第14話:突然の別れ~アドレア視点~
「レア、そのお菓子、いらないならもらうわね」
僕が持っていたお菓子を、ぱくりと食べたイリ。
「本当にこのお菓子、美味しいわね。レア、こんなに美味しいお菓子をありがとう」
「どういたしまして。ねえ、イリ、僕はイリの事が大好きなんだ。僕、もっともっと頑張るから、いつか僕のお嫁さんになってくれるかい?」
これから先も、ずっとイリの傍にいたい。僕はイリと結婚したい。そんなおもいで、イリに気持ちを伝えた。
「結婚?私、結婚には興味がないわ。何かに縛られずに、自由に生きたいの」
自由に生きたいか…なんだかイリらしいな。
「それじゃあ、自由に生きたらいいよ。僕はイリの傍にいられたらそれだけで幸せだから。だから結婚して」
「もう、レアったら。結婚したら、自由がなくなるじゃない」
「別に結婚しても、自由がなくなる訳じゃないよ。僕はイリには好きな事をして欲しいと思っているんだ。ただ、傍にいてくれたらいいだけだから」
僕はこれからもずっと、イリと一緒にいたい。イリといられるのなら、公爵令息の地位もいらない。それくらいイリは、僕にとって大切な存在なのだ。
「レアったら。それじゃあ、私より強くなったら考えてあげてもいいわ。それから、美味しいお菓子を沢山準備して。私、特に甘いお菓子が大好きなの」
そう言うと、にっこり笑ったイリ。
「本当?僕、毎日美味しいお菓子を準備するよ。それに、必ず強くなるから」
イリが僕を意識してくれた、それが嬉しくてたまらない。早速翌日から、沢山のお菓子を持ってイリの元にやって来たのだが、なぜかイリの手下たちも集まっていた。
おかしいな、手下たちはイリが手配した仕事にいっている時間なのに…どうしたのだろう。
「レア、おはよう。これで皆集まったわね。実はね、ちょっと領地に行かなければいかなくなって。しばらくここに来られないの。だから今日は、皆にお別れを言おうと思って」
領地に行くだって?お別れだなんて…
イリの言葉が、僕の中で何度もこだました。そんな…イリとお別れだなんて…
「イリ様、それは一体どういうことですか?お別れだなんて」
「いつ戻られるのですか?」
「そうね、いつ戻って来るかどうかは分からないわ。まあ、適当に片づけて、また気が向いたらここにも来るから。皆、元気でね。また暴れていたら、締め上げに来るから、いい子にいしているのよ」
ニヤリと笑ったイリ。
そんな…こんなに急に別れが来るだなんて…
「イリ様が戻って来られた時、安心してもらえる様に俺たちも頑張ります。イリ様、今までありがとうございました」
「イリ様がいなくなるのは寂しいけれど、仕方ないですね。また王都に戻ってきたら、いつでも遊びに来てください。それでもやっぱり、寂しいなあ」
男たちがポロポロと涙を流している。
「おい、レア、お前、イリ様にお礼を言わなくていいのか?お前もイリ様に助けられた人間の一人だろう?」
「ぼ…僕は…」
「レア、あなたと過ごした時間、楽しかったわ。またどこかで会えたらいいわね。それじゃあ、もう行くわね」
にっこり微笑んだイリが、そのまま歩いて行こうとしている。
「待って、イリ。僕、イリが大好きだよ。正直離れたくない。でも…いつかイリに再会した時、認めてもらえるような立派な男になる。だから、次に再会した時は、僕と結婚してほしい」
真っすぐ入りを見つめ、はっきりと伝えた。
「ありがとう、レア。でも、今のあなたでは無理よ。相当頑張らないとね」
「ああ、死ぬ気で頑張るよ。だからいつかまた会ったら、絶対に結婚して欲しい」
「分かったわ。私より強くなったらね。それじゃあ皆、またね」
そう言うと、去って行ったイリ。
「レア、そんなに落ち込むな。イリ様の事だ、すぐにまた戻って来るよ」
落ちこむ僕の肩を叩く、イリの手下たち。そうだ、落ち込んでなんていられない。イリと再会した時、イリに認めてもらえる様に頑張らないと。




