28.巨大な魔物に火炎で攻撃されました
「ええええ!」
水晶を光らせたアンジェは出来たことが信じられないみたいで呆然としていた。
「やったわ!」
「凄いじゃない!」
「さすがアンジェ!」
イレーネ達が飛び上がらんばかりに喜んでいる。
「凄いじやないか、姫様!」
俺が喜んでアンジェに駆けよると、
「出来たのよね?」
信じられない顔でアンジェが私を見た。
「ああ、出来ていました」
「そうよね。出来たんだ」
アンジェがやっと頷いた。
「やったじゃない!」
「アンジェ、凄いわ!」
イレーネやヒルデがアンジェに抱き付いた。
「やったね!」
アンジェも抱き返していた。
「おいおい、悪役令嬢が聖魔術使ったぞ」
「どうなっているんだ?」
周りで2時間の強制休憩中の面々が目を見開いてアンジェを見る。
「嘘! なんで悪役令嬢が聖魔術を使えるの? あり得ないわ……」
ミーナが呆然としてブツブツ呟いていた。
「ようし、次に行くぞ!」
「「「おう!」」」
俺達は呆然として立ち尽くしていたミーナを無視して、最後の舞台の大温室に向かった。
大温室は学園の中央にドンと聳え立っていた。
世界各地からいろんな植物が集められていて、その種類は帝国一だとか。
ガラス状のそれは巨大な建物になっていた。
今日はこのオリエンテーションのために障壁で強化されたりして大改造されたんだとか。
貴重なに植物の生育されている中でオリエンテーションなんてやって良いのか?
と思わないでもなかったが……
「いいか、お前ら。まずこの兜をかぶれ」
一年C組の担任で騎士でもあるディヒラー先生が俺達を見て鎧の着方を説明してくれた。
先生が被った途端全身が鎧に覆われる。
「おお、すげー」
ニコが声を上げていた。
兜が魔道具になっているみたいだった。
こんな魔道具は俺も初めてみた。
早速俺も被る。
俺も全身があっという間に鎧に覆われた。
「凄いわ!」
ヒルデ達が感動していた。
「この鎧で一定のダメージを受けたらそこでその者は動けなくなる。その者はそこでアウトだ。この地図にある最終地点まで何名がたどり着けるか、それとタイムが勝負だ。一名ダウンする度に1時間加算される。ここまで判ったか?」
ディヒラー先生が俺達を見渡した。
「途中ではぐれたらどうなるんですか?」
イレーネが質問してした。
「基本は全員が一緒に行動するんだぞ。ただ、チームの最初の一人がゴールした段階で一緒にいなかった 人間はダウンしたものとして扱われる」
「判りました」
「全員で行動は基本だな」
俺は頷いた。
「この大温室には今10体の魔物とお前らを邪魔する鎧に身を固めた上級生達が中にいる。上級生達は一定のダメージを受けたら動けなくなる。中では魔術も剣術も何を使っても良い。この地図にあるゴールに到着すればそこでこのオリエンテーションは終わりだ。何かあったら周りに待機している先生達が対処してくれるからな。そこは気にしなくて良い」
先生は俺達を見た。
「まあ、君たちは剣聖様と一緒だから問題はないと思うが、頑張って下さいね。剣聖様」
ディヒラーが俺を笑ってみてくれた。でも、その目は笑っていなかった。
「先生、俺は一生徒ですから」
俺がディヒラーに一言言うと、
「まさか、まだ剣聖様が現役でおられるとは信じられませんな」
ディヒラーは呆れて言い出した。
「しかし、今日は苦戦されると思いますよ」
ディヒラーの目がギラリと光ったような気がした。
何があるんだ?
俺は聞きたがったが、
「ではスタート」
先生が合図してくれたので聞けなかった。
俺達はそのまま扉をくぐる。
さすが温室内は四月とはいえむっとした。
中は熱帯雨林のような感じで木がうっそうと茂っていた。
その上、中は霧で覆われていて先はほとんど見えなかった。
「いかにも魔物が出そうね」
イレーネがぽつりと言ってくれた。
「気をつけろよ!」
何故か俺が先頭に立たされたんだが……
まあ、慣れているから良いが……その後ろにアンジェが、アンジェの右横にニコが反対側がヒルデ、一番殿がイレーネだ。
「貴方たち、判っているわよね。ここまで私が脳筋の貴方たちをカバーしてあげたんだから、ここからは貴方たちが私を守るのよ」
イレーネが主張してくた。
「カバーしたって編み物の時だけじゃない。計算はラフィー様が聖魔術はアンジェがやってくれたんだから」
ヒルデが反論するが
「何言っているのよ。編み物は私が役立ったでしょ。ヒルデとニコはほとんど役に立っていないんだからこんな時こそ、役立ちなさいよ」
「しっ!」
俺はイレーネの言葉をぶったぎった。
この先に何か良からぬ気配を感じた。
何かがいる。
それも大きそうだ。
「アンジェ、風でこの霧を飛ばせないか?」
「ええええ! 風魔術はあまり得意じゃないんだけど……ウィンドウ!」
文句を言いながらアンジェが風魔術を発動させた。
軽く風が吹いて、少し、霧が弱くなる。
その先に俺は赤い大きな二つの目を見つけた。
そのシルエットが結構デカイ。
「えっ、これって?」
「全員伏せろ!」
俺は目の下の部分が赤くなったのを見て、振り向きざま後ろの三人を押し倒した。
「えっ?」
イレーネだけが残ってしまった。
やばい!
でも、もうどうしようもなかった。
ボーーーーー
次の瞬間火柱が一直線に俺達の頭上を走ったのだ。




