目標とは
「グーラームーちゃん」
後ろからすごい勢いのタックルがきた、今生の母のイザベラだ。
男兄弟3人を一手に引き受けて育てる強き母。子煩悩で息子には甘いが悪戯がバレると、こんこんと泣きそうな顔で説教される。
意識が戻る前、6歳だったグラム君には怒こられたことより、お母さんが泣きそうだったのが刺さったようで、盗み食いの癖はなくなった。
その母に、抱きつかれて抱き上げられてしまった。実際豊満。
「聞こえたわよ! グラムちゃんは冒険者になりたいのね?ママ応援しちゃう! でも怪我しちゃ嫌よ?」
「わ、わかったから放してよ。」
すごい勢いでしゃべるし、かなり強引な人だが何故かこちらから強くは出れないのである。
母は強しと言うことか。
「でも、これからどうしていきたいの? 冒険者になるにしても色んな役職があるわよ?」
「魔法使いになりたいんだ。それも召喚魔法使いに!」
「まぁ、良いわね! 可愛い子と契約出来たら撫でさせてね?」
「ははは、それでは魔法の勉強もしないとな」
やはり父さんも母さんも子煩悩だ。こんなに簡単に許可が降りるとは思わなかった。
『話は聞かせてもらった!』
「ならば、体力作りには!」
「俺達が協力しよう!」
話し声に釣られて2人の兄たちが来たようであった。
レジナードとレイモンドの二人の兄達である。
「もっと兄貴を頼れよ、グラム」
「そうだぞ、グラム」
2人ともついこの間までべったりだったグラム(幼児)が急に離れて寂しいと真顔で言ってくる正直過ぎる兄達だ。
それは転生者とわかった後も変わらず、幼い弟として扱おうとするので、リアクションに困る。
ちなみに下積みとして、商会で雇っているおっさん連中と一緒に、荷運びの仕事をやっていたので、瓜二つのゴツいラガーマンみたいな見た目である。
なんと言うか、新しい我が家族は僕に甘すぎる気がする。とても幸せだがむず痒い。
そこからの2年間はせわしなく過ぎていった。
朝方に街の中を二人の兄たちと走り、今までの読み書きのほかに、魔法の基礎と魔力の感じ方と動かし方を学んでいった。
正直、四則計算くらいならすぐに出来るが、商会の会計業務は計算機がないと辛いものだった。それでも、転生者という下地があるので、大分楽になっていたらしい。
魔法の方は、まだ魔法として発現させられる体にはなっていないようで、その基礎訓練を積み上げる2年間であった。
そして、10歳の春に、僕は街の教会にいた。
2年でもちプルだった俺の体は贅肉が落ちうっすらと筋肉が盛られた体になっていた。
あまりにムキムキだと背が伸びなくなると前世の何処かで聞いた気がしたので足とスタミナを中心に鍛えてきた。
そのお陰か10歳にしては恵まれた体格だと思う、付き合ってくれた兄に感謝しよう。
正直に言えば、せっかく剣と魔法の世界に来たんだから、木剣で素振りなんかをやりたかったが、スキル関係の理由で断念した。
話を戻そう。
今日は大事なスキル選定の日である。
目の前に見える教会で、慈愛の女神様の加護を受ければスキルが使えるようになる。
これは知性を持つ者に等しく与えられた祝福であり、最低でも3つのスキルが与えられるらしい。
また加護を受ければ努力によって、自力でスキルを習得することも出来るようになる。
剣術や槌術が代表格となるが、これが木剣を振るえなかった理由だ。
剣術を鍛えて、加護のスキルが剣術になると、他の取得しづらいスキルの枠を潰してしまうからだ。




