素敵なお呼ばれ2
通されたのは、よく晴れた日の陽射しが明るく差し込む豪華なサンルームだった。
木彫りのテーブルには、繊細なレースが美しい真っ白なクロスがかかっている。
椅子が二脚。
同じデザインのもので、豪華な装飾の中、座面にやわらかそうな布地が貼ってあった。
窓、というか壁は一面ガラス張りで、一ヵ所にドアがある。
出ようと思えばここから庭に出られるようだ。
緑溢れる庭が外に見えた。
ガラス張りの壁と逆の壁には、控えめに家具が並んでいた。
日差しをやわらかく受け止めるような、生成り色の優しい色合いの棚やミニテーブルなど。
「では改めて……長旅お疲れ様。わざわざ来てくれて嬉しく思う」
御付きに引かれた椅子に腰掛けたフレイディは、向かいの椅子で同じようにされて腰掛けたアマリアに向かって、これまた丁寧に挨拶をしてくれる。
「いいえ、お招きとても嬉しく思います」
アマリアも同じ内容だったが、再度挨拶をする。
今からが本格的なお呼ばれになるからだ。
「先日は本当に申し訳なかった。アトリエは無事片付いただろうか」
気が引けている、という様子で聞いてきたフレイディ。
アマリアは笑ってみせた。
事件のときに睨みつけてしまった反省を生かすように。
「ええ。もうすっかり元通りになりました」
アマリアの答えに、フレイディは、ほっとしたという様子になった。
「そうか。本当ならこちらからひとを遣って片付けさせるべきだったのに、すまない」
「いいえ。そこまでは甘えられませんわ」
会話が穏やかにはじまったところで、サンルームのドアがノックされ、使用人がカートを押して入ってきた。
「失礼いたします。お茶のお支度をさせていただきます」
執事服を着た老齢の男性が丁寧に礼をし、カートの上にあるアフタヌーンティーの支度をてきぱきと配置しはじめた。
「ありがとうございます」
アマリアは座ったままながら、軽く頭を下げた。
執事服を着た男性は、アマリアに穏やかな笑みを向けてくる。
白髪交じりになった短い黒髪、優し気な目元に眼鏡をかけている。
「私の幼い頃から仕えてくれている、侍従のハリソンだ」
フレイディが、そっと手を出して、彼を示す。
彼も支度をする手を止めないままに、自分で改めて名乗った。
「はい、ハリソン・リーフィと申します。フレイディ様が赤子の頃から、お世話をさせていただいております」
「まぁ、赤ちゃんの頃から」
そう言われて、アマリアはつい、くすっと笑ってしまった。
目の前のフレイディは、いくつか詳しく聞いたことはなかったが、もう成人済みなのは確かだというのに、まるで少年であるかのように言われたものだから。
なんだかかわいらしい、と思ってしまったのだ。