↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤ノ影闘記 / Anti-Nexus  作者: 鰓鰐
第1.5章 紅雨―See you, black cat―
58/58

〈Epilogue〉

―Epilogue―



その日、何かの気紛れで近所の本屋へと立ち寄った。然したる理由があったわけでも、目的の本があったわけでもない。ただ、本当に何となく、自宅へ帰るまでの足が、気が付いた時にはそちらへと向いていただけなのだ。


当てもなく眺めていた店内で、目に留まったのは新刊でも、好きな作家の作品でもなかった。レジの近くに並べてあった、いくつかの栞。その中に、黒猫のシルエットがあしらわれたシンプルな物を見つけた時、頭を過ったのは、あるクラスメイトの顔だった。


『ジェニイ』という黒猫の物語に、母親との繋がりを見出した少女。何度も自分に手を伸ばしてくれた隣人。思えば、これ程までに関わった他人というのは初めてかもしれない。


さすがに、スーパーの特売の広告を栞代わりに使っているという、生活感に溢れる一面を見た時は驚愕せざるを得なかったが。


長考の末、それをレジに運ぶ。すると店員の女性は何を察したのか、贈り物ですか、と笑い掛けてきた。自身の挙動に、そこまで分かりやすい何かがあったのかと思うと、顔が熱くなる。それを誤魔化すように頷くと、店員は栞に包装を施し始めた。


今度学校で会った時に──そう思いながら、受け取った栞を鞄へと忍ばせる。女性はおろか、誰かに贈り物を渡した経験に乏しい自身が、果たしてどんな言葉と共にこれを渡すべきか。そう考えると、無性にむず痒い感覚に襲われるのだが、それと同時に、穏やかで温かい感情が自身の内にある事も、気付いていた。




第1.5章 紅雨―See you, black cat― 〈了〉


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。