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魔王が勇者〜勇者育成所始めました〜 作者:早坂器乃
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07種族ばれました

マオの魔法で火が消され、安心するカーニャだが…
「それにしても、すごい炎だったね。口から火炎を吐き出すなんて、ほら えーと…、」
 と、(まあ、何だかマオ様のお客様みたいだし。あとは魔族だってばれない様に、適当にあしらって早く帰ってもらえば、問題ないよね)などと考えながら、2人の会話の邪魔にならないようにと、マオの後ろで控えていたカーニャにキサラギが不意に話を振った。




「まるで、―――、みたいだったよ」




ぴたっ。



と、カーニャは【竜】と聞いて、一瞬固ってしまったのだ。
「えええ…、その、あうぅ」
 限りなくしどろもどろ。


「………」
 2人の話の断片を聞いて、マオがふうぅと面倒にため息をした。どうやらカーニャの慌てる様子を眺めているようだ。「助け舟でも出すべきか」と思いあぐねている様にも見えるのだが、見えるだけで、助ける気は更々《さらさら》ない様子。…それどころか、何か楽しい事でも思いついたかのように、目を細め出す始末。

「何を言っているのだ、財団の勇者よ」
 と、『この場は僕に任せたまえ』といわんばかりに口を挟み、ぽんっ、と未だ固まるカーニャの頭に、だらりと下げていた左手を軽く置く。
(ああ、そうだよ。マオ様が否定してくれる。私が慌てる必要も無いよね)




「カニャさんは、竜族・・なのだが?」




「えっ?」


「ええ――っ!!」

(ダメーー!ダメダメ!! この人、ばらしちゃってますから!! 折角せっかく、必死で隠そうと思っていたのに、ばらしちゃってますからーー!!)
 カーニャは慌てふためき、マオを見上げた。見上げた先のマオはいつもと変わらぬ様子で、危機感もなく立っている。
「ち、違いますから!!そんな!私、じゃ、ないですからーー!!」
 限りなくぎこちなく、キサラギに向け必死に猛反論!



「しかも竜長の愛娘、正真正銘、竜族・・の女の子なのだ」



「わーわーわーー!!」
 カーニャは届けばマオの口を手で封じたいとでも言いたげに、背をこれでもかとピンッと伸ばし、両手を交差させマオに詰め寄った。カーニャの頭での中では、マオの口を抑えているらしい。


「…やれやれ、カニャさんが竜族なのには変わりはなかろうに」
 マオは身もかがめず、いつもの様子で頭上から言葉を発する。それも、内容から考えれば、極秘ごくひの話であるはずなのだが、音量を絞りもせずいつもの声量で、なのだから余計に性質たちが悪い。

「別段、隠す事でもない、という事なのだよ」
「(違いますから、隠しますから!全力で隠しますから!)」

 ぱくぱくぱく。

 カーニャはできるだけ、音量を絞り口をパクパクさせ反論した。その動作はエサをねだる雛鳥ひなどりを連想させる。そこに別の大人達がいれば、きっと何か甘いお菓子でも、ぽいっ と口に入れてみたい衝動に駆られたに違いない。しかし、マオは特に何もせず、カーニャの次の言葉を待っているようだった。

「(それに、竜をお供に連れているなんて、そんなの『マオ様が魔王です』って言っているのと同じじゃないですか)」

「同じ…?ああ、僕が『竜2体を従えている』という例の話だろうか?」
「(そうです、父様と母様の事です!)」
「ふむ…。おかしな話だ。別に僕は竜を使役しえきしている訳ではないのだがな。それに…、ほんの数千年前までは、竜族は人間側だったのだが」
「えっ、そうなんですか?」
「僕は、竜王と戦った事もあるのだよ」
「え!? 父様とですか?」
「あの時の竜王は、実に雄々《おお》しかった。こう天空に炎を撒き散らし世界の半分を壊滅かいめつに導きかけたのだからな」
(わー、父様、マオ様と戦うなんて、やっぱりすごいよね)
 などと不意に父の話を聞く事ができ、カーニャは晴れ渡る空を見つめる。既に心は故郷に飛んでいるようだ。

「って、今はそんな話じゃないですから!!違いますから!!」




「………」



「…ごめん、いいかな?さっきから君が…、竜だって、聞こえているような…」
 と、2人の会話を聞いていた、と言うよりも駄々《だだ》れの話を耳にしていた、キサラギが困惑気味に口を挟んだ。

「うむ、カニャさんは、りゅ…」

「わーーー、わわわーーー!」
「え、え?どうかしたのかい?」
「な、何でもありません」
 と、事の収拾しゅうしゅうはかろうと必死に否定するカーニャ。どうやら、知らぬ存ぜずで通す事に決めたらしい。未だ確信を得ていないキサラギにはこの手法がもっとも効果的だと判断したのだろう。

(そうそう、少しずつ話を竜からずらしていけば、いいよね。人間なんて適当な記憶力だし、そのうち忘れてくれるよね)
「あ、あの…、さっきは助けてくれて有難うございました」
(それに助けてもらったし、やっぱりきちんとお礼は言っておかなくっちゃ)

「うん?」

 と、キサラギは一瞬「えーと、何の事だったっけ?」という表情を見せた。どうやら、カーニャを助けた事を忘れていたらしい。それ程までに、この目の前の勇者にとってみれば『人を助ける』行動は当たり前の事のようだ。
「君にケガが無いようで安心したよ」
 と、それよりもカーニャの怪我の有無を確認し、無事である事に「うんっ」と嬉しさをにじませる姿が印象的に思えた。

(相変わらず、他人のケガなんかを気にするよね。…それにしても、人間って面白いよ。とっさに知らない他人を助けるなんて。…だから、あれかな?今まで生き残って来れたのかな?…助け合うって精神って何だかすごい気がしてきたよ)

 などど、人間のさがに感心するカーニャを眺めながら、マオは「ふうっ」とため息をついた。事の収拾に専念するカーニャの策略を見抜き、何かを仕掛けようかと考えていたようなのだが、すでに協力も妨害もする気は失せた後らしい。…それどころかカーニャの正体をばらした事で、もう興味が薄れたらしく、
「…僕はそろそろ飽きてきたので、カニャさんをみゅぎゅーと抱きしめてもいいだろうか?」
 などと、訳のわからないことを言ってくる始末。
「ええっ、い、今ですか!?」


 そんな、父子がじゃれ合う様な微笑ましい情景を見て、キサラギは、ぷっ。と笑った。


「ああ、ごめんごめん、さっきの君が竜だって話。何度考えてみても、余りにも突拍子も無い話だったので」
 と、どうやらマオの冗談だと解釈したらしい。眼鏡のずれを一度直し、無害な笑顔で話し始めた。

「大体、君が竜だって言うのなら、彼が魔王って事にもなりかねないし」
 といって、ちらりとマオを見た。
「そ、そうですよ、マオ様は勇者ですから!」
(…本当は、魔王様だけど…)

「うん、それは判ってる。ほら、彼はさっき、炎を消すのに魔法を使ったしね」
 と言って、キサラギは右手でくるりと小さく空中に円を描くそぶりを見せた。どうやら先ほどのマオの魔方陣を描く様子を簡単に真似ているようだ。

「光魔法?それが魔王と何の関係があるんですか?」
 一体何の話ですか?っとカーニャにはわからない様子。そんなカーニャの状態にマオは気付き、やれやれと前置きをしてから

「魔族は光魔法は使えんのだよ」
 と付け加えた。

「光イコール、魔を滅する作用のある部類の魔法だからね。ほら、魔族は闇の眷属けんぞくだろう?闇の真逆に存在する光は根本的に使用が不可能な話ってわけなんだ。魔族の頂点に立つ魔王は、闇の化身と称される存在だしね、光魔法なんてそれこそ使えるわけないからね」


(あれっ?でも、マオ様光魔法、使って…)

「………」

 疑問に思いカーニャが小首をかしげてマオを見上げると、マオと視線が合った。その闇色の瞳は揺らめきもせず、ひたすらカーニャを映すだけで、問いかけに答えてくれはしなかったのだが、(ああきっと、マオ様は特別なんだよね?)とカーニャはふと考えた。


「それに、魔王は竜2体を従えてるって言うし、もし君が炎の竜ならもう1体の水竜がいなくちゃ辻褄つじつまが合わないしね」

「ふむ、そうだな、カニャさんは火炎が使えたと言うだけで、別に炎竜と言うわけでもないのだしな」
「それについては、僕にも落ち度があるかと…」
 といって、再びカーニャを見る。そして、できるだけカーニャの目線に合わせようと、身をかがめた。四角い眼鏡の後ろにある、優しげな空色の瞳が近づく。


「ごめん。きっとあの炎は僕が驚かせたせい、かもしれないね」

「え?」
「魔蜂は動くものを攻撃する習性があるから、動くなって君に言ったけど。…そうだね、ごめん。きちんと、魔物がいたことを知らせてから、退治するべきだったよ。…それに、君ぐらいの年の子は、パニックになって、魔力暴走もあるから。あれかな、幻術魔法との組み合わせかな?こんな小さいのに、魔力がすごいんだね」
 と微笑みかけられた。

「え、あ、あっ。はい。すみませんでした」
 と、ここはこういう返事でいいんだよね?っと両手をきちんと揃えてぺこりとカーニャはお辞儀をした。

(でもまあ良かったよね。とりあえず、私が竜じゃないって事になったし。マオ様も魔王様じゃないって事になったし。やっぱり人間は、楽でいいよ。不都合な事は、信じないって感じで、だから助かるよね)
と、とりあえずの危機を乗り越えカーニャはニコニコ顔。



「じゃあ、そろそろ本題に入ろうか」
「本題?」
 はて?と思い、カーニャはキサラギに問いかけた。

「うん、僕の仕事、調査・・だよ」
 と、にこやかにキサラギは答えた。


■カーニャの種族
竜族です。しかも世が世ならばお姫様だったりな身分です。ようやく出てきました。別にここまで引っ張るつもりは無かったのですが…

さて、キサラギは一体なんの調査に来たんでしょうか?的に次回へ続きます。

狐の森
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