10「幼女×幼女×幼女×幼女×幼女×幼女×幼女×幼女」その3
『神々の住まう場所』だ!!あそこなら神様が許した者以外、誰も入れない!!
いや、こうなると、それよりも前に問題がある。
「『神々の住まう場所』の手前には『迷いの森』があるわね。そこにはエルフの強力な幻惑魔法が掛けられていて、
エルフの道案内無しには通り抜けるコトは不可能よ。」
「そんな…!エルフなんて見たコト無いのです!」
『迷いの森』からこっち側にいたエルフは、魔導都市にいた所長と、俺のパーティーのマーシャだけだ。
所長は魔導巨人との戦いで消えてしまったし、マーシャは神様と一緒に向こう側だ。
この広い世界、もしかしたら、まだどこかにエルフがいるのかもしれないが、今は文字通り雲をつかむ様な話だ。
「つまり、もう手も足も出せない…ってコトなのか!?」
諦めたくない。いつもみたいに最後まで悪あがきしてやりたい。だけど全てのルートが詰んでいる。
最後まで悪あがきした結果がこれなのか?ここが『最後』なのか!?
「♥ケイン様ぁー!」
ん?スレイの声だ。
「随分と遅かったな。」
「だからケイン殿、デリカシーが無いのです…。」
「♥不思議なモノがありましたぁー!来てくださぁーい!」
「?」
俺の腕を引っ張るスレイ。
いや、今はそんな場合じゃ無いんだよ。どうにかして『神々の住まう場所』に行ける方法を探さないといけないんだ。
悪いけど、お前の遊びに付き合ってるヒマは…、
「ダーリン、行ってみましょうよ。」
「え?」
ワイズィが真面目な顔で俺を見る。
「今までスレイのやるコト成すコト、結局は何か良い方向に転がって来たじゃない。
そのスレイが見て欲しいって言うなら、一見の価値があると思うわ。」
「ケイン殿、私もそう思うです。見るだけならプライスレスなのです。」
―あぁ、意固地になっていたか…。いつの間にか。
俺はプリス達を追いたい一心ばかりで、今ココにいる、今ココまで俺に付き合ってくれている
アスミス、エメス、スレイ、ワイズィ、みんなのコトを考えていなかった。
何がロリ・カイザーだよ。いい気になってんじゃ無いぞ俺。
幼女全てを大切にしてこその、正義のロリコンじゃないか。
「分かった、行こう。ゴメンな、スレイ。案内頼む。」
「♥ラジャラジャ!」
「うん、その応答は凄く量産ポンコツ機っぽいからヤメようか。」
森の中。向こうでエメスが手を振っている。
あそこがスレイの言ってた『不思議なモノ』の地点か。
俺達は小走りでエメスに合流する。
「―え?これ、魔法陣なのです!?」
そこにあったのは、地面に描かれた虹色に光る魔法陣。
「―この魔方陣、見たコトあるぞ…。」
「本当?」
「あぁ。以前『神々の住まう場所』まで行って神様に会って、そこから魔王国まで飛ばせてもらったんだ。
その時に足元に出たヤツにそっくりだ。」
「信じられない様な単語がポンポン出て来て、正直困惑するのです…が、ケイン殿ならばあり得るのです。」
「♥ケイン様ぁー!コレに乗れば『神々の住まう場所』まで飛べるんじゃないですかぁー?」
そういうコトになるのか!?逆方向でも大丈夫なのか?つーか、本当にこの魔方陣は神様製なのか?
気軽に乗って、もしもとんでもない場所に飛ばされたらどーすんだよ…?
「オーナー、畏れながラ、ここは試してみるべきかと思いまス。」
「エメス?」
「お話を聞いたトコロ、このままこうして居てモ、『神々の住まう場所』に行ける手段はありませン。
ならバ、この魔方陣に乗って行ける可能性に賭けるべきでス。今、私達に失うモノは無いかト。」
俺の心にエメスの言葉がストンと落ちて来る。
ワイズィがエメスを小突く。
「良いコト言うじゃない、アンタ。」
「恐れ入りまス。」
「ね、ダーリン。ここはスレイの運に賭けましょう。」
「激しく同意なのです。」
「♥ケイン様ぁー!退かぬ!媚びぬ!省みぬ!ですよぉー!」
「俺はどこの覇王だよ!―よし、いっちょ行ってみるか!!」
エメスの言った通り、これで駄目でも当たり前。行けたらラッキー。その位の考えで良いんだ。
俺達に失うモノは無い!!
俺達が魔法陣に乗ると地面は眩く輝き、自分の身体の中身が外にスライドして飛び出るような感覚がする。
以前飛ばしてもらった時も、この妙な感触だった。
それはすぐに収まるが、何とも言えない感覚に目をしばつかせ頭を振る。
―そして、次に俺達の視界に入って来たのは…
虹色のモヤというか雲が空を漂い、果てない白い空間が続く。
間違い無い。『神々の住まう場所』だ。本当にここまで来れたのか…。
「―ここがそうなのです?」
「あぁ、そうだ。」
「歴代の賢者でも、ここに来れた人は少ないって聞いたわ…。こんな状況じゃなければ喜びたいトコロだけど。」
「―後方、4人いまス。」
エメスの声に、俺達は振り向く。
―と、そこにいたのは……4人の幼女。
「ケインさん、お待ちしていました。」
「ボス、おそかったっすねー。」
「主よ、息災のようじゃな。」
「…マスター、ここで会ったが百年目。」
プリス!パトル!デヴィルラ!マーシャ!みんな無事だったか!!
いやぁ、良かった良かった!!
俺は嬉しくなって思わず駆け寄る。
―次の瞬間、4人が全員攻撃の構えを取った。 俺に対して。
…え?何?TVのドッキリ?
俺の驚きをよそに、プリス達は険しい表情を俺に向ける。
「ケインさん、後ろの幼女は何ですか?」
「ボス、また、ようじょふやしたっすかー?」
「少し目を離すとコレじゃ。主は節操無いのう。」
「…マスターどいて。そいつら殺せない。」
ちょっ…、待て!待て待て待て!(汗)
確かに、離れ離れになって、やっとの思いで再会したら、いきなり見知らぬ幼女を4人も連れていた。
『まさに外道!』そう思われるのも仕方が無い!!
でも、これには色々あったんだ!!聞いてくれ!弁解の機会を被告に与えてくれ!!
アスミス達も慌てて俺の弁護人になってくれる。
「落ち着いて欲しいのです!私達はケイン殿の味方なのです!」
「きやすくボスにちかよるなっす!!」
パトルはまるで聞く耳を持とうとしない。
「姫!一体、魔王国で何があったのよ!?」
「うぬらには関係無いコトじゃ。そこを退け。」
デヴィルラは手に魔力を溜めていて、一触即発の雰囲気だ。
「オーナーのお言葉を聞いて下さイ。」
「…誰だよテメーは。いきなり現れて好き勝手言ってんじゃねーぞ。」
マーシャも一分の隙も無い本気の構えだ。
「―随分と『新しい皆さん』と仲がよろしいみたいですね?ケインさん?」
ヒエッ!プリスたんの微笑が怖い!!
俺は悪くないんだけど、思わず反射的に正座&土下座しちゃいそうだ。(汗)
「構いません!パトル!デヴィルラ!マーシャ!攻撃です!!」
「わかったっすよー!!」
「そう来なくてはのう!!」
「…戦が始まる。」
おい、待て!みんな待ってくれ!!
ついに、俺の一番見たくない光景…、幼女同士の戦いが開始されてしまった!!
「てりゃあああーーーーっす!!」
パトルの斧が振り下ろされる!!
ガキィイイイイッッッ!!!
「―!?オイラのこーげきがきかないっすか!?」
「ち…、力なら負けないのです!!」
アスミスのハンマーが斧の威力を受け止める!!技術系と言えど、地力で勝るドワーフ。
パトルとアスミスのパワーは互角か!?
「さ、最強装備シリーズは、私が超えるべき目標です!!相手にとって不足は無いのです!!」
「うわぁあああーーーっ!!」
ズズゥウウウウウーーーーーーン!!!
そのままハンマーで斧を引っ掛け、力任せにパトルを武器ごと一本背負いするアスミス!!
パトルが『神々の住まう場所』の白い大地に叩き付けられ、破片を舞い上げめり込む!!
向こうではデヴィルラとワイズィの魔法対決…!!
「余の上級魔法に適うと思うてか?」
「やってみなけりゃ判らないかもよ?姫様。」
「笑止。」
デヴィルラの火炎魔法が放たれる!!だが、ワイズィは一歩も引かない!!
ドゴォオオオオオッッッッ!!!
「―馬鹿な!?中級魔法で余の上級魔法を防ぐ…だと!?」
「どう?これが私だけの『融合魔法』よ!!」
左右の手の中級魔法を融合したワイズィの一撃は、デヴィルラの上級魔法を見事に相殺した!
改めて、賢者の末裔のポテンシャルは凄いと思い知らされる。
「さて、流石の姫様でも、コレは出来ないでしょ?」
そう言ってワイズィは氷と雷の魔法を左右同時に出し、融合して放つ!!
「こっ…これはっ!?」
バリバリバリバリィイイーーーッッッ!!!
雷を纏った氷弾がデヴィルラを襲う!!複数の属性を持った融合魔法。
普通の単独属性の魔法では、決して相殺出来ない!!
さらに奥ではマーシャとエメスが激しい格闘戦!!
ガガガガガガガガガガッッッッ!!!
「…お前に足りないモノは、格闘・露出度・ツッコミ・ボケ・エルフっぽさ・可愛さ・マスターへの愛、
そしてなによりも…速さが足りない。」
「照準ニ、捉えられなイ…!?」
まずい!マーシャの超人的なスピードは、戦闘用ゴーレムのエメスでも捕捉出来ないのか!?
マーシャが矢の様な勢いで突っ込んで来る!!
バシィイイイッッッ!!!
「…!? マーシャの拳が止められた…!?」
「格闘家なラ、必ず懐に入って来ると判っていましタ。」
「…予想の斜め上。」
そうか!達人であるが故に、マーシャは確実に急所を狙う!
エメスはそこを中心に防御に徹して、マーシャが飛び込んで来るのを待っていたのか!!
ドゴォオオーーーーン!!
エメスの魔導砲がゼロ距離でマーシャに当たる!!
―だが、空中でムーンサルトを切ると、マーシャは膝を付くも無事に着地する。
「直撃の瞬間ニ、自ら飛んで威力を殺しタ…?お見事でス。」
「…これは、笹食ってる場合じゃ無い。」
口元を拭い、構え直すマーシャ。
入り乱れる8人の幼女。早くこの騒ぎを収めないと…。




