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異世界探して右往左往しても見つけたい!  作者: キングスロード田中
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第472話

 貧相なマッチョこと、大魔王がレコウガイオーに攻め込んできた。バトル・ファイオーが終わって日が浅いってのに、迷惑な奴だ。


 大魔王という割りには、見た目は微妙。どこにでもいそうな顔にどこにでもいそうな声にどこにでもいそうな格好をしている特徴の無い奴。大魔王を名乗るのなら、せめて見た目くらいはバーンとハドラーにして欲しいよな。おっと、派手なー。


 見た目に反して、実は物凄い能力持ちだった。指差した相手に死ねと言うだけで相手を殺せるという、即死能力持ち。一瞬で呪い殺す、呪い術師みたいなモノらしい。その能力を驚異に感じて、二十一家総出で滅ぼすくらい。


 気持ちはわからなくもないけど、まずはカイドウ家を滅ぼしておけよ。


 まあ、グレイスに愛されたおかげで俺には呪いは一切効かないから、楽勝だったけどな!大魔王、ざぁーこ♡ざぁーこ♡。


 でも、リホ母さんの本性の一端は見た気がする。敵には、同じ魔王族だって一切容赦しないのなあの人。普段があまりにもいい加減でお馬鹿な軽めの人だったからギャップが結構凄い。うん、敵に回さなくて良かったよ。


 負ける気はしないけどな、それでも。


 さて、これからどうしよう?どうする?いえ、どうにもならない。イエーイ、やっす!


──・──・──・──・──・──・──


 大魔王は、自らの呪いを受けて自滅で死んだ。取り巻きの持ち上げ隊は、大魔王の関係者だという事で、一人を残して無惨に死んだ。その残った一人も、それ相応の罰を受けた上で死ぬんだろうなと思う。


 なぜか俺に救いを求めてきたけど、救世主は誰でも救う正義の味方じゃないんだぜ?だいたい、こっちを殺そうとした奴らまで助けるのは正義でも救世でもお人好しですらない。そいつは、ただの異常者だ。他人の欲望のツケを自分の命で支払おうとする奴なんざ、最も信用に値しない、仲間にしたくないカスだからな。そういう奴は、大抵まず仲間にそのツケを払わせるから。


 だから、別に見捨てても心は痛まない。


 ついでに言えば、大魔王のせいで皆殺しにされるであろう関係先の魔王達にも何の感慨も湧かない。カイドウ家を滅ぼした俺が、今更何か思うかよ。


 まあ、カイドウ家は実際は一晩経ったら勝手に滅んでいたんだけど。


「あなた達。死んだ仲間は丁重に葬りなさい」


 戦いが終わって隠れていた場所から出て来た兵士達に、リホ母さんが指示をしていた。大魔王は俺からすれば雑魚だったけど、普通の兵士達からすれば即死能力を使うそれこそ大魔王に相応しい敵だったもんな。身を潜めていたのは、仕方ない。


 大魔王が誰でも彼でも殺して回らなくて、良かったな。それでも、それなりの被害は出ているようだけど。


「そいつらゴミは、焼却処分しておきなさい」


 大魔王と取り巻きの持ち上げ隊の死体は、炎魔法で跡形もなく焼却された。兵士達の遺体は丁重に葬るけど、敵は髪の毛一筋すら残さずこの世から消滅させる。


 まあ、普通の行動や。丁重に葬る相手じゃないし、大魔王。


「リホ母さん」


 指示が一段落ついた所で、声を掛けた。


「ん?何かしら?」

「大魔王の所への遠征、俺も行きましょうか?」


 リホ母さんは、大魔王というかマツチヨ一族の関わったモノ全てを根絶やしにする為に討伐隊を行かせるつもりらしい。あんな即死能力持ちがたくさんいるようなら厄介だから、それは理解出来るしそれを止めるつもりも無い。


 ただ、本当に即死能力持ちが他にもいたら、俺が行かないとヤバそうだなと。俺なら即死は効かないから単なる雑魚の一掃作業でしかないけど、他の兵士さん達だとまた犠牲が増えてしまうんじゃなかろうか。


 みんなはついて来るというかスケールで移動しないといけないから同行はするけど、外には出さない方針だな。スケールに、出さないように言わないと。


「ん~?今回はあなたは迎撃に出てくれただけで、当事者じゃないから別に参加する必要は無いわよ?」


 と、珍しくリホ母さんに断られた。まあ、前回のザラブ家討伐は真穂が当事者だったし、俺も関わっていたから行かされたけど、今回はたまたま外にいたから迎撃しただけ。そんな俺をこき使うような事はしないんだ、リホ母さん。

 でも。


「相手は、例の即死ですけど?」

「まあ、そうね。マツチヨ一族が他にもいるようなら、厄介ではあるわね。奴らの即死は、防ぎようが無いからね。ただ、厄介だってだけで対処のしようが無いわけでもないのよ、あの即死能力」

「さっきの『ミラー・デブリ』で反射ですか?」


 鏡に写った自分に呪いを掛けて自滅とか、ホント雑魚だよな大魔王。


 ん?大魔王は自分で自分に呪いを掛けて自滅だし、持ち上げ隊はリホ母さんのみに一人以外惨殺された。今回俺、誰も倒してないやんけ!戦果0って、何しに来たんだ俺。


「それもある。けど、そもそも奴らが呪い殺せるのは一度に一対象だけなのよ」

「一対象のみ?それはつまり、両手の指で何人も同時に指差しても……」

「そう。どれか、一対象だけ。即死と言っても、タイムラグはあるってわけ」


 即死が呪いなら、対象を決めないと発動しないわな。ちゃんと「こいつ!」って決めないと、呪いは形にならないんだろう。ウルゾの呪いも、グレイスに取り憑いていたし。


「だから、マツチヨ一族は周りを取り囲んでフクロにすればいいのよ。対象は死ぬかもしれないけど、他でダルマにしてやれば問題無し」


 一度に一殺なら、その間に後ろからバッサリ殺ればいいってわけなんだ。


 あれ、やっぱり大魔王雑魚じゃね?


「生かしておくと危険だから絶滅させるけど、どうにもならない相手でもない。まあ、あなたのように完全無効に出来るなんてのは、イレギュラーだけどね。そりゃ、マツチヨもさぞ驚いたでしょうよ」

「まあ、完全棒立ちで攻撃受けましたからね」


 こっちからすれば即死能力とかチート過ぎるチートなんだけど、向こうからすれば呪いの完全無効化とかチート扱いなんだろうな。


「さすがは、伝説の『ダイヤ・ラック』ね。エキサイだわ!」


 相変わらず意味はわかりませんけど、エキサイです。


「そういうわけだから、あなたに何かしてもらうつもりは無いわ。バトル・ファイオーで働いてもらったし、これは魔王族の問題。人間のあなたに解決してもらったら、魔王族の名折れになってしまうわ」


 マツチヨ一族に関しては、確かに魔王族の身内の問題。そこに俺が介入するのは、余計なお世話か。


「……わかりました。今回は、手を出しません」

「そうそう」


 納得したのか、リホ母さんが城に向けて歩き出した。と、少し行ってすぐに立ち止まると振り返った。


「ところで、どうだったかしら?ウチのマホの「味」は?」


 ニヤニヤしながら、そんな事を聞いてきた。


 うーん、その事は俺からは報告していないんだけどな。まさか、真穂が報告した?そんな様子は、知らないんだけど。


 そうなると、ウララ以外の各人の親御さんも……?


「……美味しかったです」


 なんとなく色々知ってそうだから、ここは観念しよう。はい、美味しかったです!最高でした!ていうか、今でも最高です!!


 リホ母さんは、ニンマリと笑った。


「ふふ。最高でしょ、私の娘。あ、子供出来たら教えなさいね~」


 そんな事を言いながら、リホ母さんは去って行った。


 いやだなぁ、これ。各国回りで、絶対弄られるヤツじゃん。


「ま、仕方ないか」


 その娘さん達を弄ったの、俺だしね。


 という事で、スケールまで戻って来た。


「スケール、とりあえず戦闘態勢はもういいぞ。さすがに、もう敵はいないだろ」

『了解。第一種戦闘配備解除』


 そもそも、スケールが戦闘態勢になる必要は特に無いんだけどな。だってここ、魔王領国首都レコウガイオーの王城の真ん前だぜ?スケールが戦わないといけなくなるなんて、敵に本丸まで攻め込まれているかこないだのウルゾみたいな範囲兵器でまとめて攻撃されているかくらいだ。


 そんな事、俺がいてさせるかよ。


『ところで、マスター』

「ん?どうした、スケール?」

『マスターのフィアンセが起床して、マスターの不在に気付いた模様』


 何の報告かと思ったら、まさかの第二の敵襲だった。いや、敵ではないので味方襲になるのか?しかも、そんな事をスケールがわざわざ報告してくるという事は。


「もしかして、騒いでるか?」

『マスターの不在に、外に出ていると気付いた。外に出ようとしたので、ドアをロックはしておいた』


 ああ、スケールはきちんとみんなを閉じ込めておいてくれたのな。下手に大魔王との戦いの場に来られていたら色々面倒な事になっていただろうから、それは助かった。


 まあ、あの大魔王が美少女を殺すとも思えないけど。あいつ自分をいい女に相応しいいい男だと思っていたし、女性関係にはなんか自信持っていたっぽいからな。自分のステータス上げにしか思ってないようだったから、あいつこそトロフィー扱いしてたろ。


「あー、そうかぁ」

『外に出した方が良かった?』

「いや、あの相手は駄目だった。ナイス判断だった、スケール。グッジョブ」


 スケールの判断は、正に的確だったよ。


 まあそこから先は、俺の役目であってだな。覚悟を決めて、戻りましょうかね。


「スケール。王ローダーに戻るわ。開けてくれ」

『ご武運を』


 祈ってて、スケール。


「さて、カナタさん。ちょっと、そこに座って下さい」


 中に入ると、物凄い笑顔のトモヨちゃんに出迎えられたよ。その笑顔の後ろに、凄い暗黒のオーラを感じるんだけどね。ウルゾなんかより、よっぽどこの子の方が闇の力強いんじゃないだろうかと、最近思う。


 他の子達も、多かれ少なかれムッとはしてそう。今回は、味方いないかなこれ。


「はい」


 もちろん、床に正座です。



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