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乙女ゲームのバッドエンド絵師、ゲーム世界に転生する 〜バッドエンドしかない世界で、運命を捨てる〜  作者: SUN3
漏えいの噂

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第四十五話 勢力が書かれた手帳

5時30分と17時の2回更新しています。

よろしくお願いします。


本日も読んでいただきありがとうございます。

もし楽しんでいただけましたら、ブックマークや下の★から評価をいただけると励みになります。




二月になった。


エーデル男爵家のロビー。


冬の光が窓から差し込み、

磨かれた床に淡く広がっている。


男爵、男爵夫人マルガレーテ、

ロゼッタ、セリア、爺やが集まっていた。


男爵は膝を折って両腕を広げる。


「ロゼッタちゃん、パパにぎゅーして」


ロゼッタはぱっと駆け寄った。


ぎゅっと抱きつく。


「お仕事、頑張って!」


男爵は笑った。


その上から、

マルガレーテがそっと抱きしめる。


「あなた。お仕事、頑張って。早く帰ってきてね」


男爵は照れたように笑った。


セリアは少し離れた場所で見ていた。


(この家族、本当に仲がいいな)


爺やは腕を組み、

静かに三人を見守っていた。


やがて馬車の時間が来る。


男爵は屋敷を出ていった。


ロゼッタは玄関で、

小さく手を振り続けていた。



王都には


男爵夫人マルガレーテと

ロゼッタが残った。


エーデル男爵家の応接室。


午後の柔らかな光が差し込んでいる。


丸いテーブルには

紅茶と焼き菓子。


ロゼッタとマルガレーテは

ソファに座っていた。


セリアは茶器のそばに立っている。


マルガレーテが言う。


「セリア、あなたも聞いてちょうだい」


カップを持ち上げる。


「カイゼル君の二番目のお姉さん


 マルティナちゃんが


 騎士伯爵ヴァルグレイ家の嫡男と婚約する事になったの」


ロゼッタが顔を上げる。


「マルティナ様が、婚約。


 喜んでいいんですよね」


マルガレーテは頷く。


「ええ」


少し間を置く。


「ヴァルグレイ家は中立派なの」


ロゼッタは首を傾げる。


「ええと」


マルガレーテが続けた。


「国王ではなく


 国に忠誠を誓う家」


マルガレーテは一拍おいた。


「国軍の中枢でもあるから


 女王派に取り込まれそうになっていたのを


 揺り戻した形ね」


ロゼッタは困った顔になる。


「難しいです」


セリアが口を開く。


「国王派が


 中立派と手を組んだ感じですか?」


マルガレーテは少し笑う。


「中立派は大きいの。


 一枚岩ではないわ


 国軍が国王派と敵対しない。


 それくらいの距離感ね」


ロゼッタは小さくうなった。


「よくわからないです」


セリアも考え込む。


「中立派は中立派で


 戦力があるんですね」


マルガレーテは肩をすくめる。


「外国との戦争にしか戦力を出さない。


 だから、戦力とも言い難いのよ」


ロゼッタは再び言った。


「本当に難しいです」


マルガレーテは優しく笑った。


「ロゼッタちゃんはまだ小さいもの


 わからなくてもいいの


 それに


 外では言ってはだめよ」


ロゼッタは頷く。


「はい」


マルガレーテは続けた。


「ヴァルグレイ伯爵家で


 婚約のお披露目会があるわ」


ロゼッタは顔を上げた。


マルガレーテは続けた。


「ロゼッタちゃんは


 新婦側の親戚でお呼ばれしているの


 一緒に参加しましょう」


そしてセリアを見る。


「セリア、あなたも連れて行くわ」


セリアは頭を下げた。


「かしこまりました」



ロゼッタの隣の部屋。


爺やの部屋でもあり、

男爵家の客間でもある。


爺やは一人がけの椅子に座っていた。


セリアは横に立っている。


爺やは机の引き出しから

一冊の手帳を取り出した。


「この手帳は


 国王派、中立派、女王派の家系が


 わかりやすく書いてある」


セリアに渡す。


「あげるから


 お披露目会までに叩き込みなさい」


セリアは手帳を受け取った。


「……ありがとうございます」



セリアの小さな部屋。


ベッドと机だけの簡素な部屋。


セリアはベッドに座り

手帳を開く。


「確か、カイゼル様は言っていたっけ


 王様と女王様は仮面夫婦」


ページをめくる。


「安土桃山時代で言うと


 王様は足利将軍


 地方領主は戦国大名


 今は将軍の命に従っている状態」


さらにページをめくる。


「女王派は京の公家衆


 中央集権を目論んでいるけど


 武力に薄い」


セリアはページをめくる。


「中立派は堺の商人で


 一枚岩じゃないか」


セリアは少し息を吐く。


少し読み込む。


「ええっと、ここに書いてある。


 ヴァルグレイ家は


 国に忠誠を誓う家


 外国勢力との戦いにしか


 戦力を出さない。


 内戦に兵を出すと、諸侯の内政干渉になるから。


 なお、


 末子のディルクは


 王太子のお友達候補。


 なるほど」


ページをめくる。


「ノルディア子爵家は中立派か


ジャガイモの流通経路で恩義がある家だ」


少し考える。


「意外


 国王派かと思った」


肩をすくめる。


「まあいいか


 もし、女王派だったら


 口も聞けないもんな」


セリアは手帳を閉じた。


そしてベッドに腰掛ける。


天井を見上げる。


静かな部屋。


セリアは小さく呟いた。


「……お披露目会、


 それまでに、これを覚えるのは大変だ」


セリアはそのまま横になった。


睡魔が襲う。


セリアの小さな部屋は静かになった。




5時30分と17時の2回更新しています。

よろしくお願いします。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

もし楽しんでいただけましたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。

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