したグリードから、轟ッと蹴りが放たれるが紙一重で避ける。そのまま、グリードの首に向けて抜刀するが、身を捻ることで避け、距離を取られる。
「なんだなんだ……ただの雑魚じゃねぇな、てめぇ。 師は誰だ」
「師? フェイ・クルースだ」
「フェイ・クルース……だと!? ハッハァッ! そうか……あの女が師か、なら手加減する必要ねぇな」
獰猛な殺意がより威烈になる。
さらに速度が増した攻撃に、夏樹は反射的に開眼する。
気配に緩急をつけることでタイミングをズラされたグリードに刹那の隙が生まれ、鋭い突きを放つが魔力を纏った相手の拳によって剣が砕かれる。
「らァッ! ハァーッハハッ! いいじゃねぇか、久しぶりに見たぞ、強い雑魚は。 だがなぁ……まだ届かねぇよ、てめぇに、このステージは早過ぎる」
剣を砕かれた夏樹に防ぐ術は無く、グリードの手突が体を貫く。




