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幼女、初めての水泳&身体強化を習う。
ーーーーーーーーーーーーー(前回まで)
注・この作品は異世界のフィクションです。
深く考えてはいけない所が有ります。
(ここから2~3話程、突っ込みを入れてはイケマセン)
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パチパチパチ・・・。
「お嬢様、流石です。」
拍手をしたのは年配の男性。幼女はその男性に向かって手を振った。
『爺、見てた見てた♪』
「見てましたとも」男性はニコニコしている。
ハプニングは有ったものの、メイド長の授業は続く。
「魔法とは3大要素から成り立っていて…
……と、言う事になります。」
へぇ~この世界は3大要素なんだ…。
よく転生物で4大要素の(火水土風)に(光闇)で6大要素とか聞くのだが…。
「……ですから、お嬢様には……」
まぁそうだろうな。
魔力制御を重点において授業する意味は判らないが、
次に重点を置く身体強化魔法は、幼女の難聴?を克服する為なのは分る。
「…では、魔力を身体に感じて[回して]みましょう」
『やーーーー!』
「え、お嬢様?」
『いやーーー!』
え?先生(メイド長)がオロオロと狼狽えている。
奥様もメイド達も困惑気味だ。爺だけが微笑んでいる。
インカムを渡して幼女と会話が出来る様になってからの二日間。
幼女は[素直と言う一言]に表せる。
それ以前は、藤巻に眺めている事しか出来なかったのだ。
[眺めているだけ]と言っても、世話もするし何とかしようと
幼女に我慢強く、そして優しく接していたのだろう。
でなければ、幼女はこんなに皆に甘えたりしていない。
子供と言うのは、小さい時から敏感である。
守られなければ生きていけない野生の生存本能みたいな物。
そして哺乳類と言う生き物には、[愛情]がプラスされる。
会話が出来ない時代にも幼女は大人しかったのだろう。
『やーー![ぎゅ!]出来るもん、他もするー!』
うっわっ!一斉にメイド達から睨みつけられた。「お前のせいか!」と。
先生(メイド長)は、ふぅ~と一息を吐くと「では…」と続けた。
私のM1A2の身体から冷や汗がダラダラと流れたよ…。機械なのに…。
多分、幼女の心理には[爺に良い所見せたい!]と働いているのだろう。
それを証拠に、ふんす!ふんす!と鼻息が荒い。私頑張るゾ…と。
反対に奥様とメイド達の、落胆?悲壮感?
それを必死で隠し皆が平静を保っている、
何とも言えない雰囲気が漂った。
[失敗するのを確信]してるかの様に……なぜに???
「では…火の魔法から…」
「次に、風魔法…」
一向に出来ない。出来る気配すら見えない。
しかし幼女は諦めない。ふんす!ふんす!と頑張っている。
『ドラゴンさ~ん』と助けを求めて来てもいない。
ひたすら頑張っている。
メイド達が、私を見て幼女を見る、もう一度私を見て幼女を見る。
「それ見た事か」「やっぱ殺す」「嬲り殺す」「細切れにする」「邪神めー!」「一度でも信用した私が馬鹿でした」「ヨシ殺そう」「邪神は消毒です」
目から音声が聞こえる気がする。
ハァ~私は幼女の元に行き。
「あそこの木に向かって[ぎゅ]じゃなくって[ぎゅっ]しようか」
『ぎゅ!じゃなく[ぎゅっ]?』
「そうだなぁ~私が50個入る風船を[ぎゅっ]してみようか」
『ん…してみる』
またも光り輝き一瞬でも燃え炭化する木。燃え残りから煙が出ている。
✕「中級火魔法ファイヤー」
○「圧縮空気」
「今度は少し遠いけど、あの木に私を一杯[ぎゅっ]してみて」
木の中心から高温が発せられ、周囲が一気に燃え上がる。
✕「中級、火範囲魔法ウォール」
○「広範囲の圧縮空気による高温作用」
「今度は風船じゃ無くって四角い箱かなぁ~」
「片方、向こう側だけ掌位に穴を開けて[ぽん]って押す感じ」
50m先の木が薙ぎ倒される。
✕「風魔法、中級ウィンドカッター」
○「強力な空気砲」
「空気の概念が大分解ってきたみたいだから…」
「大分遠いけど、湖のあの島みたいなのに[ぽいっ]しよっか」
「10数えると止めるんだよ、必ずだよ、約束だよ」
湖に浮かぶ小島を中心に竜巻が起きる。
嵐が起こり始めたが、幼児の『いーち、にー、さ…じゅう』で収まる。
✕「風魔法、戦略級範囲魔法グランデス」
○「零hpの台風作成?」
「掌サイズじゃなくって、うんと小さな穴で[きゅ]しようか」
水が勢いよく飛び出し、一条の水が岩を切り裂く。
✕「中級水魔法、アクアソード」○「ウォーターカッター」
✕「中級水魔法、アクアランス」○「強力な水鉄砲」
(ん~~これは水場限定だな…別に水を作ってる訳では無いのだから…)
(昨日の水鉄砲を渡したお蔭でイメージしやすかったかな?)
概ねそんなやり取りだが、
幼女は次々とこなして習得していった。聡い子だ。
いや…正確に言おう「うちの子、天才!」と踊りたい気分だ。
何かポ~ン♪と音声が聞こえていたが、後でログを確認するとしよう。
土魔法は地面を[どん]と説明したら、多分幼女は出来るだろう。
ただ[どん]で地面が下がるか上がるか…
今更ながら嫌な予感しかしないので止めておいた。
ーーーーー
「神は神でした」「私、尊敬します」「殺すのは止めておきます」「救世主様…」「少し前の私を殴りたい」「今夜はご馳走を作りましょう」「お嬢の初魔法…」「切り刻むのではなく身体を洗って差し上げます」
ホント君達、掌クルックルッだな!
何故か竜巻に巻きあがった湖の水の塊りが
狙ったかのように落ちてビショビショに濡れているメイド達。
今はM1A2姿の私なんだが警戒集音装置と言うのが付いていてだな…
君達の小声はまる聞こえなんだヨ。
最も渡したインカムで小声を集めようとしても出来るが、
流石にプライバシーもあるからやってはいない。
メイドに落ちた水の塊りに、
飛んだ水飛沫が掛かったのか奥様も濡れていた。
顔を濡らしていたのは、湖の水だけだったのかわ誰も分からない。
ーーーーー
『できる?できる?』
出来た事に興奮収まらない幼女が私に向かって、また聞きにくる。
無難に各魔法が出来たのには自分に驚いた。
流石に戦略級とは無理だが、幼児は『一緒~、一緒♪』と大喜び。
「ヘンタイのチカン」により[魔力と魔素の置換]が働いたのだろう。
ましてや今の身体はM1A2だ、燃料タンクに貯めておく事ができるのならば、
増量タンクを付けなくても、タンク容量は1874ℓ(リットル)も入る。
燃費の悪いガスタービンエンジンのせいだ。
固まる奥様とメイド達をよそに爺が近寄って来た。
「素晴らしい!お見事ですお嬢様、爺は感激しております」
『爺ー見てた見てた。私出来た』
平静を装って微笑んでいるが、
爺の目元が潤んで涙を堪えているのが誰でも分かる。
「こんなのも有ります」と爺が10人増えた。
「そして、こうなります」10人の爺がそれぞれ違った動きをする。
分身系の魔法であり修練すれば見分けられないし質量もあるそうだ。
『おーおー』と爺を尊敬の眼差しで見つめている。
(光の屈折?プロジェクターの投影する様な感じか…うおっ分身が出来た)
(魔素がゴッソリ身体から抜けた感じがしたぞ。重さあるのかコレ?)
(幼女には見られていない。セフセフ。メイドからのセウトの眼が痛い)
「一つ一つ学んで行きましょう」「基本は大事です、まずは魔力操作を」
…と爺が私の言いたい事を、先に幼女に教えていてくれた。助かる。
今幼女に必要なのは基本の魔法制御だ。
これからは素直に勉強してくれるだろう。…してくれるよね?
幼女と一緒に、爺から魔法の座学を聞き、
爺の放つ魔法見学をしてその場は御開きとなった。
右に奥様、左に爺と真ん中で両手を繋いで喋りながら歩く幼女には、
逢った時に感じた[明るいけど幸が薄い感]はまったく見られない。
私達は屋敷に戻る道のりをゆっくりと歩き楽しんだ。
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屋敷の前で、ずらっと並んだ男性騎士達に出迎えられた。
負傷していた残りの騎士達がスリープモードから覚醒したみたいだ。
皆が皆、フルプレートを着用しており顔は見えない。
ここからでも遠目に湖が見える。
つまり幼女の姿も見えていた…つまりそう言う事だろう。
幼女と奥様が屋敷に入るのを見送ると、
騎士達が私に駆け寄り、感謝の言葉を投げかけてくれるのだが
[バンバン]と私を叩くのは止めてもらいたい。
(だ~か~ら~~複合装甲に掌や拳の凹み付けるな!)
私を囲んで叩いてる騎士達の姿を見て幼女が飛んで来た。
私が騎士に虐められていると思ったのだろう。
『めっ!』と幼女と私の前で、土下座して謝ってる騎士達なのだが、
言葉には嬉しさが滲んでいる。
フェイスカバーも脱がないのには泣き笑いるのだろう。
ただ騎士達が言い訳をして、
幼女にまた『めっ!』と言われた時に[ご褒美ですー]と
喜んだ感じがした時には[徹甲弾を食らわせてやろうか…]
弾を装填し引き金を引こうと狙いを定めた。
なお…
玄関脇に酢巻きにされ猿轡をしていて、
ウゴウゴと言っている某女騎士なんて…私は見えてはいない。
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夕食は、またも野外になった。
私はもう[ベスパ150TAP]に変形出来るのだから屋内になると思っていた。
姿もM1A2の方が良いと薦められた。
男性が全員復活し、
屋敷に残っていた人も加わり[お祝いパーティ]が開催された。
奥様の静かなるスピーチ。
「これまで皆も色々思う事はあった事でしょう」
「ですが、こうしてシャルルを祝う事が出来ます」
「今宵は無礼講です」発言から
「「「「「うぉぉおおおーーーーー!!」」」」
暫くすると意味が分った。お祭り戦場騒ぎなのだ。
奥様でさえ幼女と一緒に、私に食べろと肉を押し付けてくる。
(奥様…少し目が座って無いか?横にある山盛りの肉…あれ全部??)
先程のスピーチで言葉を詰まらせていたのは何だったのか?
後ろに付き添って苦笑しているメイド長も、ほんのり顔が赤い。
‥‥君達…無礼講の意味が分かっている?
最低限の節度と言う物があっててだな……。
私の車体後部に、バンバンと酔って叩くメイド達。
(マテ。。君達もかい?手の痕に凹ますな!)
向こうでは剣戟の音も聞こえだした。
「やーらーれーたー」「よし、もう一回」
剣を腹に刺されて言う台詞か?刺さってるよ?
「一発芸しまーす!」口からワインをラッパ飲みをして、
刺された腹からワインが噴き出す。
(おい!それ芸と違う!)(日常なのか?周りではウケている)
剣を抜いて回復魔法をかけて貰っていた。
男性騎士が夜空を舞う。
裸女騎士は今は上半身裸で、男騎士にジャイヤントスイング。
あっ星に…じゃない。男騎士は遠くの湖に投げ飛ばされた。
戻って来るの速っ!着水した男騎士から裸女騎士へドロップキック。
祝賀夕食会がルール無用のバトルロワイヤルになっていた。
「たまには羽目を外さないとネ」と奥様。
いやいや、野営で宴会してたでしょ?昨日もバーベQではしゃいでいたし。
「あーちゃんが、まだ目覚めてないから騒げるのよ♪」
もう一人の女騎士の事だろう。私に切りかかった方だな。
守護騎士だったか?彼女は未だにスリープモードから目覚めていない。
男子騎士が全員回復したので、
魔力供給を一人に集中出来るから近日中に目覚めるらしい。
奥様の言うあーちゃんは融通が利かないお堅い騎士なのかな?
幼女が[お眠モード]に入ったので奥様と幼女は下がっていった。
「みんな嬉しいんですよ」旅に参加できなかった、
屋敷に残っていたノーマルメイド達が答えてくれた。
(ノーマルメイドとは言ったが体幹がしっかりしているんだよね…)
…限度があると思うんだ…。
裸女騎士の[乳ビンタ]に怒った騎士が、[袈裟懸けに切った]。
「きーらーれーたー」。どっと周囲にうけて笑っている。
血で飾られる夕食祝賀会とは一体?考えるのを止めて倉庫に戻ろ…。
倉庫には2枚の盾が届けられていた。
私唯一の、まともなスキル名の「パリィ」用。
縦5m、横3m、厚さ15㎝の黒光りした立派な盾。
身体に魔力を這わせると、盾の重さが心地よい。
幼女が頑張っているんだ、私も負けない様に修練していこう。
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なお…爺さん、幼女、私での3人の魔法講習会の時に、
爺さんの魔法を真似しようとして発動した魔法があった。
『きゅ?』『しゅ?』『にゅ?』イメージが掴めないのか、
あれこれと試している。私と爺は微笑み眺めていた。
そこまでは良かった、そこまでは…。
段々と幼女の両手の真ん中に魔素が圧縮されていく。
見ている私達は、汗から出てきて、多量に流れだし
冷や汗に変わる、微笑みから驚き、そして驚愕に変わっていく。
『くぎゅーー!』
幼女の前に10㎝程の黒いボールが浮かんでいた。
何だろう?と私は大きくて邪魔なM1A2からベスパになり、
球に近づき触ろうとしたら吸い込まれた。
ぐはっ!潰れる潰れる!死ぬーー!
幼女があわてて黒い球から私を引っ張り出す。
前輪からシートにかけて圧縮され潰れてしまった。
M4に変わり、球を触ってみる。別に何ともない。
危険だと言うのに爺も突いている。これも別に何ともなかった。
倉庫から廃材を出すと、潰れながら吸い込まれていった。
SFフィクションに[マイクロブラックホール]と言うのがあるのを思い出した。
[指向性マイクロブラックホール]とか書いてあるものが有ったな…。
ではコレは?
[選択制マイクロブラックホール]と呼べばいいのだろうか?
私と爺は見合わせ、
幼女に『くぎゅーー!』は使わない様に、
[危険すぎるから駄目]だと繰り返し、理解するまで何度でも教え込んだ。
最後に[許可なく使ったら私からのオヤツ無し]で納得してくれた。
(大人汚い!流石、大人汚い!)
(フフフ……幼児だからさっ!)
(オヤツに釣られる幼児の軟弱さを呪うがいい!)
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後1~2話で一章が終わる予定です。
投稿を失敗していました、スミマセン。




