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盲目の勇者  作者: 岡エシ
第3章
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36話 強い雑魚

 サジビア帝国帝都。

 帝国軍の中で幹部に位置する4人が、軍基地会議室に集合していた。


「……バダックがやられた」

「おいおい、マジかよ。 誰に?」

「アレン・リードだ」

「遂に動き出したのか……でもまぁ、行動が遅過ぎる。 既に手遅れだろうに」


 大剣を背負った大男、ギブソン。妖艶な美女、ランエル。目つきの鋭い坊主の男、カーサス。そして褐色の少女、サリッサ。

 現皇帝グリード・ラングに召集された帝国の強者が動き出す。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 今から10年前……帝都の王宮に一人の少年が訪れた。少年の名はアレン・リード。貧困に苦しむ村や町のため、皇帝に窮状を訴えようと乗り込んだのである。


「何とかして欲しいだと……? 甘ぇこと言ってんじゃねぇよ。 忘れたか、この国のルールを。 弱肉強食、弱い事は罪だ。 悔しければ、苦しければ、強くなれ。 強くなりゃ貧困からも、おさらばだ。 単純で簡単だろう?」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 そして現在。反乱軍の拠点・シナギア。


「……これがこの国の現状ッス。 ナツキさん、メアさん、俺に、いや、俺らに力を貸してください」


 軽薄そうな雰囲気を正し、真摯な態度で頭を下げる青年。

青年の名前はアレン・リード。彼は反乱軍のリーダーだった。この国の現状と、それらを変えたいと願う意志を訴える。


「メア……どう思う?」

「私に聞いてる時点で、結論出てるでしょ。 弱者大好きナツキ君は無視出来ないもんね」

「……悪い、ありがとう」


 帝国の反乱に夏樹とメアが参加することが決定した。


「……大変だ! アレンさん……はぁ……はぁ……」

「どうしたんスか、そんな慌てて」

「皇帝が……皇帝が帝都に火を放ちやがった……!」

「……は?」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 アレンと夏樹は不穏な情報を頼りに、拠点シナギアから馬を走らせ現場へと駆けつけた。


「ハァッーハッハァ! アレェン・リィードォ、どうだァ? てめぇの救いたかった国が壊される気分はァ?」

「自分の国を焼くとか……イカれてるッスね」

「自分の国ィ? あぁ……別に構わねぇよ。 また奪えばいい」


 怒りに震えるアレンが飛び出しそうになるのを夏樹が止める。


「……俺がやります」

「ナツキさん!? なんで……」

「アレンさん、あなたはリーダーでしょう? なら、やるべき事が他にあるはずだ。 それに皇帝がここに出てきた以上、恐らくですが、幹部達も出てきてるはず。 なら、進軍中の反乱軍に仕掛けて来てもおかしくない」

「……! 確かにそうッスね。 ありがとうございます、すぐに戻ります……!」


 アレンは凄まじい速度で走り去っていく。


「ハァ……? おいおい、お前みたいな雑魚が俺の相手だと……? 務まるとでも思ってんのか? 俺のこと舐めてんのかァ!?」


 夏樹に肉薄したグリードから、轟ッと蹴りが放たれるが紙一重で避ける。そのまま、グリードの首に向けて抜刀するが、身を捻ることで避け、距離を取られる。


「なんだなんだ……ただの雑魚じゃねぇな、てめぇ。 師は誰だ」

「師? フェイ・クルースだ」

「フェイ・クルース……だと!? ハッハァッ! そうか……あの女が師か、なら手加減する必要ねぇな」


 獰猛な殺意がより威烈になる。

 さらに速度が増した攻撃に、夏樹は反射的に開眼する。

 気配に緩急をつけることでタイミングをズラされたグリードに刹那の隙が生まれ、鋭い突きを放つが魔力を纏った相手の拳によって剣が砕かれる。


「らァッ! ハァーッハハッ! いいじゃねぇか、久しぶりに見たぞ、強い雑魚は。 だがなぁ……まだ届かねぇよ、てめぇに、このステージは早過ぎる」


 剣を砕かれた夏樹に防ぐ術は無く、グリードの手突が体を貫く。

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