第53章ー創る者ー
拘束機械群が機械兵へ一斉に絡みつく。
金属同士がぶつかり、火花が散る。
だが。
「排除継続」
機械兵は止まらない。
背部増幅装置が唸る。
次の瞬間。
拘束具を強引に引き千切った。
「うわぁ、力技ぁ……」
そらが眉をひそめる。
その直後。
砲撃と轟音。
京慈が前へ出た。
硬化。
砲撃を正面から受け止める。
衝撃で床が砕ける。
「っ……!」
重い。
だが耐える。
その隙にそらが指を鳴らした。
小型ドローン群展開。
機械兵の周囲へ散開する。
「右行くよ京慈!」
「はい!」
京慈が突撃。
同時に。
ドローンが閃光を放つ。
視界妨害。
その一瞬で京慈が懐へ潜り込む。
拳を決め轟音がする。
機械兵が吹き飛ぶ。
だが。
空中で姿勢制御。
背部スラスター点火。
再突撃。
速い。
京慈が咄嗟に腕を硬化。
激突。
そのまま壁まで押し込まれる。
「ぐっ……!」
「京慈!」
後方でめいが声を上げる。
だが。
その前へ複数の防御ドローンが展開した。
半透明の防壁。
そらの機械だった。
「めいちゃんりすずの近くまで下がって!」
その横でりすずが高速で端末を操作している。
無数の解析画面。
波形。
構造。
紋章出力。
りすずが低く呟く。
「……解析完了」
「そら兄!」
「胸部中央に擬似紋章核!」
「破壊されると機能停止する!」
そらが笑う。
「流石ぁ!」
機械兵が再度砲撃。
だが。
そらは逃げない。
両目が水色に光る。
創造の紋章。
床が変形。
瞬時に盾型機械を生成。
砲撃を逸らす。
そのままそらが駆ける。
「京慈!」
「三秒止めて!」
「了解!!」
京慈は前へ出る。
硬化。
機械兵の拳を掴む。
床が沈む。
軋む。
だが。
離さない。
「そらさん!!」
その瞬間。
そらの周囲に無数の機械部品が集結する。
再構築。
変形。
巨大な杭打ち機構。
即席貫通兵器。
「完成っ!」
機械兵が危険を察知する。
増幅装置起動。
強引に京慈を振り払おうとする。
だが。
その瞬間。
背後からワイヤーが巻き付いた。
ドローン拘束。
一瞬。
動きが止まる。
その隙。
そらが飛び上がった。
「ぶち抜けぇぇぇ!!」
轟音。
杭打ち機構が胸部中央を貫く。
擬似紋章核へ直撃。
機械兵の動きが止まる。
火花が散りノイズ音が聞こえる。
そして。
崩れ落ちた。
静寂。
京慈が息を吐く。
「……終わったか?」
その奥。
レインは静かに機械兵を見下ろしていた。
怒っていない。
むしろ。
興味深そうだった。
「素晴らしい」
「やはりあなたを仲間にできないのは惜しい」
そらは睨む。
「全然嬉しくない」
レインは微笑む。
「ですが」
「あなたはいずれ理解する」
「技術は止まりません」
「誰かが必ず先へ進める」
その時。
りすずが小さく声を漏らした。
「……これ」
全員の視線が向く。
りすずの端末。
表示されていたのは研究データ。
紋章波形。
人体適合実験。
そして。
一つの記録。
『芳骨島実験資料』
空気が変わる。
京慈の顔が険しくなる。
そらから完全に笑みが消えた。
レインは静かに笑う。
「……やはり繋がりましたか」
「モードの研究は終わっていませんよ」
その言葉だけ残し。
研究施設の照明が落ちた。




