第二十五話 ifエンド ハーレムルート? ~こんなこともあるかもしれない~ 後編
ドアを開け、姫様とお付の二人が入ってくる。
「おわ!」
「そう来た訳ねぇ」
「エグいナ……」
「これは凄い」
姫様はピンクの可憐で清楚さが際立つふんわりとしたネグリジェに身を包んでいる。儚げで神秘的な雰囲気の姫様にはよく似合っていた。まるで華のベッドで眠りにつく妖精の姫のようだった。
ただその傍に控えるバルバラさんは、煽情的で挑発的なボンテージ衣装を身に付けていた。バルバラさんのグラマラスでゴージャスな肢体に非常にマッチした危険な衣装だ。
立っているだけでエロいと言われている人が、エロい衣装を着てしまったら。それはもうただのエロスだよ!
「ふふ、よく似合ってますでしょう」
姫様は上機嫌にバルバラさんに愛でるような視線を向けた。
バルバラさんは毅然しようとしているが、やはり羞恥を抑えられないのか、顔を赤らめ、ややうつむき加減だ。それがまたメチャクチャえろい。
俺はバルバラさんから引きはがすようにして視線を姫様に向けた。
姫様は可愛らしいネグリジェのスカートの裾から覗く新雪を集めて創り出したかのような白く細く透明な足を組んで、ニルダさんに腰掛けている。
もう一度言う。ニルダさんを四つん這いにさせて、その背に腰掛けている。
ニルダさんは均整の取れたスレンダーな肢体に被虐的なボンテージ衣装を身に付けている。普段は出来るメイド然とした人が、背徳的な衣装を着こなしているのは、ギャップがあってエロイのは確かなのだが。
嬉しそうに四つん這いになり、その背に主人を載せて悦に入っている様は、引くぐらいガチだ。
「今宵はお願いがあって参りました」
姫様が手に持つリードを引くと、そのリードでつながれたニルダさんが四つん這いで這って、こちらに近づいてきた。
あまりにもよく躾けられているので、俺たち4人は一歩たじろいだ。
「フェリシア様から連絡がありました。翔流様のお子を、葛葉様、グロリア、エレナの三人が身ごもりました」
三人一度にか。凄いな。
「フェリシア様の思惑通り、勇者繁殖計画は順調に進んでいるものと思われます。お手付きの娘がまだまだ沢山いますので、身ごもる娘はこれからも出てくるでしょう」
繁殖計画って……
おい、翔流、なにしとんねん……
「ですので、こちらも計画を進めなければならなくなりました。フェリシア様に負けてられませんもの。わたくしも出来るだけ早く成果を上げたいのです」
姫様は可憐な美貌にフンスっと負けん気を漲らせた。その様は大変可愛らしいのだが、内容がえげつなさ過ぎる。
「そこでですね」
姫様は、半分こぼれ出てるニルダさんの尻たぶを優し気に撫でながら無邪気な笑顔を浮かべた。
「まずこの子に種付けして、孕ませてください」
「直線的っ!」
「なるほど。人を統べる者にとっては、配下の妊娠出産など、家畜の繁殖と同じという訳か。優秀な血筋を掛け合わせて、いい人間を生産するのも主君の務めということか」
思わずツッコんだ俺だが、エウフェミアは納得したような顔で感心している。
「ほら、ニルダからもお願いなさい」
姫様がクイっとリードを引くと、ニルダさんは羞恥と屈辱と悦楽と歓喜に満ちた表情で顔を上げた。
「クロード様、どうか、種付けして、私を孕ませてくださいませ!」
頬を紅潮させ、興奮に息を弾ませながら、懇願してきた。
「わたくしもニルダには申し訳なく思ってますのよ……」
そう言って、悲し気に顔を俯かせた。
良かった。流石に姫様でもまともな考えを持ってるのか。
「ニルダはクロード様のことを嫌っておりません。子を宿すことにも忌避はないでしょう。もっと心の底から嫌悪するような男の種でないと。『アイローラ』の白豚男爵のような、最も嫌悪する男の子どもだからこそ、わたくしの命令で身ごもることで、わたくしへの忠誠の大きさを証明することが出来るのです。嫌いな男であればあるほど良いのです」
一瞬でも見直した俺を罵りたい。
「な、なるほど……」
そろそろエウフェミアでもドン引きし始めたようだ。
「あなたが満足できるような種を用意できない、わたくしを許してください。でも、例えあなたの子だろうと白豚の種で出来た子はいらないのです」
「あぁ、姫様、そのような! このニルダ、姫様の命令であれば、どんな男の子どもでも孕んでみせます! 私のことなど気にせずに、どうぞお命じ下さいませ!」
「ありがとう、ニルダ。いい子を沢山産むのよ」
姫様は華が綻ぶ様に嬉し気な笑みを浮かべ、ニルダさんの半分丸出しの尻たぶを優しく撫でた。
「はい! お任せください! 十人でも二十人でも孕んでみせます!」
「ナァ~……」
嫌であればあるほど良いというガチマゾ理論に、ファッションMにすぎないドロテアは完全に言葉を失っていた。
「生まれた子はカレルオン家で立派に育成しますのでご安心ください。そうですね、ニルダとバルバラの二人を最低でも三回ずつ孕ませて欲しいです」
そう言われて、俺はバルバラさんのほうを見た。
この人はエロく見えるだけで、決してエロい人ではない。それに、ニルダさんと違って、比較的まともな人だ。
「騎士や女騎士の結婚相手は主君が決めることが多い。だから、騎士になった時点でそれなりの覚悟はしていたのだ」
バルバラさんは少し恥ずかしそうにそう言った。
「そうですね。元々バルバラは、わたくしが決めた相手としか結婚できないのです。わたくしの護衛なのですから、その結婚相手が身元保証されていない者などありえないのです」
「少し変わった形ではあるが、主君が相手を見繕ってくださったことには違いがないだろう」
「俺は身元不明ですが!」
「フェリシア様とカレルオン家が身元保証しておりますよ。ご存じありませんでした?」
姫様はバルバラさんのむき出しになった太ももに手を添える。鍛えられ、しなやかな筋肉が発達している上、女性的な柔らかさと滑らかさが備わっている。
姫様は肌触りを楽しむように、バルバラさんの太ももをゆったりと撫でた。
「ですので、バルバラの相手として不足はありません。バルバラにもちゃんと命じてありますから。きちんと孕ませてくださいね」
姫様はそう言って、春の木漏れ日のように爽やかで晴れやかな笑みを浮かべた。
「なんだか、クロードを掻っ攫われる方向で話が纏りそうなんだナ……」
「バルバラを出すなんて卑怯だわぁ……」
グギギっと悔しそうに歯噛みする二人。その二人を、他人事のようにエルフの余裕で眺めているエウフェミア。
俺はといえば、視線を遠くに飛ばして、壁の模様を眺めていた。あの模様、人の顔に見えるなぁ。
「あら? お三方にも当然孕んでいただきますよ」
姫様は、当然のことに気づいていない様子に逆に驚いた、という感じでびっくりしていた。びっくりするのはこっちのほうだ。
「いや、あたしは髪の毛が生えれば、それで良くて、子供まで欲しいかといわれると、まだ、そこまで考えてないナ~、なんて」
ドロテアはビビッて歯切れの悪いことを言い始めた。
「私はぁ、男の子二人、女の子二人ぐらいは欲しいわねぇ。子どもたちには2歳ぐらいから魔術教育を始めたいわぁ。それと、情操教育のために白くて大きな犬を・・・・・・」
カミラの方はいやに具体的な将来設計の妄想を延々と語りだす。
「あれ? 三人ということは、私も入ってるのか!?」
他人事のように構えてたエウフェミアが素っ頓狂な声をあげ、驚いた。
「当然です。エルフとの子も欲しいですからね」
「こうなったら一蓮托生ナ。エウフェミアも産むナ」
「露骨に引きずり込もうとしてくるな。だが、エルフは生殖能力は低いから、期待されても困るのだが。数十年単位は見込んでもらいたいが、人間がそれだけの期間、付き合ってくれるのか?」
「ご安心ください。それでしたら、カレルオン家として代々引き継いでいきますので、大丈夫ですよ。」
「なら、別にいいか」
「軽いな!」
エウフェミアの予想外の反応に、俺は驚いた。
「エルフの貞操観念は人間よりガバガバなのだ。なにしろ性欲が低いので、貞操観念で縛らなくても、しないからな。そもそも結婚という概念からしてない」
「あ、そう……」
「お前に興味があるのは確かだ。森に暮らす我が一族も、お前に関心があるのだ。だからこそ、監視役として、私が同行している。興味がある相手と子をなすのも一興だろう。私が初めて産む子が異世界人との子、というのも面白いかもしれん」
「さあ、クロード様、皆あなたと子をなすことを承諾なさいましたよ。ご安心下さいませ。クロード様がもとの世界に帰ったとしても、生まれた子は、このアラセリス・フォン・カルレオン及び、カレルオン家一同でお世話いたします。お子様のことでお手数は取らせることなどございませんよ」
そう言って、姫様は神秘的な美貌に慈愛に満ちた笑みを浮かべる。
「好きな子を好きなだけ孕ませてください。最初は、バルバラですか? ニルダですか?」
姫様は順々に指さしていく。
「カミラ、ドロテア、エウフェミアからでもいいですよ?」
「それとも……」
「わ・た・く・し、ですか?」
・・・・・・
うわああああぁぁぁぁぁ!! 帰してぇぇぇえええ!! 今すぐ元の世界に帰してぇぇぇぇええええ!!
終わりです。
長々とすみませんでした。




