第一話 転生
区切りのいいところまで書き終わっています。
毎日21時更新します。
よろしくお願いします。
もし楽しんでいただけましたら、ブックマークや下の★から評価をいただけると励みになります。
「――また、死んだ」
セリアは夢の中で、そう呟いた。
目の前で、少女が崩れ落ちる。
修道院の廊下。
白い石壁。
高い窓から差し込む光。
美しく――絶望的な光景。
セリアは、迷いなく筆を走らせた。
『もっと暗く』
『絶望感を強めて』
『光を綺麗に』
ディレクターの声。
セリアは黙々と描き続ける。
これは仕事だ。
初めて、お金をもらえた仕事。
だから――全力だった。
バッドエンド。
バッドエンド。
またバッドエンド。
少女は何度も死んだ。
そのすべてを――セリアが描いた。
⸻
――あれ?
ふと、手が止まる。
この場所。
知っている。
描いたからじゃない。
違う。
「ここ……今、私がいる場所だ」
その瞬間――
セリアは目を覚ました。
⸻
「……え?」
見慣れた天井。
薄い布団。
小さな部屋に四つのベッド。
孤児院の部屋だった。
手を見る。
小さい。子供の手。
髪は――ピンク色。
(……嘘でしょ)
心臓が、嫌な音を立てた。
⸻
「熱がありますね。今日は安静にしていなさい」
シスターの声。
額に手を当てられる。
セリアはぼんやりと頷いた。
部屋は静かだった。
他の子供たちは眠っている。
セリアは天井を見つめる。
そして――
思い出した。
⸻
前世。
ゲーム会社。
終わらない作業。
そして――
『ライトオブクラウン』
通称ライクラ。
乙女ゲーム。
だがプレイヤーの間では――
クソゲーだった。
理由は簡単だ。
「すぐ死ぬ」
パラメータが足りない。
好感度が足りない。
イベント順序が違う。
それだけで――主人公は死ぬ。
攻略対象に殺される。
婚約者に殺される。
研究材料にされる。
修道院送り。
国外追放。
心中。
とにかく――バッドエンドだらけ。
なのに。
「バッドエンドCGだけ異常に綺麗」
そう評価された。
理由は一つ。
セリアが、本気で描いたからだ。
⸻
そして。
セリアは知っている。
このゲームの主人公。
孤児院出身。
ピンクの髪。
赤い瞳。
光魔法。
全部――一致する。
⸻
「……私じゃん」
声が震えた。
⸻
理解してしまった。
ここはゲームの世界。
そして自分は――主人公。
⸻
「……終わった」
セリアは布団をかぶった。
なぜなら、この主人公は。
とにかく死ぬ。
そして、その死に方を――
全部、自分が描いた。
首を斬られる。
毒で倒れる。
修道院で崩れ落ちる。
地下室で鎖に繋がれる。
全部。
全部。
⸻
「私が描いたやつじゃん……」
⸻
セリアは頭を抱えた。
そして、震えながら呟く。
「私……絶対死ぬじゃん……」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
もし楽しんでいただけましたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。




