表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある意味怖い話  作者: 谷口由紀
17/17

こんにちはーーーー ※

※職場で体験したお話です。そして現在進行系なので短めです。




それは、仕事に慣れてきた頃の事だった。


うちの職場は、入り口の扉を開けるとまず受付があり、奥にはパソコンなどが並ぶ事務所。そしてその奥には喫煙所がある。

仕事が始まる前には、タバコを嗜む人もそうでない人も、飲み物片手にそこで軽くオヤツを食べたり喋ったりして過ごす。


ある日、五人で喋っていると受付から声がした。


「こんにちはーーーー」


それは男性の声だった。

若者ではなく、老人でもない。しかし、少し細めで語尾は長い。


誰も動かないので、新人である自分の仕事だ……そう思い、受付へと向かう。



しかし、誰もいない。

そして、よく考えてみると扉の「ちりりん」という開閉音もない。


気になってその場を見渡したものの、立ち去る姿さえ見当たらない。


首を傾げながら喫煙所に戻ると、四人が口々に訊いてきた。


「何で突然表に行ったの?」

「ちりりんって、ベルの音だった?」

「ノックの音?」

「こんにちはーーーー?」


そこまで聞かれると、嫌な予感しかしない。

しかし――。


「こんにちはーーーー、って男性の声がしたんですよ」


と声音を真似てみた。



「「「「やっぱりかーーーー!!」」」」


声がハモった。


「見えた?」

「見える人?」

「そういうの感じるタイプ?」

「入り口の盛塩の理由がわかった?」


皆が矢継ぎ早に訊く。


皆さん曰く、建物に難があるわけではないらしい。ただ、建物の裏手が某市民病院なので、通っているんではなかろうか……とのこと。


ただ、ここはそれだけではないらしい。


挨拶する人は常連さんらしく、忘れた頃にいらっしゃるらしい。

そして、他にも突然水道をジャーーーッと勢い良く流すものや、筆記用具の入ったマグカップを動かすもの。鍵が掛かって入れない裏口をノックするものなど、多種多様なのだとか。



「いつか一人で留守番する時、給湯室の水道が激しく流れても、絶対止めに行かなくていいからね。勝手に止まるから。心配でも確認しなくてもいいからね」


そう笑顔で話す社員さんに、少しだけゾワリとしたのは内緒です。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ