11「神々の斗い」その1
※前回のあらすじ
中央都市に戻った俺だが、プリス達はすれ違いで魔王国へ発った後だった。
俺達も魔王国へ向かうべく、全員の冒険者登録を済ませ、エメスの左腕と両眼を復元、修理。
だが、着いた魔王国では神様の宣言で厳戒態勢が敷かれており、何と俺は指名手配になっていた。
プリス達は神様と一緒に『神々の住まう場所』に飛んだらしい。スレイが見付けた魔法陣で俺達も後を追う。
『神々の住まう場所』でプリス達4人に再会出来たものの、様子がおかしい。
プリス達は俺達に攻撃をして来るという信じられない展開に!!こんなコトがアルマイト洗面器!?(死語)
「よそ見はいけませんよ、ケインさん。」
う、俺の相手はプリスたんかよ!?冗談じゃ無いぞ!!
―と、プリスたんと俺の間にスレイが割って入る。馬鹿!危ないだろ!お前、武器も魔法も使えないのに!!
「―何ですか、ケインさん。そのおっぱいの無駄に大きい子は?
私のいないトコロでそんな子を拾っては、昼夜問わずイチャイチャしてたのですか?
もしかして、私よりもそういう子がお好みなのですね。そうですか。そうでしたか。」
「誤解だーーーーーっ!!」(泣)
俺、もうマジ泣きしそうですよ!!
「♥ケイン様ぁー、この子ってぇ、こんなにスレてましたかぁー?」
「え?そ、そんなワケ無いだろ!!プリスはとても優しくて賢くて、こんな真似をする様な…、」
そこまで自分で言ってハッとした。
そうだよ、いつものプリスならこんな言動したか!?いや、間違ってもしない!!
パトルも、デヴィルラも、マーシャだってそうだ。こんなに話の通じない子じゃ無い!!
―まさか、偽物!?でもその確証が無い。
くっそ、ニセモノだったら目に黒いフチ取りとか、黄色い手袋・ブーツとか、彩度が一段落ちてるとか、
そういう分かりやすいモノにしてくれりゃ良いのに…!!
【対処A:倒す】
もし催眠で操られてたり、誰かに身体を乗っ取られていたりした場合、取り返しが付かない。却下。
【対処B:抱きしめる】
愛の力で目を覚まさせるパターン。だが純然たるニセモノだった場合、俺がブスリと刺されてBAD ENDだ。却下。
【対処C:本物だけが知っている話をする】
―コレかな。身体が乗っ取られていても、化けていても、この方法なら本物か偽物かハッキリする。
俺はプリスに向かって話す。
「プリス!君は本当に俺の知ってるプリスなのか?」
「私を疑うのですか?ケインさん。」
「あくまで確認だ。もし本物のプリスなら、俺があげた5円玉を大切に持っているハズだ!!」
これは俺のヒッカケだ。
本物のプリスが大切に持っているのは100円玉だからな。
これで『はい、持ってますよ』とか言って、5円玉を出せばニセモノ決定だ。
「―何を言ってるのですか?ケインさん。」
「え?」
「ケインさんが私に下さったのは…、100円玉じゃありませんか。」
目の前のプリスはそう言ってポケットから100円玉を出す。
それに刻まれた年号は『昭和53年』。間違いなく俺が渡した100円玉だ…!!
―じゃあ、ここにいるのは本物のプリス!?
「こんな大切なコトまでお忘れですか?―さては貴方、ケインさんのニセモノですね?」
うぉおおい!!俺の方にニセモノ容疑が掛かっちゃったよ!?
どんどん話がややこしくなって来たぞ…!!
―そこへスレイが俺の服の袖を引っ張って言う。
「♥ケイン様ぁー!今こそ、ケイン様の持ってる『玉』を出す時ですぅー!」
「は!?またお前は、こんな状況で放送禁止になる様なセリフを…!!」
「♥違いますぅー!魔眼ですよぉー!」
―そうか!魔眼で『本物のプリス達』を探せば良いんだ!!
魔眼が飛んで行って、ここにいるプリスの頭上に輝けば、本当の本物。そうじゃなかったら…、そういうコトだ。
「真偽が判るまで動かないで下さい!!」
プリスは魔法を撃とうとする。が、そこへスレイがタックル!!
「♥許してクリンチー!!」
「はっ、離して下さい!!うぅう~~~~…は・な・せ!!」
「♥ケイン様ぁー!今のウチですぅー!」
GJだスレイ!!
プリスは腕力は普通の女の子。対人で使える攻撃魔法も風魔法だけ。羽交い締めは最善の策だ!!
俺は魔眼を取り出し、本物のプリス達に会わせてくれと念じる。
魔眼は浮かび上がり…、反対方向へ飛んで行った!!
「やっぱりニセモノだったか!!」
「♥ここはスレイに任せて先に行ってくださぁーい!」
「それ、フラグだぞ!!…頼んだ!!」
俺は魔眼の飛んで行った方角へ走る。
見れば、いつの間にかアスミス達が劣勢になっていた。
パトルは武器を槍に持ち替え、左腕の小手に剣を差し込み固定している。
あらゆる状況下で、敵に対して最も相性の良い武器で戦える。それが最強装備シリーズの長所だ。
「おりゃおりゃおりゃおりゃーーーっす!!」
「くっ…!凌ぎ切れないのです!!これが最強装備シリーズ…!!」
アスミスの持つハンマーでは、刺突武器の素早い攻撃を防ぐだけで手一杯だ。
ワイズィもデヴィルラに押されている。
「認めよう。お主の魔法知識とその技術は。最上級魔法を融合魔法の連発で抑られるとは、初めての経験じゃ。」
「それは…お褒めに預かり…光栄ね…。」
「じゃが、結局は魔力の大きさと絶対量がモノを言う。お主にはもう魔力が残ってはいまい。そうじゃな?」
「クッ…!」
ワイズィが肩で息をしている。デヴィルラの無尽蔵な魔力量を前に、為す術が無くなっているのか。
―そして、
ガッッシャアアーーーン!!
エメスまでもがマーシャの攻撃に地に伏す。
「…急所を外して防御しても、ダメージはダメージ。」
「戦闘…継続…可能…、」
「…アキラメロン。」
どんなに防御に徹しても、10発、100発、1000発と食らい続ければダメージは蓄積する。
しかもマーシャはそれを一瞬で叩き込む。回復のヒマさえ無い。
ヤバイ。アスミス達もポテンシャルは決して低いワケじゃ無い。
だけどパトル達と比べると、圧倒的に『戦い慣れ』という意味での経験値が違う。
モタモタしていられない!!
俺の走る先に輝いている魔眼。
そこにはタンス程の大きさの白い塊…。繭か?これ。
俺が繭のトコロに到着すると、上空にあった魔眼は役目を終えて、地面に落ちて崩れ去った。
―この繭の中に本物のプリス達が!?
ナイフで切り開こうとしたが、刃が全然通らない。
繭1本1本の糸は細くて柔らかいのに、繭全体は鋼鉄製のシェルターみたいに硬い。
こうなれば魔剣の出番だ。
カッコ良く一刀両断!…は、中のプリス達まで切っちゃいそうだから(汗)、短く持って慎重に端から切って行く。
こんな時に何だが、アニメとかで刀を一振りしたら、対象の相手は無傷で、
ソイツの着ている服だけが背中側まで斬れてるのってどういう理屈なんだろうな、アレ。
かなり繭は分厚いが、魔剣の前では豆腐も同然。
綺麗に2つに切り裂かれる。
―中には、プリス、パトル、デヴィルラ、マーシャが寄り添ってかたまり、気を失っていた。
「おい!みんな!大丈夫か!?」
「う…ん…?」
俺はプリス達を揺すったり、頬を軽く叩いたりする。
徐々に目を覚ます4人。
「プリス!しっかりしろ!」
「あ……、ケイン…さん?……ケインさん!?ケインさん!!」
意識を取り戻した瞬間、プリスは俺の胸に飛び込んで来る。
そして次々に、
「ボスぅううううーーー!!」
「主ー!!会いたかったー!!」
「…マぬター!!…かみまみた…。」
パトル、デヴィルラ、マーシャも泣きながら抱き付いて来る。
俺はみんなの頭を撫でる。うん、無事で良かった。
プリスたんは、俺の胸にスリスリしていたが、ハッとなって立ち上がる。そして三歩下がって、
「ケインさん、お帰りなさい。」
―と、礼儀正しく頭を下げる。それを見て気付いたみんなも立ち上がって、
「おかえりなさいっす!ボス!!」
「少し回り道をしたが、こうして再会叶って余は幸せじゃ。」
「…アナザーなら死んでいた。」
みんな変わり無さそうだな。(苦笑)
―そうだ、こうしちゃいられない!ニセモノ達を何とかしないと!!
と思ったら、向こうからアスミス、エメス、ワイズィ、スレイが走って来た。
あれ?ニセモノと戦闘中じゃなかったのか?倒せたのか?
「みんな、どうした!?あのニセモノは!?」
「そ、それが、突然消えたのです。」
「消えた!?」
「アタシ達の方が劣勢だったのに、まるで霧の様に掻き消えたわ。」
「追跡モ、不可能でしタ。」
「♥それで取り敢えず、ケイン様と合流しに来たワケですぅー。」
―わけがわからないよ。
「それでケイン殿、後ろにおられるのが本物の…、」
「ん?あぁ、そうだ。ニセモノのお陰で変な出会いになっちゃったけど、この子達が、」
俺がそこまで言うと、プリスは一歩前に出て会釈。そして駆け付けた4人を見て言う。
「アスミスさん、エメスさん、ワイズィさん。そして、スレイさん、ですね。」
「え!?何で知ってるんだ!?」
本物のプリス達は、今さっきまで繭の中に閉じ込められていただろ!?
アスミス達を知っているワケが無い。
「それがっすねー、オイラたち、わかってたっすよ。」
「ここでのやりとり全てがな。見えておったし、聞こえてもいた。」
「…でも、動けなかった。マスター達と戦いたくなかったのに。」
「はい。そこにいるのは自分だけど、自分じゃ無い。そんな例え様も無いカンジでした。」
つまり、意識はずっとリンクしていたのか。一方通行だけど。
で、本物のプリス達が覚醒したから、ニセモノが消えた…ってコトか?
―と、8人の幼女は誰ともなく突然、熱血スポーツアニメの様に円陣になり手を重ね合う。
「アスミスさん達のケインさんを慕う気持ち、それも伝わって来ていました。」
「みんな、オイラたちにまけないくらい、ボスがすきなんすねー!!」
「立場が逆ならば、我々も同様にして主を守ったであろう。感服した。」
「…全員、マスターのコトが大好きなフレンズなんだね。」
「はいです!ニセモノが消えた時、私達にも自然と分かったのです!」
「皆様ノ、オーナーへの愛ガ、痛い程に伝わって来ましタ。」
「そうね。ライバルよりも仲間、いえ、同志なんだって感覚で通じたわ。」
「♥身も心も分かり合えて嬉しいですねぇー。」
うん、やっぱりスレイが言うと別の意味に聞こえる…。
全員の意志が自然に疎通し合ってる。8人の幼女は今日会ったばかりなのに、まるで竹馬の友の様だ。
特撮モノで『新旧2大戦隊が手を組んだ!』みたいな盛り上がりを見せている。
『―そういう事か。』
突然、野太い声が空間全体かに響く。
そして俺達の眼前に眩い光柱が伸びたかと思うと、そこから神様が現れた。
いつもの様に、全裸幼女で足元まである虹色の長い髪。
だけど、何か雰囲気が違う…?
『貴様がずっと手を貸していたのだな。』
野太い声は神様からだった。いつもの鈴を転がす様な綺麗で澄んだ声じゃ無い。
―『貴様』って、誰の事だ?
「♥―君の様な勘の良い神は嫌いですぅー。」
スレイがずいっと前に歩み出て、神様と対峙する。
え!?どういうコト!?
『我に全権を奪われた以上、大人しくしていた方が身のためだ。』
「♥かもですねぇー。…だが断る!!」
おい、ちょっと、まさか、それって…、
「―スレイ、お前、もしかして…、神…様?」
「♥あんだって?」
「お前は神様なのか!?」
「♥トンデモねぇ。あたしゃ神様だよー。」
そう言ってスレイは至って呑気に、いつもの様なボケた応答をするのだった。
マジか…。




