挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
魔王が勇者〜勇者育成所始めました〜 作者:早坂器乃
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

10/19

10魔女の時間・キメラ

すみません、本当はカーニャも出てくる予定でしたが、次回と分割します。
「ギャッ−−ギ、ギャギャ」
 薄暗い部屋にこだまする奇怪な声。

 長い廊下のような奥行きの有る造りの部屋。
 石の無機質な冷たさを感じるぬくもりの消えたような部屋だ。


 全体が薄暗くその部屋の詳細を確認することはできそうに無い。

 それでも、ちらちらと、部屋にともるわずかな明かりに助けられ、かろうじて、柱のような物体は確認することができる。
 長い廊下のような部屋の、その両壁にそびえ立つ無数の『柱』…。


 コツコツコツ…

 その部屋を真っ直ぐと奥に向かい誰かが歩いているようだ。
 …おそらく男性…。部屋の薄明かりの中、かろうじてそのシルエットは確認できる。

 その歩みは…、訓練された騎士…、を思わせる。


 その向かう先、長い長い部屋の奥には…、女性が立っているようだ。




 コツコツコツ…


「ギャッ−−ギ、ギャギャ」
 男が歩みを深めるたびに、

「ギャッ−−ギ、ギャギャ」
 『柱』が奇怪な声を上げる。 



 …ここは尋常じんじょうでない空間のようだ。


 『柱』のうめきは壁に反射し一層けたたましく響く。
 ほのの騎士の侵入を警戒して、ではなく、…それはまるで、君主の帰りに歓喜するような叫びに聞こえる。



「うふふふ…」

 女は、しゃなり と長い服のすそを鳴らし、騎士のいる方向にゆっりと向き直った。
 両壁にともる光が永遠と続き、無限回廊を思わせる。
 この永遠に長く続くような部屋で、ほのの騎士が歩み寄る姿を女の目が捉えた。


「ああ、可愛いわたくしの子供たち。わたくしの騎士が来たことを告げていたのね。…なんて愛らしい…」





 ちらちらと灯火ともしびが揺らめく。


 しかし、そのともる光は、壁に付けられたランプではなく、『柱』自体の発光だった。
 その不確かな光を頼りに確認さえ出来れば、『ソレ』が単なる柱でない事に気付く事ができる。

 …どうやら、ソレは何かを『閉じ込めるため』に設置された魔方陣らしい。
 石床から天井までを繋ぐ、円柱の魔方陣だ。



「ギャ、グエグエ」
 異形の生物が声を上げる。訳も分からぬ姿に混ざり合った、通常でない生命体。


 ―――ここは『キメラ(混合生物)』の研究所…、のようだ。

 奇妙な角度に飛び出した手足を有する、子犬ほどの何か。
 腹から尾を出し、背には潰れたかけた目のような気管…を有する、頭部のない巨生物。
 …中には、単なる肉片となって脈打つ気配のない物体、までもある。


 左右の壁全ての『柱』が、同様のおりならば、その数はゆうに百を越す。 
 部屋こそ薄暗いが、魔方陣にさえ近づけば、全てのキメラは容易に観察する事は出来るだろう。


 ただ…、
 覗き込もうとする、勇気さえ…あれば、の話だが。





 コツコツコツ



 騎士は、その不様なキメラに目を向けることも無く、部屋の奥へ奥へ踏み入り、女にたどり着いた。
 女は魔女の笑みをたたえ、騎士を迎える。騎士は、かしずく様に一礼し、そしてぼそぼそと、耳元で何かを告げた。


「そう…。魔王が、都の城に滞在を…

 うふふ、この日を待っていたわ。待ち焦がれたわ…。うふふふ、参りましょう…」



 女の魅惑的な黄金の瞳が揺らめき、

 狂気じみた笑みを浮べた―――。



ちなみに、時間的には、マオが火事を吸い込み終わった時あたりです。
今後、この騎士と女は主要人物になりますが、さて、敵か味方か!?
感を残して次回へ続く…

ほの
この文字が好きで、実際は、「ぼんやりと見える騎士っぽい人影」と書くべきところを
ほのの騎士」と表現。好きな言葉を使えたので、個人的には満足です。ありがとうございます

狐の森
作者のゲーム作成サイト
「魔王が勇者育てました(仮)」経営ゲーム作成中です

ブログ(物語の裏設定話)はこちら<
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ