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5.1王妃視点 恋敵の娘を暗部の者達に襲わせることにしました

 私はベアトリス・フランク。この歴史あるフランク王国の王妃様よ。


 魔王を倒した勇者一行の聖女から王妃の座を奪ったとか言う不届き者もいるけれど、誰が何と言おうと、この国の正統な王妃は私なのよ!


 私はこの国でも由緒あるカーン侯爵家の令嬢だったわ。

 そう、お貴族様の中でも王族出身の公爵家に次ぐ爵位で、実質この国の貴族の中では最高位の貴族家よ。

 平民聖女と一緒にしないでほしいわ!

 

 生まれた時から王妃になるべく両親からは厳しく育てられたのよ。

 王妃教育を受けた令嬢の中では王妃に一番ふさわしい令嬢になっていたと思うわ。


 礼儀作法なんて、この王国一厳しいと噂されたマイヤー先生に教わって徹底的にしごかれたのよ。

 でも、高々一センチ顔の位置が違うだけで叱責されるっておかしくない?

 あまりに厳しすぎるので、途中で私の宝石を盗んだという罪を着せて侯爵家から暇を出してほっとしたけれど……

 まあ、そのお陰で王妃教育を受けた令嬢の中では最高の女性になれたと思うわ。


 そのように厳しく育てられた私は元々ダニエル第一王子殿下の婚約者ではなくて、王太子殿下の婚約者だったのよ。そう、元々私は王妃になるべくして存在していたのよ。

 我がカーン侯爵家はこのフランク王国内でも一二を争う貴族だし、その影響力は大きかったわ。

 私を婚約者にした王太子殿下の地位を盤石にしていたのは私の存在なのよ。

 裏を返せば私を娶った者がこの国の王太子にひいては国王になる事が出来たのよ。

 


 でも、時代は魔王の率いる魔物達が跋扈する暗黒の時代だったの。

 婚約が決まってからも私達は中々式は挙げられなかった。


 そんな時よ。

 側室腹の第一王子だったダニエル様が魔王を退治されて凱旋されたのよ。

 帝国の皇太子殿下と協力して魔王を倒されたとのことで、国民は熱狂してダニエル様を迎え入れたわ。


 ダニエル様は平民の剣聖と聖女を連れて帰還されたの。


 所詮平民だったけれど、二人は国民には熱狂的に迎えられたわ。

 皆魔物達との戦いに飽きていたから、魔王を倒すのに協力してくれた二人にも優しかったのよ。

 王族だったダニエル様はその二人を上手く使われて魔王を退治されたのだと思うわ。


 そんな国民がほっとした中、私の婚約者の王太子と第一王子のダニエル様が王位を巡って争い出されたのよ。

 私は呆然としたわ。私の地位を守るために、必死に王太子殿下に協力したのよ。

 夜会を開き、仲の良い貴族令嬢達に王太子殿下の優秀さを必死にアピールしたのよ。

 でも、魔王を倒したダニエル様の人気は強かったわ。


 国王陛下が倒れられて、二人の争いがますます激しくなったときに、ダニエル様がお忍びで我が家にいらっしゃったの。

 ダニエル様はダニエル様が王になるのを我が家が応援したら、私を王妃にして頂けると約束して頂けたのよ。


 私はやさしい王太子殿下が好きだったけれど、お父様はダニエル様に付くことにされたわ。


 何しろダニエル様は魔王を倒された英雄だったのだから、圧倒的にダニエル様の方が有利な情勢に変わっていたのよ。

 私は泣く泣く王太子殿下を諦めたわ。


 そんな中、突然王太子殿下が亡くなられて、ダニエル様が王太子の地位に就かれたの。


 お父様やダニエル様が何か手を打たれたのだと思うわ。


 私は驚いたけれど、私が王妃になるのだから、そのためには多少のことは目を瞑らないといけないと思ったのよ。


 私はダニエル様に嫁ぐ事になったわ。



 でも、蓋を開けてびっくりしたわ。


 ダニエル様は聖女のアンヌと結婚したのよ。


 私もお父様も開いた口が塞がらなかったわ。


 これは明確な契約違反よ。


 私は絶対に平民聖女を許さないと心に決めたのよ。


 許せないと息巻いた私に

「ベアトリス、申し訳ない。でも、まだ、王太子一派が色々暗躍しているのだ。王太子派の暗躍を抑えて俺の地位を盤石にするには聖女を王妃にしなければいけないんだよ。いずれ、情勢が安定すればお前を王妃にするから、俺が愛しているのはベアトリス。君だけだよ」

 とダニエル様から説明されて、私は泣く泣く側妃になることに決まったのよ。


 ダニエル様は聖女は形だけの王妃だから、私を大切にしてくれるとおっしゃって頂いていたのに、あろうことか聖女はダニエル様を独り占めにしてくれたのよ。


 来る日も来る日もダニエル様は聖女の部屋に通われたわ。


 私は捨て置かれたの。

 私は許せなかったわ。



 その上になんとアンヌは妊娠してくれたのよ。


 本来私が王妃だったのに横から出て来て王妃の座を横取りしてくれて、挙げ句の果てに子供まで身ごもったなんて私には許せなかったわ。


 何回か、アンヌを毒殺しようとしたけれど、中々上手くいかなかった。

 仕方がないから私は産後の衰弱したアンヌを薬で正気を失わせた騎士に襲わせたのよ。


 その場に旅に出ていた剣聖が帰ってきて犯人を取り押さえてくれたけれど、聖女は助からなかったわ。

 私はざまあ見たことかと清々したのよ。


 私からダニエル様と正妃の座を奪っておいて挙げ句の果てに子供まで産むなんて許されることではないわ。

 幸いなことに生まれたのは女だったので、ほっておいたのよ。


 守役に何故かその剣聖が付いていたけれど、元々剣聖はアンヌのことが好きだったはずなのに……


 侍女達によるとそのアンヌをダニエルが無理矢理自分の者にしたそうよ。

 愛する女と恋敵から生まれたその娘を守るって言う剣聖の考えが私には判らなかったわ。

 剣聖は被虐趣味でもあるのかしら?


 まあ、これで邪魔なアンヌもいなくなったし、私は正妃になってダニエル様の愛を取り戻したのよ。

 その後に娘と息子が生まれて私はほっとしたわ。

 

 アンヌの娘は出来たらさっさと追放したかったけれど、何故か帝国の第一王子との婚約がさっさと決まってしまったのよ。

 アンヌの分までいびり倒してやろうと思ったのに、何故か、我が家が首にした偉そうな礼儀作法のマイヤーがその小娘に付いていたのよ。マイヤーに虐められていい気味だと思ったんだけど、マイヤーは何かと私がいびろうとすると邪魔してくれたのよ。それと平民の剣聖が組んでがっちりとその小娘の周りを固めていて、私はあまり虐められなかったわ。

 本当にむかついたわ!


 でも、その小娘が帝国に留学をするのを機にマイヤーをその娘から引っこ抜こうと思ったのよ。私の娘のシャルロッテに付けるのも良いかもと思ったんだけど、マイヤーはそれを断って親元に帰って行ったのよ。まあ、小娘からマイヤーを離れさせるのに成功したから良しとすべし何だろうけれど、少し思うところがあったわ。


 もう一人の邪魔な剣聖も年いってきて、そろそろ引退させた方が良いのではないかとダニエルに伝えたのよ。

 ダニエルも剣聖を煙たく思っていたみたいで、私達は意見が合ったわ。


 私は年老いて力の弱まってきた剣聖にこの国随一の剣の持ち主のカスパルを焚きつけて勝負させたのよ。

 さすがカスパル、剣聖をボコボコにしてくれたわ。

 これで剣聖を首に出来ると私はほくそ笑んだの。


 でも、そんな中でも剣聖はどんな卑怯な手を使ったのか、カスパルに勝ってしまったのよ。

 私は狐につままれた気分だったわ。

 さすが年老いても平民、根性が腐りきっているわ!

 

 その上、その娘に剣聖が帝国にまでついていくというじゃない。

 そんなことさせたらアンヌの娘を帝国に行く途中で襲わせて娼館に叩き売るなんて事が出来なくなるわ。

 私はなんとか剣聖を止めさせようとしけれど、年寄りでもう使い物にならなかった剣聖が何故か強くなっているんだけど……何で?


 還暦迎えた爺に負けるなんて騎士団の連中も本当にどうしようもないわ。


 仕方がない。こうなれば破落戸共に襲わせようとしていたけれど、それだけでは心許ないわ。

 私がどうしようかと悩んでいたのだけれど、ダニエルも剣聖に思うところがあったみたいで暗部に剣聖を襲わせようと指図したのよ。

 私はその暗部を個別に呼んでアンヌの娘も一緒に襲わせて、娼館に叩き売ることにしたわ。


 これであの生意気なアンヌの娘も終わりよ。


 男どもに襲われてせいぜい泣き叫べば良いわ。

 私はそれを想像して高笑いしたのよ。

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