挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
魔王が勇者〜勇者育成所始めました〜 作者:早坂器乃
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

15/19

15紫色の来訪者

水魔法とか色々あったけど、何だかイイ感じに?商談も終わり・・・
「それじゃ、結果は後日お伝えします」

 大量の書類を抱え込み玄関ロビーをコツコツと歩きながらサラギが無害な笑顔を向け話した。

「一体、何を後日伝えるのだろうか?」などどカーニャは思いながらも、
「はい。ご苦労さまです」
 と笑顔で対応している。マオは残務があるからと客室から出ることもなく、つまり玄関ロビーには、キサラギと見送りのカーニャ2人。

「じゃ」
「あ、私が開けます」

 ギギギ。

 キサラギが高価そうな飾りの施された玄関の扉に手をかけようとしたのを制し、よいしょっと両開きの扉を(重かったので)右側だけ開く。

「お気をつけてお帰り下さい」

 カーニャは行儀良く頭を下げ、邪魔者を、もとい、客人を見送る体勢を取った。
 こう、幼児特有のぷりぷりとした腕をピンク色のふわふわのスカートに付け、
 深々とお辞儀を―――、

 ―――いや、くの字、
 ―――いや、ほとんど直角に、これでもか!と言った感じで腰を折っている。

 ちょいっ、とその下げられた頭を軽く突いたなら、そのままぺたんと尻餅を付いてしまうぐらいの絶妙なバランスに見える。


(そろそろ夕食の時間だよね。この人間が帰ったら食事の準備をしなくっちゃ。
 それに、どうせマオ様の事だから・・・、食材、なんて用意してるわけないし。この人間を早く帰して買出しにも行かなくちゃ、・・・だよね)

 おそらく『手早く自分を追い出そう』と目論むカーニャの思考などキサラギには読めるはずも無く・・・。
『うんうん、本当に懸命で可愛らしい子だな』とか、
『そうだ!今度来る時は、この子が喜びそうな手土産を持ってくるとしよう』
 と、思っているに違いない辺りが不憫に思える。

 そして『さて、もう帰ります』といった感じだったのだが、


 ―――10
 ―――20
 ―――30秒・・・・・・。


(・・・あれ?)
 50秒過ぎても、キサラギの動く気配が感じられない。

(・・・どうしたんだろう??)
 不思議に思いカーニャはお辞儀の体勢そのままに、

 ちらり、
 器用にも首だけを傾けキサラギを見上げると、・・・硬直したキサラギの表情が目に飛び込んだ。




(えっ・・・・・・?か、固まってる??)

『・・・石化の呪い(病気)でも持っていたのかしら?』と、ちょっと考えて、傾けていた首を更にかしげた。

(あっ!も、もしかして、…隠し魔法陣踏んじゃったとか?!)
 慌ててキサラギの足元を確認するが、そういった類の刻印はない。

(そうだよね・・・、こんな玄関真ん中に、盗賊避けの魔法なんて仕掛ける人間なんて居ないし。まぁ、マオ様は人間じゃないんだから、あり

えない話、じゃ無いんだけど・・・。 
 それに今更、勇者『捕獲→捕虜』って言ってもね・・・。第一、能力の劣る人間なんか捕まえても、邪魔なだけだしね・・・)


 とりあえず―――、

 勇者の硬直の原因はマオの気まぐれな(石化や麻痺の)イタズラでない事は確認できた。つまりただ単純に、キサラギは扉のあちら側、即ち外を見て固まっていたようだ。
 よくよく見ると、目を見開いて『何故ここに!?』といった感じに見えなくも無い。「この勇者を驚かせるような危険人物か、ここに不釣合いな何かでも外にいたのだろう」と、カーニャは予想を立てた。


「でも、どうせ、アレだよねアレ。小さな魔兎なんかがいたりしてとか、そんなオチに違いないよね」
(それよりも、夕食マオ様、何がいいとおっしゃるかしら?)

 などと、やはりカーニャは気楽に考えた。

 何故なら、小さな小さな魔兎や魔蛇には時折、石化の能力を持つたぐいも居る。
 カーニャのルビー色の瞳よりも、もっと赤い赤い血を固めたような透明度の低い瞳にそういった魔力がまれに宿ることがあるのだと、父より習ったことがカーニャにはあったのだ。

 だから、
『不用意に瞳を見てはいけない』とか、『けれどそれは自分が幼く、相手が千の数を越す場合』・・・、なのだが、カーニャは忘れているようだ。
 加え、今固まっているのは、立派な大人で、勇者で、しかも風の精霊に守護されている人間、なのだが、今のカーニャは気付く由もない。



 ひょいっ。

 さて、それでも興味心の湧き出るままにカーニャは扉の外を見た。

「あ、あれ!け、景色が―――『紫色』?!」



 ・・・そこには、それほどまでに独特な色彩を放つ2人の人物がたたずんでいたのだ。

 ―――『紫』の髪と、『紫』のドレスに身を包んだ、妖艶な姿の、女。

 ―――『紫』の髪と、『紫』の軽甲冑を身にまとい、女の背後に控える、騎士。


 その2人の毒々しい色彩は、『・・・何かしらの契約じみた結果の同色なのか』と思わせるほどに、一種独特な色合いだが、・・・血の繋がりがあるせいかもしれない、どことなく容姿が似ている。

「あっ!」
 っと、カーニャが再び口を開こうとした時、キサラギの驚きに満ちた声が響いた。

「・・・ま、魔法院の『魔女』・・・!!」


 『魔女』と呼ばれた女は薄く笑いをこぼした。
 その唇には、紫のルージュが施され、その長く揃えられた爪も同色の色を宿している。その色彩に触れるだけで、毒を体内にねじ込まれてしまいそうな気さえする・・・。

 体のラインが強調されるようなタイトな深い光沢のある紫のドレス。肩が出されたそのデザインの服は、胸元も大きく開かれ、豊満な胸を惜しむ事無く出し、その胸元には黒紫石の大きな首飾りが鎮座する。足元は長い裾で、手元は大きく広げられたレースで隠され、紫の髪は後方にアップに上げられ、浮き立つような青白いうなじは眩暈めまいを誘発する。
 ・・・その全てが妖しく飾られ、妖艶なその姿をさらしていた。


 ・・・マオ、が漆黒を従えた深淵しんえんの―――『闇』ならば、
 この魔女は、禍々《まがまが》しい紫艶しえんの―――『毒』。



 ダダダンッ!


 一際ひときわ大きな音に驚き、はっとキサラギの方向に目を向けると、

「くっ!」

 数メートル後ろで、床に倒れこんでいるキサラギの姿が目に飛び込んできた。キサラギと対峙しているのは、魔女と同色の騎士の青年。

どうやら、騎士の一撃を受けて、そこまで飛ばされたようだ。

 騎士は、マオほどの長身ではなかったが、キサラギよりも背は高くその体つきはほどよく筋肉が付いている。18、19程度の年齢に見えるが、まさに、鍛錬の騎士といった風情があった。髪は後ろできつく束ねられ、前髪は左右に大きく垂れさせている。

 濃い紫色の軽装の鎧を身に付け、
 腰には6本の剣、・・・いや、内一本は槍のようだ。
 そしてその槍が抜かれ、

 ギラリッ。

 キサラギの喉元には、鋭利な矛先があてがわれた。
 騎士の真一文字に閉じられた口は意思の強さを表し、ただ、一点だけを貫くようにその眼光は、勇者を憎しみの情で射抜く。
 その正しく、蛇ににらまれた蛙の状態のキサラギは、冷たい汗を額にかきながらも、メガネの奥から臆する事無くまっすぐに騎士を見上げていた。

 ただ、奇妙な事にキサラギが腰の剣を抜く気配は無い。―――風の精霊での魔法の気配もないようだ。



「え?え???」

 突然の出来事にカーニャは困惑した。はっとして、慌ててマオのいる部屋を見たのだが、・・・その扉は開くことは無い。

(・・・マオ様の反応は、無いよね?)
 もし、危険があるならば、マオは面白そうだと(いやもとい、危険だと)顔を出すのだが、その様子は無い。

「うふふふ」

 マオの動向に気を取られているカーニャに向け魔女は極上の笑みを漏らした。

 しゃなり、
 しゃなり、
 魔女は、すそを鳴らしながらカーニャの背後に忍び寄り―――、

 ―――ぬるり、

 妖艶な白い指先が伸ばされ、カーニャは・・・、たやすく魔女の腕の檻に捕らわれた。


魔女達の瞳の色は、金色なのですが、あれやこれやと、色出しちゃうと良く分からなくなっちゃうので、とりあえず、
魔女達は『紫だったよね』と印象付けされればOKOK!です。

ちなみに、彼等のイメージ色は
◆カーニャ  金
◆マオ    黒
◆キサラギ 水色
◆魔女/騎士 紫  になります。

狐の森
作者のゲーム作成サイト
「魔王が勇者育てました(仮)」経営ゲーム作成中です

ブログ(物語の裏設定話)はこちら<
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ