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砂の海

「いい加減にしろ!猿娘!」

「誰が猿娘だ!」

「キーキーキーキーいっつも言ってるだろうが」

「誰のせいだと思ってやがる!」

「自分のせいだろ、まったくこれだから、」

「レッカ、お前からもなんか言ってくれ」

「少年、その小娘の味方をするつもりか」

閻家のアジトを出てから5日、夜明けの周囲の捜索から戻ってきたレッカは、またかと呆れ顔で、二人を見つめ、理由を尋ねる。

「猿娘が、私の寝床を奪おうとしたから戒めているだけだ。」

「寝床?」

「決まっているだろ、君の右側は私の指定席だ。それを今日も起きたら間に入って」

「は?当たり前だろ!私はレッカと妻だぞ、右側は私に決まっているだろ。」

先日から3人で旅をしているが日に日に二人の仲は悪くなっていく。

その原因のほとんどが自分にあるためレッカはあまり強く干渉できない。そもそも何をそんなに争っているのか分からない為どうでもいいと答えると火に油を注ぐ結果となった。

双葉は、レッカは自分が命を助けた自分の所有物。

恋歌は、先日のレッカの家族の代わりになるよという言い方にも問題があったが、自分の夫だといって言ってきかない。

正直、好意的に接してく嫌じゃない。というより、嬉しいが、今はそんなことをしている場合ではない。

今日で都を出て15日。期限までちょうど半分が過ぎたにも関わらず、鬼ヶ島は見つからず、砂の海をさまよっていた。

幸い、水や食料は砂漠に入る前の町で補給でき、双葉が嫌がりながらも取り付けたバイクのサイドカーに大量にあるし、別に迷っているわけではないため、最悪、引き返すこともできる。問題は鬼ヶ島がどこにあるかわからないという点だ。

そのことがレッカに精神的な焦りと疲れを招いていた

「だいたい、最初は仲良かったでしょ。なんで最近はそんなに仲が悪いの」

「小娘が図に乗るから」

「年増がうざいから」

少し間を置いて、二人は再び、喧嘩を始める。

「はぁ」

レッカは呆れてその場に座り込みため息をつく

「少年、ため息をつくと残り僅かの幸せが逃げていくぞ、」

「レッカよ、悩みがあるなら妻の僕が聞くぞ。」

「双葉さん、鬼ヶ島ってここらへんじゃなかったんですか?」

「うむ、私もそのように聞いていたんだけど、所詮は人の噂、あてにならないものだね。」

「笑っている場合ですか」

「まぁまぁ、そう気張ってもしょうがないさ、それよりさ、この近くに水の都があるんだけどさ、行ってみないか、二人っきりで新婚旅行がてら、」

「おやおや、砂漠越えに私の愛馬がなければ、猿娘なんざ、一日でお陀仏だよ。」

「だから送って行けよ。運転手」

「はいはい、やめなさい!それより、こんな場所に水の都?」

「あぁ、そうさ、私も行ったことはないが、噂では地下深くから水を掘り出して町を作っているそうだ。そこらへんに大規模な遺跡群があってね、その遺跡の出土品と豊富な水資源で、ずいぶんと栄えているらしいよ。」

「なるほどね。」

レッカはこのままむやみに地図だけを頼りに探し回るよりも、鬼ヶ島に近く、人が集まる場所であれば正確な情報を集めたほうが効率的だと恋歌の提案に乗る。

この場所からなら、水の都まで半日程度、行く価値は十分にある。

荷物をまとめ、双葉の体力を考え、休み休みに砂丘を避けながらバイクに乗ること8時間

「見えてきたぞ少年!あれが水の都だ!」

双葉が示した先に見えるのは今まで見たどの町や都とも違う、派手で艶やかな都が広がっている。まだ距離はあるが、それでもはっきりとわかる規模も桁外れだ。

「うわっ!すっげぇ!本で見た天国みたい。すっげ!すっっげぇ!」

「ちなみに、あそこには変なのはいないですか?」

「そりゃ、あれだけの規模となれば裏も表もあるだろうし、人が集まれば退廃的な側面も持つさ。もっとも、どこぞの猿山みたいな、極端なのはいないだろうけどね、」

「あー、てめぇ、うちのこと言っているのか!」

この程度の嫌味には既に恋歌は動揺しない。この立ち直りの速さには感心せざるをえない。

「しっかし、なんだこれ、道みたいなのが出てきたと思ったら、左右のこれ、瓦礫の山だ」

「言っただろ、遺跡が多いって、砂の下に埋もれていたのを掘り出しているのさ、だから、あの街を中心に巨大な窪地になっている。これは全部遺跡からび出土品、だと思う」

「これ全部掘り出したのか!」

「そうだろうね。おっと!」

後方から近づいて来る車を双葉が避けると、砂煙を巻き上げながら、追い越してく

「けほ、けほ、あれは車!」

「なんだ、あれ、でっけぇ!」

「ここじゃ遺跡の利用も進んでいるからね。あぁいうのもあるのさ」

レッカは地図を取り出し、翁の山の向こうにあった首都の残骸から、この場所を頭の中の地図と引き当てるが、ここにこれだけの施設があった事を思い出せない。そもそも緑化の進んだ本星で、これほどの砂漠はなかった。つまりはこれらが作られたのも、ここが砂漠になったのも、自分が生きたよりも後の時代。それが砂に埋もれることで風雨や太陽の影響を受けずに残っているのだろう。

とは言え、気になることもある。この砂漠、いや、都を出て目にする過去の遺物のことごとくが、自分が知っている時代のもの以外、材質、構造ともに徐々に退化して言っているように思える。恋歌の所で出会ったフレームは別だが、双葉のバイクだってそうだ。もともと自分たちの時代よりもはるか以前に作られたものかと考えたかが、刻まれた年号や、経年劣化を考えるとそれよりも後の時代と考えるべきだ。

「さて、そろそろ、道も開けてきたあとは、直線飛ばすぞ!」

双葉がさらにアクセルを深そうとしたとき斜め前で大きな爆発が起こる


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