第五十五話 王弟妃の死の真実
21時に短編「最後の帳簿」が上がります。恋愛するアルベルトなんて想像できなかったのですが何とか捻り出しました。ちゃんとバッドエンドです。
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エーデル男爵家の応接間。
午後の柔らかな光が窓から差し込み、部屋を静かに照らしていた。
ソファにはカイゼルとロゼッタが座っている。
セリアはそのそばに立っていた。
重たい空気の中、セリアが口を開いた。
「カイゼル様、王弟殿下の奥さんは……毒で病気になっていたのですか?」
ロゼッタもすぐに続く。
「やっぱり、毒なの?」
カイゼルは少しだけ目を伏せた。
「病気療養は嘘だ」
そして静かに言った。
「馬車の事故も嘘だ」
ロゼッタが目を見開く。
「え?」
カイゼルは少し間を置いた。
「王弟殿下妃、エレオノーラ様は……魔法学院時代に恋人がいた」
ロゼッタは戸惑った声を出した。
「はあ……」
カイゼルは続ける。
「エレオノーラ様は、その恋人と駆け落ちした」
セリアが思わず聞き返した。
「駆け落ち?」
「ああ」
カイゼルはゆっくり頷いた。
「追っ手に追いつかれそうになって、橋から二人で飛び降りた」
ロゼッタが息を呑む。
「橋から……?」
「風魔法で飛べたはずだ」
カイゼルは窓の外を見た。
「だが、失敗したのか……」
少しだけ言葉を切る。
「覚悟の心中だったのか……」
小さく息を吐いた。
「わからないが、二人とも死んでしまった」
ロゼッタは俯いた。
「死んでしまうなんて……そんな……」
そしてぽつりと呟いた。
「そんなに好きなら、結婚しなければよかったのに」
セリアが小さく肩をすくめる。
「政略結婚なんで、無理無理」
カイゼルは静かに言った。
「コンラート王弟殿下にも恋人がいた」
ロゼッタが顔を上げる。
「え?」
「二人とも無理矢理別れさせられた」
カイゼルの声は落ち着いていたが、どこか重かった。
「お互い、傷があったのに……」
少し遠くを見るように言う。
「コンラート王弟殿下は夫婦仲を良好にしようと努力されていたと聞く」
ロゼッタはぽつりと呟いた。
「王弟殿下も恋人がいたのね……」
部屋に沈黙が落ちた。
しばらくして、カイゼルが小さく言った。
「どうすればよかったんだろうな」
誰も答えられなかった。
セリアがそっと口を開く。
「また、王弟殿下は結婚するんですか?」
カイゼルは首を振った。
「すぐにはしない」
だが、すぐに続けた。
「だが、国王派と女王派の融和が目的だ。
いずれまた、女王派の誰かと結婚しなければならないだろう。」
ロゼッタはゆっくり目を閉じた。
エーデル男爵家の応接間には、静かな空気が流れていた。
エレオノーラの悲恋の死。
そして、コンラート王弟殿下が政治の駒として扱われている現実。
誰も笑うことができなかった。
春の光だけが、静かに部屋を照らしていた。
21時に短編「最後の帳簿」が上がります。恋愛するアルベルトなんて想像できなかったのですが何とか捻り出しました。ちゃんとバッドエンドです。
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