表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

教室で居眠りをしていたら神と出会いました

少しで良いから考えてみてほしい、もし、あなたが学生で、授業中、うっかり居眠りをしてしまったとしよう。


授業が終わった鐘が鳴り、起きた時にはなぜか目の前に20代前半くらいの格好良い男の人がいて、あなたをじっと、それはもうマ ジマジと見ていたとしたら、あなたはどう思いますか?照れますか?何の用だと訝しみますか?どうでも良いと流しますか?


僕はまず初めにこう思います。

なにこのイケメン、爆発して滅びてしまえば良いのに……と。


__________________________


キーンコーンカーンコーン

キーンコーンカーンコーン


授業が終わる鐘が校内に鳴り響く、苦手な英語の授業で寝てしまった事を若干後悔しつつも、僕はゆっくり目を開ける。本来であれば、田中太郎と言う素晴らしく名前が覚えやすい友人(仮)が

こちらを向いて「何寝てんだよお前」と、ムカつく笑みを浮かべつつ椅子に座っている訳なのだが……。

肩まで伸びたまっすぐな白髪、雪のように真っ白な肌、若干つりあがった青色の瞳、キリリとした口元、そこには何故か、思わず顔面を殴りたいぐらいには素晴らしい顔を持った男がいた。


そこで冒頭のなにこのイケメン、爆発して滅びてしまえば良いのに……となるのだが、まぁそれは置いておくとして、今の僕は大変ピンチなのだ。さっきから長々と話しておいて、何を言っているんだコイツと思うかもしれないが、実は、僕はかなりの人見知りだったりする。おかげで友達なんて出来た試しが無く、高校になってもボッチ生活だ。


田中太郎?あいつは知らん。友達(仮)だと言っただろう。


少し話が逸れて来たが、とにかくピンチなのだ。

先程からこの男、鋭い眼光でこちらを穴があきそうなほど眺めているだけで一言も言葉を発しない。完全なる無言の空間、嫌にかかってくるプレッシャー、居心地が悪くて悪くて……。


……ん?無言の空間って、何か変じゃないか??


今は授業が終わった休み時間、誰も騒がないわけが無いのだ。

友人(仮)が居るはずの席にこの男がいる時点で気がつけば良かった。

もしかしてこれがイケメンの力なのか!?(思考がイケメン滅びろ一色になり状況把握が疎かになる事)今更ながら椅子に座っている男を警戒しながらこっそり辺りを見回す。

するとどうだろうか、先生はおろかクラスメイト達も1人もおらず、不思議な事に蛍光灯も、黒板や黒板消しも、机と椅子、棚、ロッカー、天井や床までも、全てが白く染まっていた。

白に染まっていないのは僕と男だけ。


━結論━

僕の前の席に座っている男がイケメンから怪しすぎるイケメンに

ランクアップした。

うん、そ れ が ど う し た !

どうでも良すぎる結論は頭のゴミクズ入れにダストインして新たな結論を考える。そもそもなんなんだよこの展開、どこのテンプレ小説?コイツが神とか、転生して欲しいんだとか言い出したら本気で笑えない。そんなものは僕のパソコンに入っているトリップもの夢小説やSSで十分だ。


「そこまで理解しているのなら話は早いな」


うっわ!喋った!?

僕まだ心の準備が出来てないんだけどなっ!

知らない人から急に話しかけられても戸惑うに決まっている(おまけに僕はそれに人見知りがプラスされてるし)今まで喋らずに顔を見てるだけだったから、もしかして喋れないんじゃ?とか思い始めたとこだったのに……。

僕はてっきり紙とペンをどこからともなく取り出して、どっかのペンギンみたいに文字を書いた板かスケッチブックで会話するんだと思ってたよ!そもそも、理解って何!?僕何も分かってないんだけど!!誰でも良いからヘルプミー、こいつの言葉解説してくれ!!


「本来お前はこの世界にあと10年と3ヶ月生きる予定だった」


ちょっと待って、話進むの早くないかい?

え、10年と3ヶ月?……って、短かくないか!? 

え?僕の人生20歳後半で終わる予定だったの!?

言ってる内容はテンプレ過ぎて逆に意味わかんないけど、とにかくその事実にビックリだよ!


「だが、異世界である問題が起きてな。その問題を解決するために、こちらの人間を1人向こう側へ送ることとなったのだ」


それが僕なわけですね、分かりま……いや、分かんないから!

……もうなんか疲れてきたよ(主にツッコミとかノリツッコミとか)つまり?向こう側へ送る=転生。

転生させることが出来る=コイツ神様。

しかもそれを直接会ってそのまま送ることが出来るとかかなり高位な神様だと予想。神様でイケメンとか爆発しろ、ハイスペックイケメン滅びろ。


「嫌かもしれないがお前に選択権は無い、運が悪かったと思って諦めろ」


イケメン一発殴らせ……ちょっと待て、お前はどこぞの暴君か!

僕にだってまだこの世界でやりたい事が沢山あるんだ!


「うん?そうか?」


あ、嫌な予感。

なんで喋ってもいないのに会話が成り立つんだとか、お前は妖怪サトリかとか思ったことは絶対にバレないように、頭の隅の隅のさらに奥ぐらいに置いておく。だが僕の予想(不気味な笑顔でニコッ)と反して、神は至って真面目な様子で話し始める。


「頭の良さも運動神経の良さも極めて平凡で自慢出来るものなど何一つ無く」


あのさ、


「そのくせ珍ミスはしょっちゅうするせいで抹消したい程の黒歴史がいくつもあり」


なんて事も無いようにさらっと言ってくれてるけど、


「恋人はまだしも、友人すらいないのに、この世界に未練などあるのか?」


その言葉の一つ一つが針のようにチクチク グサグサと

心に刺さるんだけど……。

それも、嫌な笑みを浮かべてとかじゃなく真面目に話している分余計タチが悪い。


「おまけに……俺のせいでお前の両親は無くなっているしな」


もうやめて!僕のライフはもうゼロ、を、通り越してオーバーキルしてるから!僕の心の声が届いたのか、神の最後の言葉は聞こえなかった。

………はぁ、分かったよ。行く、行けば良いんでしょ?

これ以上ここで話してたら僕の嫌な過去(黒歴史)まで全部話しそうだし、腹は多少立ったけど、コイツが色々言ってくれたおかげで心の整理も出来たし、特に未練なんて、心のライフと引き換えに全部消え去ったしね、アハハハハ。

ここでようやく僕は初めてコイツ、神に向かって言葉を発する。

人見知り?憎きハイスペックイケメン(しかも神)などに誰がするか。


「分かった、行くよ」


「・・・ようやくか。そもそも、行くもなにもお前には選択肢は無いと言ったはずなのがな」


やれやれといった様子で神は軽く肩をすくめ首横にを振る。


「それじゃあ早速、行ってこい」


え、ちょっ まっ!この展開はっ!!


神がパチンと指を鳴らすと案の定というべきか僕のちょうど足元に、黒くて底の見えない大きな穴が空いた。


「っ…………!!!」


自分の世界の最後の言葉だと言うのに、

急に落とされたせいで

声にならない悲鳴しかあげられなかった僕に向かって、


「………………………」


神が何かを呟いた様な気がした。



~~神視点~~


「今度の世界では、幸せになれると良いな」


俺は俺自身で作った穴に、あいつが落ちていくのを見ながら呟いた。あいつ……影野 黒斗に会ったのは、実はこれが初めてでは無い。初めて会ったのはそう、今からちょうど10年前だったか……。

今でも目を閉じれば思い出すあの日の出来事。

それは、俺がしっかりしていなかったがために起きてしまった、本来であれば起こり得なかったはずの事故。

その事故のせいで影野は両親を無くしてしまった。

あの時の罪滅ぼしの為に影野が好きそうな世界を見つけ出し、何年もかけて影野をそこに送る許可を異世界の創始主からもらってきたのだ。問題が起きたから代わりに向こうへ飛ばすというのは、影野を向こうへ未練無く(?)飛ばすため頭の中を整理整頓させるための嘘だったのである。10年ぶりに会った影野は相変わらずというべきか、威圧的な雰囲気で、無表情で簡潔にしか言葉を話さずに、その声は酷く冷たかった。

俺が”10年前に影野の記憶を消して”以来、全く変わることのないその態度。事情を知っている俺からしてみれば、その態度の一つ一つがとても痛々しかった。

まるで、自分自身を守る為に誰からも心を閉ざしているように、何も触れて欲しくないかのように、只々全てを拒絶していた。

それはきっと、消した記憶の断片。

影野がこうなってしまったのは全て俺のせい、いや、影野に救いを与えなかった神のせい……か。

俺は異世界で幸せになれそうな、自分の使い方次第でどうにでもなる能力をいくつか影野に与えた。

ここからどうするかは影野自身の問題だ。

本当はもっとサポートをしてやったり、影野が異世界で上手くやって行けるのかを見守りたい、だが俺にはもうそんな力は残っていない、影野を異世界に送る条件、それは俺自身の力で全てを与え、異世界へ送り届けること。

その2つに持っている力を全て使ってしまったのだ、


「謝って許されるなんて思っていない、だからな影野」


「俺があの時、お前に言った言葉を思い出せ」


そこで一度神は真っ白に染まった教室から窓の外をみる、そこには木々の動きなどが”止まって”はいるが、白くない、青い青い雲一つない空が広がっていた。

神は目を細め、空を見ながら話し出す。


「その言葉はきっとお前の役に立ってくれるはずだからな」


サラサラと、まるで砂のように足から頭に向かって神は白い教室に溶けるように消えていく。


「謝罪替わりの置き土産、お前は気に入ってくれるだろうか?」


最後に苦笑いを残して、神の姿はどこにも見えなくなった。




_____________________________

そのあと天界では、

死んだかの様にグッタリとした様子でベットに寝転がっていた神の姿が確認されたようです。


神「俺が死んだといつ錯覚した……?」


(力を使い果たして 強 制 送 還 されただけだった!)


見守れない=天界で何十年かは入院しないと動けないぐらいグッタリ、疲れすぎて死ぬかと思った。


置き土産=直接あげられる最後の贈り物。

手直しのオンパレードで困りますね(・ω・`)

完全オリジナルは初めてなのでまだまだダメな部分も多いと思いますが、

頑張って書いていこうと思うのでよろしくお願いします。

お読み下さりありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ