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09 方舟に乗ってみよう!

09



 バケツをひっくり返したような雨で家の中にいても雨音がスゴい。


「瑞、慶はもう方舟に乗ったって」


 お母さんにそう言われてわたしは家の敷地のちょっと外まで全部に結界を張った。途端に雨の音がしなくなる。


「しろのキャリーケース確認して、お父さんはクロのリードをシッカリ持って抱きかかえてね」


 家の中身は既にストレージに仕舞った。後はこの家を仕舞うだけ。お父さんとお母さんとしろとクロとみんなで玄関から外に出て門を出る。


 家全体を意識に納めるような感じをイメージして呪文を唱える。


「『おかたづけ』」


 一瞬家全体が光った後にはそこに何も無かった。むき出しの土色の地面があるだけ。


 さよなら、バイバイ。わたしのお家。


「じゃあ、行きましょうか」


 お母さんがそう言ってみんなで声を合わせて言った。


「システム→移動選択。土属性農業都市。」


 言い切った瞬間フワッと体が浮いてトンッ降りた。


「ふわーッ」


 周囲を眺めて唖然とする。


「宇宙船だよ」


 体育館程の広さで高い天井のホールを囲む窓の外には地球が映っていた。


「父さん! 母さん! 瑞!」


 お兄ちゃんが向こうから駆け寄ってきた。


「ワンワン」


 久しぶりに会ったお兄ちゃんにクロも喜んで尻尾を高速で振っている。


「クロ~ 取り合えず移動しよう」


 もしゃもしゃとクロを撫でるとこっちだと言ってホールを出ていく。


 ホールを出るとホテルのエントランスロビーの様なところだった。

無人のカウンターにATM機のようなものがズラッと並んでいる。


「先に乗船登録して部屋をもらおう」


 機械に近づくと画面に光が入る。


『タッチ入力にしますか? 音声入力にしますか?』


 なめらかな女性の声で話しかけてきた。お父さんが代表して操作にあたる。


「音声入力でお願いします」


『かしこまりました、では登録人数をどうぞ』


「4名とペット2匹です」


『では個別登録いたしますので、家長の方から入力をどうぞ』


「佐藤寿男 (さとうとしお)」


『では画面に右手を乗せて下さい』


 右手を乗せるとスキャンするように画面上部から緑の光が下方へ移動した。


『次の方どうぞ』


「佐藤祥子 (さとうしょうこ)。43歳、女」


 お母さんも同じように右手を乗せる。


「佐藤慶 (さとうけい)。18歳、男」


 そしてわたしも


「佐藤瑞 (さとうすい)。16歳、女」


『ではペットの登録をいたします。こちらの中に体毛もしくは表皮の一部を入れて下さい』


 画面の下がカチッと音がして引き出しが出てきた。まずはクロの毛を入れる。


「名前はクロ。種類は柴犬。年齢は2歳、雄」


 引き出しが引っ込む。


『続けてペットの登録をどうぞ』


 また引き出しが出てきた。


 お母さんがキャリーに手を入れてしろを撫でて手に毛が付いてき毛を引き出しに入れる。


「名前はしろ。種類は猫。年齢は2歳、雌、避妊手術済み」


 引き出しが引っ込んだ。


『佐藤さん家族は4ベットルームの部屋となりますが宜しいでしょうか?』


「はい」


『では部屋No.3101040をご使用下さい。船内ではこちらの認証バンドを常に携帯してください。黒が寿男さん。赤が祥子さん。青が慶さん。緑が瑞さんです。ペットにはこちらの首輪を必ず装着させてください。白がしろさん。黒がクロさんです。船内ではこちらの認証バンドがないと扉が開かないようになっております。以上で登録完了いたしました。なお御不明の点がございましたらリストバンドにhelpと仰っていただければお答えいたします』


 機械からさっきとは違う引き出しが出てきて3cm幅のリストバンドが4本と1cm 幅の首輪2本が乗って出てきた。


 それぞれが指定された色をとる。とお兄ちゃんがペイッっと左手首に巻き付けると自動で長さが調節されて継ぎ目のないリストバンドになった。


 しろとクロにも付ける。


『認証バンド及び首輪の装着を確認しました。扉解除いたします。では船内にておくつろぎくださいませ』


 




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