第十一章 始まり
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エーデル男爵家――爺やの部屋。
セリアは、魔法学院の制服を着て立っていた。
「明日から魔法学院に通います」
少しだけ背筋を伸ばす。
「この制服を着て。ロゼッタお嬢様と一緒の馬車で」
爺やは、しばらく何も言わなかった。
そして――
ふっと目を細める。
「……最初に会った時は」
静かな声だった。
「あの孤児院で、あんなに痩せこけていたのに」
セリアを見る。
「こんなに大きくなりましたな」
声が少しだけ揺れていた。
セリアは、何も言えなかった。
爺やは、ゆっくりと続ける。
「勉学に励むのですよ」
穏やかだが、強い声だった。
「手を抜いてはなりません」
一拍。
「あなたから物を奪う人はいるでしょう」
セリアの胸が、わずかに揺れる。
「ですが――」
爺やは静かに言った。
「知識を奪うことは、誰にもできません」
(……知識)
セリアは、その言葉を胸に刻む。
そして、深く頭を下げた。
「はい」
その返事には――
決意と、ほんの少しの不安が混ざっていた。
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